クリニックの先生とのはなし:人は私が思うよりずっと沢山の側面がある
モヤらせ先生とのはなし
以前の記事でモヤっとさせられた先生にあたったことを書いた。
この先生は、後述するが、相変わらず態度も横柄だし、折に触れてモヤらかしてくるモヤらかせの天才みたいな先生だ。
モヤらせ先生の知らなかった一面
移植周期での診察で、移植後の診察回数(繁忙期なのでとにかく判定結果と同じくらい診察の回数とタイミングが恐怖なのだ)について質問しようとした。そこで何気なく「もちろん結果は色んな可能性を含むことは承知の上ですが、もし良好な結果で進んだ場合の診察回数なのですが、~~」と質問した。自分で自分に予防線を張っている意味もあるが、今思えばどちらかというとモヤらせ先生に「私たち女性も確率や統計、リスク評価についてちゃんと勉強していますよ、ふんっ」という意味合いが強かった(自分の憎たらしい性格が勝っていた)と思う。
すると、モヤらせ先生が「結果はまだわからないって…ダメなことないから、絶対妊娠するんだからね」と言ったのだ。
あぁ、コイツこういう所もあるんだ。もちろん、医者が「絶対」とかいうのもどうかと思うし、移植後に色んな悲しい経験を繰り返している人に対してこんなこと言ったらそれは凶器になりかねないかもしれない。でも私は純粋に仕事に熱いところがあるヤツなんだなと思った。少し胸が痛くなった。
女性に対するモヤっとした発言はやっぱりいただけない。でも自分の許せないところを見つけると、つい人を自分が気になる一面だけを切り取った局所的な側面をその人のすべてにしかけていたのは私だ。人は自分が知っているその何万倍も色んな側面があって多面的な生き物だ。人と接するとき、SNSを見るとき、そういうことを忘れてはいけない。
とは言え
そんなことがありつつも、モヤらせ先生のモヤらせがなくなったわけではない。同じ診察の際に、いま自分がしている運動の種類を伝えて、移植後に続けて良いか聞いたところ、「我々の病院は運動が妊娠超初期に与える影響は少ないとの立場を取っているが、リスクはゼロではないので、自己判断でやってくれ。」との完ぺきな回答をいただいた。ただ、立て続けに「なのでご主人に聞いて決めてください」と言ってきたんだわ。とは言え、もうこちらも負けていない「私の身体のことは私の意見を優先して決めます」とお答えした。
モヤらせ先生は無視して次の診察日の話を始めた。看護師さんは聞こえないふりをしていた。
私とモヤらせ先生の攻防は続く。私には、少しだけモヤらせ先生を嫌いになれない情がめばえている。