令和5年 第1回 作業環境測定士試験(デザイン・サンプリング) 問題集
はじめに
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さて、2023年8月に第2種作業環境測定士試験が行われました。その回答が公益財団法人安全衛生技術試験協会のHPにて公開されています。
https://www.exam.or.jp/exmn/EMkohyo.htm
本noteでは、出題のすべてを掲載しました!!
もし、過去問で何年度のものが見たい、などご要望がありましたらコメントにてお知らせください。先行して公開できるように、ご準備いたします。
(注)上記HPに掲載される試験問題は、過去2回分しか保存されていないため、必要な方は毎回保存しておきましょう。
問1 体積分率から質量濃度への変換
25℃、1気圧における環境空気中のトルエン (C6H5CH3)の体積分率が50 ppmであるとき、その質量濃度 (mg・m-3)に最も近いものは、次のうちどれか。
1 105 mg・m-3
2 190 mg・m-3
3 205 mg・m-3
4 290 mg・m-3
5 380 mg・m-3
問2 単位作業場所の設定
A・B測定の単位作業場所の設定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 単位作業場所の設定に当たっては、作業場内で働く労働者の人数や作業時間などを考慮する必要がある。
2 単位作業場所の設定に当たっては、作業場の区域を、労働者の行動範囲、有害物質の分布状況などの判断基準によって層別化を行う。
3 単位作業場所の区域は、著しい濃度変動がないか、濃度変動があってもランダムであるような範囲とする。
4 連続する2作業日にわたって測定を行う場合、第1日目と第2日目の単位作業場所の範囲は同一とする。
5 塗料の調合の作業とそこで調合された塗料を用いる塗装作業が同時に行われる区域を、1つの単位作業場所として設定することができる。
問3 A測定
有害物質のA測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 測定点と測定点の間隔は、6 mを超えない等間隔であれば、縦方向と横方向は異なってもよい。
2 2年間にわたって第1管理区分であった単位作業場所では、測定点の数を5未満とすることができる。
3 測定点の数を5未満とすることができる単位作業場所でも、各測定点で繰り返し測定を行うことによって、測定値の総数は5以上とする。
4 過去に実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね1.2以下であることが明らかであって、かつ、施設又は作業工程等の変更がない場合は、有害物質の濃度がほぼ均一であるとみなすことができる。
5 測定点の数が多く、1作業日中にサンプリングを終了できない場合は、単位作業場所の範囲を更に幾つかの単位作業場所に区分けし、測定点の数が1日にサンプリング可能な数より多くならないようにする。
問4 B測定
有害物質のB測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 B測定を行う必要がある単位作業場所で、連続する2作業日にわたって測定を行う場合は、第1日目と第2日目ともに、B測定を行う。
2 B 測定に光散乱方式の粉じん計を用いる場合は、10分間連続測定を行う。
3 B測定に圧電天秤方式の粉じん計を用いる場合は、測定時間を2分に合わせて、連続して5回測定を行う。
4 相対濃度指示方法によってB測定を行った場合に用いる質量濃度変換係数は、A測定とは別に求めなければならない。
5 検知管5本を用いても測定時間の合計が10分に満たない場合は、10分の間に均等な間隔をおいて測定した5本の検知管の指示値の算術平均値を測定値とする。
問5 沸点
次の有害物質のうち、1気圧において、沸点が最も低いものはどれか。
1 アセトン
2 エチルエーテル
3 エチレンオキシド
4 ジクロロメタン
5 二硫化炭素
問6 個人サンプリング法による測定 (C・D測定)の対象
指定作業場における次の作業環境測定のうち、個人サンプリング法による測定 (C・D測定)の対象となるものはどれか。
1 ウレタン樹脂を製造する工程において、トリレンジイソシアネートの投入作業を行う単位作業場所におけるトリレンジイソシアネートの測定
2 ガラス製品を製造する工程において、フッ酸を用いてガラスの表面処理を行う単位作業場所におけるフッ化水素の測定
3 有機化合物をメチル化する工程において、ヨウ化メチルの混合作業を行う単位作業場所におけるヨウ化メチルの測定
