令和6年 第1回 作業環境測定士試験(労働衛生一般) 回答と解説
はじめに
2024年8月21日に第2種作業環境測定士試験が行われました。その回答が公益財団法人安全衛生技術試験協会のHPより、8月29日に公開されました。
本noteでは、その問題と回答、解説をまとめたPDFを添付をしております。数問を解説例として掲載しておりますので、気に入った方は、是非PDFのダウンロードをお願いいたします。
(注)誤字脱字には注意して作成しておりますが、その点予めご了承くださいませ。
(注)上記HPに掲載される過去の試験問題は、2回分しか保存されていないため、必要な方は毎回保存しておきましょう。
今回の試験のポイント
共通科目 労働衛生一般の試験のポイントは、以下の通りです。
今回の試験で初めて、GHSの危険有害性クラスとその絵表示の組み合わせを選ぶ問題が出題された(問2)。
前回の2023年第2回試験に引き続き、暑熱環境のみならず寒冷環境およびその人体への影響を問う問題が出題された(問12)。
問4
化学物質の代謝等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 エチルベンゼンは、代謝されて、尿中にマンデル酸として排泄される。
2 n-ヘキサンの生物学的モニタリング指標は、尿中の n-ヘキサノールである。
3 1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの生物学的モニタリング指標は、いずれも、尿中のトリクロロ酢酸又は総三塩化物である。
4 カドミウムの生物学的モニタリング指標として、血液中のカドミウムの量がある。
5 化学物質の生物学的半減期は、体内に取り込まれた有害物の量が半分に減少するまでに要する時間である。
【回答】
2
【解説】
1 エチルベンゼンの生物学的モニタリング指標は、尿中のマンデル酸である。なお、スチレンの生物学的モニタリング指標は、尿中のマンデル酸およびフェニルグリオキシル酸である。
2 n-ヘキサンの生物学的モニタリング指標は、尿中の 2,5-ヘキサンジオンである。
3 3 種類の生物学的モニタリング指標は、いずれも尿中のトリクロル酢酸又は総三塩化物(トリクロル酢酸やトリクロルエタノールを指す)である。
問16
電離放射線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 電離放射線は、電磁波と粒子線に大別され、X 線や γ 線は電磁波、α 線、β 線、中性子線
は粒子線である。
2 α 線、β 線及び γ 線の中で、透過力が最も弱いものは α 線である。
3 ガスクロマトグラフの検出器である ECD は、コバルト 60 から放出される β 線を利用し
たものが一般的である。
4 白血病は、晩発障害に分類される確率的影響で、しきい値がなく、被ばく線量の増加に
伴って発生率が増加する。
5 皮膚と神経を比べると、皮膚の方が放射線感受性が高い。
【回答】
3
【解説】
1 電離放射線には、電磁波、荷電粒子線、中性子線などが含まれる。電磁波には波長のごく短い紫外線から X 線、γ 線が、荷電粒子線には α 線や β 線が分類される。
2 α 線、β 線、γ 線は、それぞれ紙、アルミニウムなどの薄い金属板、鉛や厚い鉄の板で遮蔽することができる。
3 ガスクロマトグラフにおける電子捕獲検出器 (ECD)は、ニッケル 63 から放出される β線を利用している。
4 電離放射線の生体への影響は、大きく分けて身体的影響と遺伝的影響に分類される。このうち、身体的影響は早期障害と晩発障害に分けられ、前者は造血器障害や消化管障害、皮膚障害、神経障害、後者は発がん、突然変異、白内障などの障害が挙げられる。また、遺伝的影響、発がん、突然変異は確率的影響である。
解説例を見て、有料PDFをご希望の方は以下よりダウンロードください。
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