私は
私はステンドグラス。
はるか昔にこの大きな教会ができてからずっと、薄暗いこの場所に唯一、明るい光を入れるのが役割のひとつでもある。
活気ある外の世界を感じることも、静粛な教会を眺めることも好きだ。そうやって私は明るさと暗さの両方を見る。
ミサのたび、席に座ったり、跪いて祈る人が、一度は私を仰ぎ見るときの顔を、いつも美しいと思う。
ここには、本当に様々な、たくさんの人がやってきた。
結婚式を挙げる夫婦も、お別れをいう家族も、洗礼式の親子も。
1人で静かに祈る人も、ミサに参列する人や観光客も。
誰もいない時間もいいけれど、やはり私は、神と対話する人を見ているのが好きだ。
何かあるとやってきて、涙を流したり、呟いたりしては、また少し元気を取り戻して帰っていく人の気配があるのが、一番嬉しい。
なぜなら、しんと静まり返ったこの教会が、そんな時こそ、本当の姿を取り戻すように思えるからだ。
司祭の祈りが天に上り、パイプオルガンが響き渡ると、私も神とともにある。
その時、人々とともに味わう至福は、何ものにも代えがたい。
私はステンドグラス。
そしてこれからもずっと、あなたとともにある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?