4 金属ニッケルを溶接する作業場において、溶接作業終了後、労働者が作業場内を移動しながら、ヒュームとして発生した酸化ニッケルを主成分とする粉じんの清掃作業を行う単位作業場所における酸化ニッケルの測定
5 亜鉛めっきを行う工程において、シアン化ナトリウムを含むめっき浴を使用する単位作業場所におけるシアン化ナトリウムの測定
問7 個人サンプリング法による測定 (C・D測定)
個人サンプリング法による測定 (C・D測定)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 インジウム化合物、マンガン及びその化合物の試料空気を採取するときは、分粒装置付きの個人サンプラーを用いる。
2 個人サンプラーを装着する位置は、労働者の前面であれば腰部でも構わない。
3 個人サンプラーを装着した労働者が、単位作業場所外に出る場合であっても、測定結果に影響を与えない場合には、吸引ポンプを停止する必要はないが、その場合の測定値は、単位作業場所の滞在時間での時間加重平均値とする。
4 C測定のサンプリング時間は、単位作業場所において労働者が作業に従事する全時間であれば、2時間未満であってもよい。
5 D測定の測定値が複数ある場合には、得られた測定値のうちの最大値をD測定の測定値とする。
問8 有害物質の物性
有害物質の物性に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 クリストバライトは、遊離けい酸である。
2 ミストの粒径は、一般に、ヒュームの一次粒子より大きい。
3 塩化ビニルの蒸気密度は、空気より大きい。
4 クロロホルムは、水より密度が大きい。
5 テトラヒドロフランは、水に難溶である。
問9 捕集器具またはろ過材
有害物質Aと、その環境空気中の濃度の測定に用いる捕集器具又はろ過材Bとの次の組合せのうち、不適当なものはどれか。
A B
1 アクリロニトリル シリカゲル管
2 コールタール ガラス繊維ろ紙
3 N,N-ジメチルホルムアミド ミゼットインピンジャー
4 トリクロロエチレン 活性炭管
5 リフラクトリーセラミックファイバー メンブランフィルター
問10 流量計
流量計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 面積式流量計を捕集材と吸引ポンプの間に接続した場合、捕集材の圧力損失が大きくなるに従って、流量計の指示値は真の流量より小さくなる。
2 絞り式 (オリフィス)流量計は、ハイボリウムエアサンプラーの校正に用いる。
3 石けん膜流量計は、所定の区間を石けん膜が移動する時間を測定して、所要時間とその区間の容積から流量を求めるものである。
4 湿式ガスメーターは、原則として、ポンプより下流側に接続する。
5 サンプリングに用いる流量計の校正は、捕集装置を取り付けた状態で行う。
問11 固体捕集法
固体捕集法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ポーラスポリマービーズは、活性炭に比べて有機溶剤蒸気に対する単位重量当たりの捕集容量が大きい。
2 シリカゲル管は、ミストの捕集には不適当である。
3 ガスクロマトグラフのカラム充塡剤には、固体捕集法の捕集剤として用いられるものがある。
4 n - ヘキサンの捕集には、活性炭管を用いることができる。
5 メチルエチルケトンの捕集には、シリカゲル管を用いることができる。
問12 ろ過捕集法
ろ過捕集法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ガラス繊維ろ紙による微細粒子の捕集では、ろ過流速が速いほど、拡散作用による捕集率は減少する。
2 メンブランフィルターは、ガラス繊維ろ紙に比べて、粉じんの堆積による通気抵抗の増加が大きい。
3 鉱物性粉じん中に含まれる遊離けい酸の分析に用いるサンプルの捕集には、オープンフェース型ホルダーを用いる。
4 一般に、ろ紙による粒子の捕集率は、粒径0.1-0.3 µm程度の粒子で最も低くなる。
5 粒径が0.1 µmよりも小さな粒子のろ過材による捕集では、慣性効果よりも拡散効果による捕集の割合が大きい。
問13 液体捕集法及び直接捕集法
液体捕集法及び直接捕集法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ミゼットインピンジャーによる粒子状物質の捕集では、吸引流量を3 L・min-1とする。
2 バブラーによるガス状物質の捕集では、気泡が小さいほど捕集率は高くなる。
3 小型ガス吸収管による有機溶剤など揮発性物質の捕集では、捕集液の温度が高いほど捕集率は高くなる。
4 捕集袋を再度使用する場合には、窒素又は清浄空気で内面を十分に洗浄する。
5 フッ化水素の捕集には、ミゼットインピンジャーを用いることができる。
