令和5年 第1回 作業環境測定士試験(分析に関する概論) 問題集
はじめに
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さて、2023年8月に第2種作業環境測定士試験が行われました。その回答が公益財団法人安全衛生技術試験協会のHPにて公開されています。
https://www.exam.or.jp/exmn/EMkohyo.htm
本noteでは、出題のすべてを掲載しました!!
もし、過去問で何年度のものが見たい、などご要望がありましたらコメントにてお知らせください。先行して公開できるように、ご準備いたします。
(注)上記HPに掲載される試験問題は、過去2回分しか保存されていないため、必要な方は毎回保存しておきましょう。
問1 SI単位
次の単位名称AとそのSI 基本単位による表現Bとの組合せのうち、誤っているものはどれか。
A B
1 パスカル m-1 kg s-2
2 ジュール m3 kg s-2
3 ヘルツ s-1
4 クーロン sA
5 オーム m2 kg s-3 A-2
問2 分析値
分析値とそのばらつきに関する次の記述のイからニの□に入る式又は語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「n回の分析で分析値x1 ,x2 ,x3 ,… ,xnを得た時、その平均値xはイで表される。分析値のばらつきの程度は、ロ (分散)で表され、分散の代わりにハで表される不偏分散を用いることもある。分析値は、平均値に分散又は不偏分散のニを±でつけて表す。」
(数式のため、省略)
問3 有機化合物の性状
有機化合物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 フェノールの水溶液は、アルカリ性を示す。
2 アニリンの水溶液は、アルカリ性を示す。
3 プロピオン酸の水溶液は、酸性を示す。
4 プロパンは、常温・常圧 (25℃、1気圧)で気体である。
5 酢酸は、エタノールの酸化によって生じる。
問4 有機溶剤の官能基
有機化合物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 アセトニトリルは、-CN基をもっている。
2 酢酸は、-COOH基をもっている。
3 トルエンは、-CH3基をもっている。
4 ホルムアルデヒドは、C = O基をもっている。
5 ジエチルエーテルは、-OH基をもっている。
問5 質量パーセント濃度の計算
6.0 mol・L-1の水酸化ナトリウム溶液の密度は1.20 g・cm-3である。この溶液の水酸化ナトリウムの質量パーセント濃度として、正しい値は次のうちどれか。ただし、水酸化ナトリウムのモル質量を40.0 g・mol-1とする。
1 16%
2 18%
3 20%
4 22%
5 24%
問6 分配係数の計算
有機化合物Aを50 mg含む水溶液100 mLにヘキサン5.0 mLを加えて振り混ぜ、Aをヘキサンに抽出したところ、その質量は40 mgであった。有機化合物A の水とヘキサン間の分配係数の値として、正しい値は次のうちどれか。ただし、分配係数は次式で表される。
1 16
2 20
3 40
4 60
5 80
問7 作業環境測定の操作と器具
作業環境測定における操作Aと、それに用いる器具Bとの次の組合せのうち、不適切なものはどれか。
A B
1 標準液の標定 ビュレット
2 標準液の調製 メスフラスコ
3 標準ガスの調製 パーミエーションチューブ
4 空気吸引ポンプの流量の調整 石けん膜流量計
5 ミストの捕集 真空捕集瓶
問8 標準ガスの調製
拡散セルを用いた標準ガスの調製に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 標準ガスの濃度は、拡散セルの拡散チューブの寸法、温度、希釈空気の流量に依存する。
2 拡散セルに、複数の標準物質を入れて標準ガスの調製をすることはできない。
3 標準ガスの濃度の微調整は、拡散セルの温度を変えるよりも希釈空気の流量を変える方が短時間で行うことができる。
4 標準ガスの濃度は、拡散セルの温度が高いほど高くなる。
5 標準ガスの濃度は、拡散セルの拡散チューブの長さが長いほど高くなる。
問9 試薬
分析に用いる試薬に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 試薬特級の純度は、日本産業規格で規格化されている。
2 特定の分析を目的として不純物の種類・濃度の許容レベルを定めた特殊規格の試薬が存在する。
3 酸と塩基は、別々の棚に収容する。
4 有機溶剤の中には光で劣化するものがある。
5 一次標準物質は、滴定により純度を規定する必要がある。
問10 検量法
検量法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 測定結果が検量線の濃度範囲を超えた場合は、試料溶液を希釈して再測定する。
2 測定値と濃度が本来比例関係にあるにもかかわらず検量線が直線とならない場合は、分析条件を再検討する必要がある。
3 標準添加法は、測定対象物質濃度がゼロの時に測定値がゼロとみなせる場合に使用可能である。
4 内標準法は、測定対象物質と内標準物質のそれぞれの測定値に誤差があるため、測定精度が下がる。
