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牛田智大さんピアノコンサートと、ショパンコンクール。

先日、牛田智大(うしだ ともはる)さんのピアノコンサートに行ってきました。

牛田さんは、10月に行われるポーランドで行われるショパンコンクールを、予備予選免除で本選の1stステージ(1次予選)に出場されます。

前回のコンクールでファイナリストとなった小林愛実さんも、予備予選から参加しているので、牛田さんの経歴って、すごいのだなぁと改めて思った。

昔はショパコンは、結果をメディアから知るしかなかったけれど、今は you tube で配信されていて、すごい時代になったなぁと思ったものだ。

このコンクールで、今迄日本人の優勝者は出ていない。

you tube のショパコンの配信では、右側に自由にチャットが書き込めるようになっている。本当は英語で投稿するのがマナーとされているが、色んな言語が飛び交っていて、日本人が登場している時は 日本語がたくさん並び、「英語で書きましょう!」と これまた日本語で書かれたチャットが流れる、という笑い話のような事が何度も繰り返されている。

スタインウェイのピアノや日本製のピアノが公式となっていて、ピアニストがどれにするか選ぶのだが、日本製のピアノが使われているとわかると、チャットに「何でスタインウェイじゃないの」と(英語で)揶揄される場面が、過去に視聴していた際、そのままチャットに流れてしまっていた。

今回の第18回ショパンコンクールは、本来は去年2020年に開催される予定だったが、コロナの影響で延期。そして今年4月に予備予選が行われる予定だったのが、それも延期され、結局7月に開催された。この模様もyou tube で配信されていたが、ショパコンに詳しくない私でも「あれ?こんな暑い時期にやってたっけ…?」と不審に思い、ネットで調べたら 3か月程 再度延期したからだった。ショパコンは5年に一回。オリンピックは4年に一回。だから次は20年後に同年に開催されるはずだけど、オリンピックも1年延期して、7月に開催されたから、全く同じ時期に開催されるのは、珍しいと思う。。本選は、ショパンの命日を挟んだ10月だけど。…でも、前回の東京オリンピックは、10月開催だったんですね。たまに10月に開催されてたんだ。(あんまりスポーツに興味がないもんで…)

…でも、ふと思ったのは次のオリンピックは3年後の予定だけど、ショパコンはどうするのかな。やっぱり4年後?それとも5年後?←ずれちゃう。

そして 予備予選と本選の1stステージまでの準備期間が、短くなった。

ショパコンのウィキペディアを見ると、「競技者は、最初の2つのエチュードを除いて、予選ラウンドで演奏した曲を演奏することはできますが、競技の異なる段階で同じ曲を再び演奏することはできません。」って、書いてあるけど、これってどういう意味なんでしょう。

予備予選で弾いた曲は 本選で弾けるけど(エチュード省く)、1st と2nd では重なっちゃダメ、って事かな。。

ネットで色々見てみましたが、わかりませんでした。


さて。牛田さんのコンサート。もちろんオールショパンプログラム。

1曲目は ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」Op.53。

2曲目:ワルツ第5番変イ長調Op.42

3曲目:バラード第4番ヘ短調OP.52

4曲目:舟歌 嬰ヘ短調Op.60

休憩

5曲目:夜想曲第8番変ニ長調Op.27-2

6曲目:幻想曲ヘ短調Op.49

7曲目:ピアノソナタ第2番変ロ短調「葬送」Op.35

8曲目:3つのマズルカOp.56

アンコール:ポロネーズ第7番変イ長調「幻想」Op.61

     24のプレリュード作品28 第4番ホ短調

                   第15番変ニ長調雨だれ 

1曲目のポロネーズでは、低音が力強く、芳醇なワインの薫りのような音。1曲目が終わって拍手をもらって、一旦楽屋へ入り、2曲目から4曲目までノンストップ。空調が強すぎて寒くて上着を着たかったけど、こういうクラシックコンサートでは、服を着る衣擦れの音でも響くので、ずっと我慢していた。「ここで拍手しないで」オーラを出していたのだ。もしかして、ショパンコンクール仕様だったのかもしれない。

