お盆特別編 Jリーグの期限付き移籍制度を語る
みなさんこんにちは。よこちょうです。
お盆の時期になりましたが、皆様ごゆっくりされておりますでしょうか。それとも、普通に平日はお仕事でしょうか。
昨今はあえてお盆を外してお休みされる方も増えてきているような気がしますが、やっぱ「休み」は重要ですので、しっかり休んで英気を養っていただければと思います。
また、先日発生しました東北地方の大雨、そして九州地方での大きな地震、本当に心が痛みます。心よりお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復興を願っております。
それにしても関東は異常な暑さですね。。そしてオリンピックも熱かった! ちょっと睡眠サイクルが乱れ気味で疲れが貯まっていることもあり、ここらで私も少しギヤを落としつつのんびり仕事できればと思っています。
さて、本日はお盆期間中ということもあり、少し視点を変えまして、私が長年趣味としております「Jリーグ観戦」(ちなみに、J1の川崎フロンターレとJ3のアスルクラロ沼津をメインに応援しております!)を題材に、選手の活用をメインにしたある制度について考察してみたいと思います。
ある制度とは「期限付き移籍制度」。レンタル移籍と呼ばれてもいますが、この制度を人事の視点からゆるりと考察してみたいと思います。
【期限付き移籍制度とは?】
Jリーグの選手は、そのチームを運営している会社と、いわゆる業務委託契約を結んだうえで活動しています。
選手の皆さんは、日々厳しい練習を積み、試合で成果を発揮すべく頑張っていますが、当然ながら試合に出れるのは11人、サブでベンチ入りできる選手を含めても18人。多少の入れ替えはあっても、成果を発揮できる機会が限られてしまう選手がいるのも事実です。
リーグ戦だけでなく、カップ戦(ルヴァンカップや天皇杯)の早い段階(下のカテゴリと対戦するケース)や、連戦で試合がたてこんでハードな状況の場合、ターンオーバー(主力を休ませて別メンバーで戦うこと)を行い、選手を入れ替えて戦っても、特に若手などは出場機会が限られ、なかなか経験を積めない状況が発生します。
このような際に、選手の出場機会を増やし経験を積ませることを目的に、別のチームへ「その年度限定」などの時限を設けて移籍をする事がよく行われます。これを期限付き移籍(レンタル移籍とも呼びます)といいます。
J1のチームからですと、下のカテゴリであるJ2、J3のチームに若手を武者修行に出しているケースがよくあります。川崎フロンターレからもJ2の仙台に松井選手、名願選手、J3の福島に大関選手、松長根選手、宮崎に永長選手、山口に五十嵐選手が今シーズンの間の期限限定で移籍をしています。
今をときめく日本代表で頑張っている久保選手もFC東京時代には横浜F・マリノス、レアルマドリード時代にはマジョルカやビジャレアルに期限付き移籍を経験しています。また、冨安選手と並び日本を支えるセンターバックの主力となっている板倉選手も、フロンターレから期限付き移籍した仙台で大きく成長し、海外に羽ばたいていきました。
ちなみに移籍する選手の給与をどちらが払うかは、契約次第のようです。移籍する選手は基本若手が中心となりますので、人件費負担としてはそれほど大きくないと想定されます。
また、期限付き移籍の場合は、移籍元と移籍先の対戦がある場合は出場できない条件を付けるのが普通です(まあ当たり前ですが)。
【期限付き移籍のメリット】
この「期限付き移籍」という制度ですが、メリットとしては、上記のように、多くの特に若手選手が移籍先で出場機会を得る事で、大きく成長出来ていることは間違いない事実かと思います。
また、移籍先のチームにとっては、(普通は)高いレベルでプレーしてきた期待の若手を即戦力に近い形で補強する事ができ、チーム力を短期で上げることが可能になります。
移籍元のチームにとっても、出場機会を得ることが難しい選手を一時的に他チームに預けることができ、その枠で該当シーズンを乗り切る戦力を新たに補強することもできたりします。
【期限付き移籍のデメリット】
一方、デメリットもあります。
「期限付き」ですので、契約上は期限が来たら移籍元に戻るという事になります。したがい、移籍先でその選手が大活躍した場合など、抜けてしまうとチームの戦力が大きくダウンし、翌年度の戦略を一から検討しなおさないといけない事になることもありえます。
また、選手側としても戻ってみたらやはり出場機会は限られてしまい、別のチームに期限付き移籍する、、を繰り返してたらい回しのような形になってしまっている選手も少なからず存在するのも事実です。また、そもそも移籍したにも関わらず出場機会が得られない選手もおり、その場合は戻って退団という悲しい事態になるケースもあります。
【いろいろと考察してみると。。】
サッカーって結構難しいんですよね。なんといっても11人でやるスポーツですし、そもそもチームの戦術も全く異なります。
たとえばボール保持(ポゼッション)から相手を崩す戦略をメインとしているチームと、ロングボールメインのカウンターを狙うチームでは求められるものが全然違ったりします。その意味で移籍したチームで移籍元のサッカーと異なるタイプのサッカーをしている場合、そのチームにフィットして出場機会を得て移籍元に戻ったとしても、戻ったチームの戦略に合わせるのに時間が掛かり、結局有意義かどうかといった問題があります。
あと、よく「借りパク」という言葉が使われますが、選手側が移籍先でめっちゃ活躍した場合、そちらの環境の方が戻るより成長できると判断してもおかしくない事もよくあったりします。その場合期限を延長したり、場合によっては完全移籍(つまり完全に籍を変えてしまう)する場合もあります。
つまり、「借りてパクる」。移籍元から見ると「片道切符」ってのも良くあるパターンです。こういった結末は良いのか悪いのか?なかなか微妙な感じです。
上記の内容を選手側から考えた場合、例えば下のカテゴリのチームに期限付き移籍して活躍しレギュラーを獲得したと想定すると、継続的に活躍できる環境から出場が難しい上位カテゴリに戻るのって、結構勇気がいるのも事実かと思うんですよね。ただ、Jリーグの場合、下のカテゴリですとサッカーだけではなかなか生活するのは難しい環境もあったりするので、本当に悩むところかと思います。
で、人事に当てはめてみますと、これって一種の「出向」に近いものかと思います。
サッカー同様、環境を変えて他の会社を経験する事で、視野が広がり成長できる可能性もあるのかなと思います。
なんとなく出向って、年齢が高い方をポスト不足で子会社に移籍させるなど、あまり良いイメージが浮かばないのですが、サッカーの期限付き移籍にあてはめると、その環境を如何にうまく活用できるかで自身の成長にもつなげることができるのかなと思います。
今回は、私の趣味のJリーグ観戦に絡めて、色々述べてみました。いかがでしたでしょうか?
では皆様、良いお盆休みをお過ごしくださいませ。
人事労務、働き方、退職金関連など、相談先などお困りでしたら、ぜひJOYクリエイトのお問い合わせからご相談下さい。
次回もぜひお楽しみに!