「男性の育児休暇」は根付いたのか?
こんにちは。よこちょうです。
お盆が過ぎても本当に暑い日々、そして天候も不安定で雷雨や台風など、気象に関するニュースが毎日のように伝えられ、本当に日本はどうなってしまうのかと心配になる日々です。色々と困難な状況に遭われている皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
皆様のお仕事や生活にも影響のない事を願うばかりです。
さて、先週は「遺族厚生年金」を考察してみました。
今回は働き方の一環として「男性の育児休暇」について考えてみたいと思います。まず、見つけた以下の記事を紹介します。
男性の育児休暇の取得は進んでいるものの、、実態は如何に? といった論調の記事ですね。私も概ね同じ実感を持っており、この記事を基に以下のポイントで考えてみたいと思います。
【男性の育休の取得率ってどのくらい?】
記事内にも記載はあるのですが、これは厚生労働省の資料を見た方が良さそうですね。
https://www.mhlw.go.jp/content/001128241.pdf
余談ですが、この資料の作成者は「イクメンプロジェクト」。。ネーミングのセンスがちょっと、、、と思いますが(笑)。
詳細については資料をご覧頂きたいのですが、調査した企業(1000名以上の大企業が対象ですが、、)の取得率は46.2%とあります。
(ちなみに、2023年より、従業員数が1000人を超える企業において男性の育休取得状況の開示が義務付けられています。)
この数字、どう思いますか?
私は思っていたより高いと思いました。調査対象が大企業とはいえ、男性の半分近くが取得しているんですね。
また、回答企業の育休取得日数の平均が46.5日というのも驚きです。1か月半が平均という事はもっと長期に育休を取得されている方もいらっしゃるんですね。時代が変わりつつあることを痛感します。
【そもそも育休を何のために取得するのか】
まず、男性の育休を考える場合、ここが大きなポイントとなると考えます。当然ながら、「そこに制度があるから」「制度ができて妻が出産を迎えたから」とかの話ではないですよね?
やはり第一義としては、「奥様が出産された後の体力的に厳しい時期の家事のサポート」かと思います。
昔は(私も実はそうでしたが)、近くに住んでいる親(つまりじーじ、ばーば)が色々と面倒を見てくれてました。もしくは里帰り出産をされていた方も多くいたかと思います。つまり、仕事メインの男性に対し親世代を中心にサポートをしていたというのが実態だったと思います。
ただ、現在は核家族化の進行に加え、晩婚化/出産年齢が高くなった事により、親の方も孫の面倒みるどころか、逆に子供が親の面倒をみないといけない状況になったりする方も多くなったかと思います。
上記の現況を考えると、自然と男性の家事へのサポートの重要性が増してきていると考えます。
男性の私の立場では、出産が女性の体にどの程度負担をかけるものなのかは正確には分かりません。
ただ、その負担は本当に大きなものでしょうし、新生児は昼夜関係なく対応が必要になり、やはり奥様一人で対応するのは本当につらいと思います。
そこで男性が、一時的にでも仕事から離れて奥様をサポートすることは本当に意義のある事だと思います。
なんて、偉そうに書いていますが、私も実は、、もっとサポートするべきであったと反省しきりです。。。
【育休の実態はどうなのか】
最初に上げた記事の中に、以下の記載が見られます。
この文を見たとき、最初は「えーーーマジ?」って思ったのですが、よく考えると、そうなのかもな。。にと思う所もあります。
仕事ばかりで家事をほとんど行ったことがない男性の方が、いきなり休暇を取って奥様をサポートと言われても、、そもそも何をすべきか分からないし、そんな状況で奥様の方も指示をしたり、家事を頼む事が難しいのではと想像しちゃいます。
学生の時に一人暮らしをしていて、自炊や掃除洗濯などを自分でまがりなりにもやった経験があれば、家事もそれなりにできると思うし、自治体やいろんな所で新米パパに対する子供への対峙の仕方(おむつ替え、沐浴、子供のあやし方など、、)の講習に参加したりして、雰囲気を掴む事もできるかと思いますが、そういう経験が全くない方ですと、育休取得しても実はあまりサポートできないといった実態があるのではと私は想像しています。
(ただ、そういう調査結果はどこにもないので、、ホントの所は分かりませんが。)
特に数日とか1か月に満たない程度の短い育休期間ですと、そういった状況が生まれやすいのではと思います。
記事にあるように、「なんちゃって育休」や「ゴロゴロ育休」のような実態があるのなら逆に心配ですし、そういった事がないよう願うばかりです。
【会社側からみた制度はどうなのか】
一方で、会社側から見たときにまず問題となるのは、「その方が休んだ時の処遇」になるかと思います。具体的には、
休暇時のその方の仕事をどう肩代わりするか
休暇中の賃金の取り扱い
周囲のメンバーに対する状況理解
休暇中の社内状況の共有方法
休暇中に習得が必要になった場合の知識獲得手段
育休復帰後の処遇
など、実は色々考えないといけないことがありますよね。。。1週間程度でしたら普通の有給対応とさほど変わらないと思いますが、長期にわたる場合には特に業務をどうカバーするかやその間の賃金(社会保険なども含む)に関する合意、周囲のメンバーの状況共有なども必要です。
管理職の方にとっては、休む個人への配慮に加え、組織のパフォーマンスをどう維持するかは大きな課題となることは間違いありません。
特に個人個人のカバー範囲が広い中小企業の皆様にとっては、切実な問題かと思います。
【(簡単ですが)私としての考察】
結局のところ、先にも記載した「2023年より、従業員数が1000人を超える企業において男性の育休取得状況の開示が義務付けられた」事により、企業側にとってみるとこの指標に取り組まざるを得ない状況になっており、これに取り組む姿勢は大きなポイントになっていると考えます。
制度として回り始めていて、対象者の意識もしっかり根付いている企業もある一方で、会社にしろ対象者にしろ意識づけができていないと、記事にあるように「取るだけ休暇」になったり、なんか制度は作ってみたものの逆に業務に支障をきたしたりなどの問題も出てきており、現状試行錯誤の状況が続いているというのが実情かと思います。
一方で、もともと人数が少ない中小企業にとっては、それどころではないというのがホンネでしょうね。特に現場で欠かせない存在の方ですと、会社全体のパフォーマンスが落ちてしまうことも十分考えられるかと思います。
トータルで考えますと、単純にこの制度を推進するだけでなく、手段として奥様の負担を支える仕組みを総合的に考えていく事も必要と思います。
記事にもありましたが、ベビーシッター制度の充実や補助、保育/託児施設の充実など公共機関も含めて支援を充実させて頂きたいと切に思います。
また、男性側が奥様の負担を支えるための支援策(家事や育児系の研修など)も充実させていく必要があると思います。
個人的には「男性の育休率を上げる」というより、「奥様を如何に支えるか」という視点で育児時期を考えるべきかと思います。
育児に積極的な男性を「イクメン」と称してなんとなく称賛している雰囲気が感じられますが、各種支援が充実され、イクメンとか言わなくても当たり前に家族全員で育児時期を支えていく雰囲気が醸成されることを心から願うばかりです。
今回は、これから益々重要な課題となってくると思われる「男性の育休」について考察を交えて説明してみました。
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次回もお楽しみに!!