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本年施行の雇用保険制度改正(その1) 出生後休業支援給付について

 みなさま、だいぶ遅くなりましたが、新年はいかがお過ごしでしたでしょうか。お仕事のペースも通常に戻ったかと思いますが、順調にいっておりますでしょうか。
 寒気が押し寄せており、体調とともに大変な状況の方々もいらっしゃると思います。くれぐれもお気を付けください。

 さて、本年も週一回のペースで「淡々と」(笑)、こちらのブログを続けてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 今回から何回かに分けて、本年(主に4月ですが)施行される、雇用保険制度の改正について触れてみたいと思います。
 すでにご存じの方も多くいらっしゃると思いますが、今年は多くの制度改正が実施されます。
 概要は厚生労働省から出ている以下のPDFをご参照ください。
 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001266437.pdf

 これらの改正は従業員の皆様の暮らしや、人事ご担当者の方の事務負担にも大きく影響するかと思われます。
 今回は、4月1日より創設される「出生後休業支援給付」について説明します。(上記リンクで示したPDFでは13ページ目に説明がございます。)
 ぜひご覧いただけますと幸いです。


【「出生後休業支援給付」とは?】

 厚生労働省のページから文言をそのまま引用しますと、以下の通りです。

 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。

 図で表したものがわかりやすいので、そのまま貼り付けます。

育児休業給付のイメージ(厚生労働省資料より引用)

 要は、給与の3分の2が支給される育児休業給付金に、一定期間(最大28日)13%を上乗せして、給付率8割(手取りの10割相当)をカバーするというものですね。
 これにより、産後8週間の健保からの出産手当金、雇用保険から育児休業給付金+出生後休業支援給付という形で、休業中の保障が行われます。

【この制度の目的】

 こちらの制度は、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)」であり、概要は以下のPDFで確認できます。
 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001263453.pdf

 これを確認しますと、「共働き・共育て」の推進という中の一つの施策という位置づけになっています。
 この施策自体は、配偶者(つまり夫)も含めた制度になっておりますので、国を挙げて子育ての環境支援を重視していることが伺えるものです。
 特に、資料中にもありますが、「特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる」と記載されている事に隔世の感があります。

【支給要件】

 先に記載しました内容が、支給要件になります。つまり、

 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する

 ことになります。つまり男性も育児休業給付を受けていることが必須となります。なお、配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭の場合は配偶者の育児休業の要件は求められません。

 あと、当該出生後休業の前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あることが必要です。

【支給申請手続き】

 こちらの申請ですが、休業を取得する際の事実確認および賃金の状況確認を円滑に行うため、基本的には「育児休業給付」の申請と一緒に事業主経由で行います。
 雇用保険ですので、当然申請先は事業所を管轄するハローワークに行うことになります。

【本制度に関する考察】

 昔からの「夫は職場、妻は専業主婦で家庭を守る」といった概念は既に崩壊し、共働きが当たり前になる中、子育てに関しても「共育て」が当たり前の環境になるべく政策が立案されてきています。ただ、実態はどうなんでしょうか。
 以前、当方のブログでも以下の記事で「男性の育休」について取り上げてみましたが、

 育児休暇の取得率は、大企業メインで上昇はしているものの、

  • 有効に機能しているか?

  • 中小企業への浸透度合いはどうなのか?

  • 休業された方の仕事をどうフォローしているのか?

 などといった疑問はまだ私の中では拭いきれていません。

 出産に関する給付制度を充実させる事により、その当事者は賃金がなくとも経済的には支えられるかとは思います。
 ただ、育児は決して家計だけの話ではないですし、先のブログでも少し触れましたが、昔は親世代のサポートであったり、近隣で面倒を見たりなどいろいろ地域で非公式にサポートする仕組みも多々あったかと思います。
 核家族化が進行し、なかなかそういった状況にならない中、夫婦に対してのみならず、社会的にも子育てを支えるための施策がもっと充実していくことを強く望みます。

 いかがでしたでしょうか。
 本年も社労士法人 JOYは皆様のお役に立てるよう、職員一同頑張ってまいります。人事労務、働き方、退職金関連など、相談先などお困りでしたら、ぜひお問い合わせください。

 次回もぜひお楽しみに!