5 内標準物質には、測定対象物質と物理的、化学的によく似た物質を選択する。
問11 物質量の計算
炭酸カルシウム (CaCO3) 0.400 gを酸化カルシウムと二酸化炭素に完全に分解した。このときに生成した二酸化炭素の物質量として正しい値は、次のうちどれか。ただし、それぞれの原子の原子量は次のとおりとする。Ca : 40.0、C: 12.0、O: 16.0 。
1 0.400 mol
2 0.200 mol
3 0.040 mol
4 0.020 mol
5 0.004 mol
問12 試薬
容量分析に用いる試薬に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 容量分析の一次標準物質には、化学的に安定な固体試薬が用いられる。
2 炭酸ナトリウムは、水酸化ナトリウム溶液の標定に用いられる。
3 フタル酸水素カリウムは、水酸化ナトリウム溶液の標定に用いられる。
4 シュウ酸ナトリウムは、過マンガン酸カリウム溶液の標定に用いられる。
5 塩化ナトリウムは、硝酸銀溶液の標定に用いられる。
問13 金属イオンの吸収
次の金属イオンを含む水溶液のうち、可視部に吸収があるものはどれか。
1 亜鉛イオン (Zn2+)
2 カルシウムイオン (Ca2+)
3 銀イオン (Ag+)
4 銅イオン (Cu2+)
5 バリウムイオン (Ba2+)
問14 吸光度の計算
物質Aの濃度が2.0 × 10-5 mol・L-1の濃度の溶液を光路長1.0 cmの試料セルに入れ、波長550 nmにおける吸光度を測定したところ、0.240であった。この溶液中の物質A の550 nmにおけるモル吸光係数として、正しい値は次のうちどれか。
1 3.0 × 103 mol-1・L・cm-1
2 6.0 × 103 mol-1・L・cm-1
3 1.2 × 104 mol-1・L・cm-1
4 2.4 × 104 mol-1・L・cm-1
5 3.6 × 104 mol-1・L・cm-1
問15 原子吸光分析法
原子吸光分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 グラファイト炉法及び還元気化法では、中空陰極ランプが光源に用いられる。
2 グラファイト炉法では、炉に通電することで生じるジュール熱で原子化を行う。
3 重水素ランプはバックグラウンド吸収の補正に用いられる。
4 ヒ素の還元気化法では、試料を水素化ホウ素ナトリウムと反応させることで原子状のヒ素を生成する。
5 水銀の還元気化法では、試料を塩化スズ (Ⅱ)と反応させることで原子状の水銀を生成する。
問16 蛍光光度分析法
蛍光光度分析法に関する次の記述のイからハの□に入る語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「励起光を吸収した分子は電子励起状態へ遷移する。電子励起状態にある分子がエネルギーの一部を熱として放出した後、電子基底状態へ戻る際に蛍光が生じる。そのため、励起光よりも蛍光の方がエネルギーがイ。また、励起光よりも蛍光は波長がロ。分光蛍光光度計では、光源として主にハを用い、ここから出た光を分光した後、試料に照射し、生じる蛍光を測定する。」
イ ロ ハ
1 大きい 短い タングステンランプ
2 大きい 長い キセノンランプ
3 小さい 短い タングステンランプ
4 小さい 長い タングステンランプ
5 小さい 長い キセノンランプ
問17 ガスクロマトグラフ分析法
有機溶剤を、無極性液相のキャピラリーカラムを用いたガスクロマトグラフ分析法で分析したところ、直鎖のアルカンを3種類検出した。これらがキャピラリーカラムから溶出する順序を、早い方から並べたものは次のうちどれか。
1 オクタン ヘキサン ペンタン
2 オクタン ペンタン ヘキサン
3 ペンタン ヘキサン オクタン
4 ペンタン オクタン ヘキサン
5 ヘキサン ペンタン オクタン
問18 ガスクロマトグラフ分析法
ガスクロマトグラフ分析法に用いられる検出器Aと分析対象物質Bとの次の組合せのうち、不適切なものはどれか。
A B
1 水素炎イオン化検出器 (FID) 炭化水素化合物
2 炎光光度検出器 (FPD) 有機硫黄化合物
3 電子捕獲検出器 (ECD) 芳香族炭化水素化合物
4 光イオン化検出器 (PID) 不飽和炭化水素化合物
5 熱イオン化検出器 (TID,FTD) 有機リン化合物
問19 X線回折分析法
作業環境測定におけるX線回折分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 この分析法では、通常、Cu-KαX線が用いられる。
2 この分析法は、結晶物質の同定や定量に使われる。
3 X線の回折角度の測定には、ゴニオメーターを用いる。
4 フィルターに捕集した試料から、目的物質を抽出した後、測定する。
5 結晶物質から回折するX線の回折角から、その物質の格子面間隔を求めることができる。
問20 放射性物質 壊変形式
壊変形式Aと、壊変に伴って原子から放出される粒子、素粒子又は電磁波Bとの次の組合せのうち、誤っているものはどれか。
A B
1 α壊変 4He の原子核
2 β-壊変 電子
3 β+壊変 陽電子
4 核異性体転移 X線
5 自発核分裂 中性子
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