問14 相対濃度計
光散乱方式の相対濃度計による測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 光散乱方式の相対濃度計の指示値は、試料空気の吸引流量には影響されない。
2 光散乱方式の相対濃度計の測定値は、気温や相対湿度の影響をほとんど受けない。
3 粒子の組成と粒径分布が一定で、濃度に変動がなければ、相対濃度の値は、測定時間に比例する。
4 質量濃度 (C)、相対濃度 (R)及び質量濃度変換係数 (K)の関係は、C=R×Kで表される。
5 質量濃度が同じであれば、粒径5 µmの粉じん粒子の散乱光強度は、粒径0.3 µmの粉じん粒子の散乱光強度より小さい。
問15 検知管
検知管による測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 変色層の長さは、測定対象物質の濃度に必ずしも比例しない。
2 直読式検知管の変色層が斜めに現れたときの測定値は、変色した部分の最先端と斜めに変色が生じ始めた点との中央の値を読み取る。
3 検知管の検知限度は、定量下限を示すものではなく、変色がわずかでも認められる最低濃度のことである。
4 特別有機溶剤は、妨害物質が共存しない場合であっても、検知管で測定してはならない。
5 検知管の濃度目盛りは、1気圧の場合の変色層の長さとして表示されており、これより気圧が高い場合は、検知管の指示値は、真の値よりも大きい値となる。
問16 放射性物質その試料捕集法
環境空気中の放射性物質Aとその試料捕集法Bとの次の組合せのうち、不適当なものはどれか。
A B
1 トリチウム化水蒸気 液体捕集法
2 放射性アルゴン 液体捕集法
3 放射性ストロンチウム ろ過捕集法
4 放射性セシウム ろ過捕集法
5 ウラン ろ過捕集法
問17 放射能の計算
放射性物質を取り扱っている作業場において、試料空気をサンプリングし、その試料を測定した結果、空気中の放射性物質の濃度は、3.6×10-5 Bq・cm-3であった。この試料の放射能として、正しい値に最も近いものは次のうちどれか。ただし、試料空気の吸引流量は 50 L・min-1、試料採取時間は 120時間、捕集材の捕集率は80%とする。
1 8.32 kBq
2 10.4 kBq
3 16.2 kBq
4 173 kBq
5 750 kBq
問18 統計
正規分布、対数正規分布及び環境空気中の有害物質の濃度分布に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 対数正規分布の幾何標準偏差は無次元である。
2 正規分布の平均値と標準偏差とは同じ次元を持つ。
3 横軸に変数の対数をとったとき、対数正規分布の曲線の形は、幾何平均値を中心として左右対称になる。
4 一般に、環境空気中の有害物質の濃度の平均値が高くなるにしたがって、濃度の標準偏差も大きくなる。
5 正規分布の平均(算術平均)及び標準偏差をそれぞれµ及びσとすると、この分布の95%上限値はµ+3σである。
問19 捕集
環境空気中の有害物質の捕集に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 多段平行板式分粒装置を用いて鉱物性粉じんの濃度を測定する場合、吸引流量が所定の値より小さいと測定値は低くなる。
2 慣性衝突式分粒装置を用いて鉱物性粉じんの濃度を測定する場合、吸引流量が所定の値より大きいと測定値は低くなる。
3 小型ガス吸収管によるガス状物質の捕集では、流量が大きいほど捕集率は低くなる。
4 ミゼットインピンジャーによる粒子状物質の捕集では、流量が大きいほど捕集率は低くなる。
5 捕集袋に採取した試料の濃度は、時間とともに減衰することがある。
問20 作業環境評価
有害物質のA測定及びB測定が行われた場合の作業環境評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 1日測定では、測定結果の評価に際しての日間変動としては、経験的に得られた推定値が用いられている。
2 A測定の第1評価値と第2評価値は、共に幾何平均値より小さな値になることはない。
3 A測定の第1評価値が管理濃度より小さければ、B測定の測定値にかかわらず、第3管理区分になることはない。
4 A測定の第2評価値が管理濃度を超えていれば、B測定の測定値にかかわらず、第3管理区分になる。
5 B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えていれば、A測定の第2評価値にかかわらず、第3管理区分になる。
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