ピアノソナタ「葬送」3楽章の あの有名なメロディは、子供の頃から誰に教えられる事もなく知っていた。タイトルが不吉だからか、発表会等で誰かが弾いているのを聴いた事がない。しかし、今回のコンサートで通して聴いていると、途中で明るい部分も出てきて、ポーランドでの楽しい思い出も描かれているように感じた。

この会場で配布されていたフリーペーパーに牛田さんへのインタビューが載っていた。そこには「クラシック音楽の性質上、舞台に立つ際にはできる限り自分の色は出さないようにしようと努力しています。我々と違う時代や環境を生きた作曲家と現代に生きるお客様とを音楽を通して結ぶ橋渡しとしての役割でありたいと思っているので…(続く)」と。

「えっ。」ピアニストの個性って、「出そうと思わなくても出ちゃう」と思っている私は「じゃあ、今日は牛田くんの手にショパンを憑依させる、という事ですかっっ。」

…と思ったのでした。(笑)。

私は、ピアノのタッチが強すぎるピアニストが苦手なので、牛田さんのピアニズムは、私には受け入れる事ができた。

病弱だったショパンは「タッチが弱い」と批判され、大きい会場ではなくサロンを好んだというし、例えば「途中で急に大きな音でびっくりさせるような演奏」をしたとは思えないからだ。

牛田さんは、演奏後にはピアノの残響をかなり大切に考えているようだった。

こんな時、急いで拍手するのは避けたい。

このプログラムの中で、私が弾いた事があるのは、アンコールでの2つのプレリュードと、ノクターンぐらい。バラードは、曲が長くて途中で休憩したくなるので、最後まで止まらず弾けたためしがない。あとは このワルツを、最近譜読みしてみた後、you tubeで他の方の演奏を聴いたらめっちゃ速くてびっくりした。

この曲の冒頭から9小節目~の部分は、「ワルツ」という知識無く聴くと、2拍子に聴こえると思う。…と思って全音の楽譜の解説を見ると、やっぱり。この部分は「2拍子系」と書いてある(「第1部のレジェーロの旋律(A)(←全音の解説より)」。

メロディが、1つの小節に付点四分音符が2つ。それぞれに2つ音が挟まっていて 3連符を刻む2拍子に聴こえる。

このトリッキーな構造、なんて名前だったっけ。。。えと。。ヘミオラ…

…じゃなくて、ポリリズム。(全音には、クロス・リズムと表記されていた。)

私は、右手と左手の音符のタイミングがずれている曲を弾くのが好きです(変態)。


弾いた事がない曲について語る事はできないと悟ったので、この辺で。

大変上品な演奏でした。   ごちそうさまでした。

お土産に牛田さんのCDのベスト盤を買った。

開けてみると、12歳でCDデビューした頃の、少女のように可愛らしい写真などが並んでいる、ブックレットのようなものが入っていた。

…アイドルか?!

しかし、本当にかわいらしい。

一時、よくバラエティーに出ていて、まだ声も高かった頃、何時間練習してるのと聞かれ「○時間、練習させて頂いています~」と上品なマダムのように丁寧に受け答えしていて、それが受けていたのだと思う。

ある時からテレビへの露出が減っていった。

その理由は…… 「声変わり」かな、と勝手に思っている(笑)。

知らない間に大人になっていた。あの頃、将来何をやりたいか聞かれ「音楽に関係する事業をしたい」と言っていたけれど、今もその思いは変わっていないのかな。。。

思い出した。牛田くんは、「日経新聞を読んでる」と言っていた。

(証拠映像(笑)が有りました。この時、12歳ぐらい。)https://www.youtube.com/watch?v=7pbxGYzR7DI

あっ、その前に この「ショパンコンクール」ですよね。

アンコールのポロネーズ7番は、「10分位あるので、帰らないといけない方は、どうぞ帰って下さいね。」と牛田さんがマイクでお話しした。

声は変わったが、謙虚さは変わっていなかった。




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