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渡邊雄太選手と、NCAAディビジョン1ジョージワシントン大学

皆さん、
渡邊雄太選手の母校、ジョージワシントン大学のことを覚えていますか?(笑)

どうしても、日本人選手が”卒業”してしまうと忘れられがちな、アメリカの大学。

NCAAバスケットボールファンとしてはもったいなく思いますので、過去ブログに書いたものを残しておこうと思います。

結局、現地に応援に行くという思いは現実になりませんでしたけれども、懸命に情報を追いかけました。

※2023年、ジョージワシントン大学は、体育局(アスレティックデパートメント)スポーツ全ての共通ニックネームを、Colonials(コロニアルズ、植民地人)からRevolutionaries(レボリューショナリーズ、革命家)に変更しました。こういったニックネームの変更はたまにあります。コロニアルズはたしかに時代に即さないですね。

渡邊雄太選手、ジョージワシントン大学にコミット!(2014年入学)

もう10年以上経つんですね。

とても懐かしい。
インタビュアーは当時4年生だったジョンコプリバ。6-8とサイズが近く、渡邊選手が当時課された4番ポジションのスターターでした。
この2014-2015シーズン途中より、このコプリバからスターターを奪い取ることになります。

※学業が優秀だったコプリバは、地元ウィスコンシンに戻ってメディカルスクールに通ったようです。

渡邊雄太選手、ジョージワシントン大学ー2015-16シーズン予想ー

渡邊雄太選手の昨季(一年生時)成績

全35ゲーム全ゲーム出場、うち10ゲーム先発
1試合平均22.5分出場(チーム5位)、7.4ppg(同5位)、3.5rpg(同6位)
FG%38.4、3pG%34.8、3p試投112(チーム1位)
FT%83.1(チーム1位*50本以上試投選手中)
アトランティック10カンファレンス(A10)週間ベストルーキー2度受賞

まずまずといえばまずまず。物足りないといえば物足りない。チームとしてはそんなところでしょうか。

渡邊選手に限って言えば、素晴らしい成績です。ハイメジャー校ではありませんが、ジョージワシントン大学とアトランティック10は名門。
プレイすることはもちろん、ロスター入りすることすら、簡単な場所ではありません。*あの富樫選手もジョージワシントン大学への入学を望んだようです。そこで、1年生から堂々の出場ですから

チームとしてのハイライトは、ハワイで行われるビッグイベント、ダイヤモンドクラシックでの優勝でしょう。

ロンベイカーや、後にNBAラプターズでチームメイトとなるフレッドバンブリートを擁したウィチタステイトを撃破。当時、WSUのランキングは11位でしたから、1年目からのNCAAトーナメント出場に期待が膨らみましたが・・・

22勝13敗(アトランティック10カンファレンス10勝8敗、6位)
ポストシーズン:
カンファレンストーナメント ベスト16 第3シードロードアイランド大学に敗退
NIT ベスト16 、テンプル大学に敗退
*ホーム12勝2敗、アウェイ5勝10敗、ニュートラル5勝1敗

2015-2016シーズンはどうでしょうか。

ジョージワシントン大学コロニアルズは勝負できる年ではあります。
主力は4年生。まず、五輪、ワールド杯(世界選手権)ともに優勝経験のある世界の強豪、アルゼンチンのフル代表に選出され、リオ五輪アメリカ大陸予選に出場が濃厚なパトリシオガリーノ(6-6、G/F、ディアンジェロラッセルやベンシモンズと同じモントバードアカデミー出身)。多くは3番での出場で、平均31.6分はチーム2位。何より、彼のウリはディフェンス。エースキラーであり、カンファレンスのオールディフェンシブチームに選ばれています。そしてオールアトランティック10のサードチームに選ばれたインサイドの核、デンマーク人のケビンラーセン(6-10、F、リナスクレイザ、KJ松井、伊藤大司、ケビンデュラント、グレイビスバスケス、そして富樫の出身校として有名な、モントロスクリスチャンスクール出)。次にジョーマクドナルド(6-1、PG)。計110本のアシストはダントツのチーム1位。

※渡邊選手と、親善試合の代表戦で相まみえたアルゼンチン人のガリーノ、そしてデンマーク人のラーセンはともにスペインでプレイ中。マクドナルドはGWのスタッフとして働いていたようです。

ではアトランティック10カンファンレンス全体を見渡すと・・・

渡邊選手を差し置いて、アトランティック10新人王に輝いた、ニューヨーク・フォーダム大学のエリックパスカル(6-6、G、昨季15.9ppg、5.5rpg)。パスカルは渡邊選手と同じ、コネティカット州のセントトーマスモアスクール出身で、2人揃ってのフォーダム大学入りの可能性もありました。先日の月刊バスケットボールの、渡邊選手のインタビューに載ったとおり、その運動能力あふれるプレイで渡邊選手をも驚愕させたプレイヤー。そのパスカルもまた、ビッグイーストの強豪校、ビラノバ大学に転校を決めたようです。

https://j-man.net/archives/1740

※パスカルはイタリアでプレイ中とのこと

渡邊雄太のジョージワシントン大学、NIT優勝!そして来日!!(2016年)

NIT優勝についてはスゴイとしか言いようがありません。
どうしてもNCAAトーナメントより低く見られがちですが、GW含め今年も当落線上ぎりぎりとなってしまったチームが参加。そのレベルはNCAAトーナメントの1,2回戦あたりと遜色ないものでした。

かつてはNCAAよりも権威あるトーナメントでした。

さて渡邊選手。

スタッツを見てみますと・・・
*アベレージ
*( )内はフレッシュマン時のもの
出場時間27.7(22.5)
FG:成功2.9(2.5)、試投6.9(6.4)、%422(384)
FT:成功1.7(2.4)、試投2.4(1.7)、%707(831)
REB:4.0(3.5)
AST:1.4(0.6)
BLK:1.1(0.6)
STL:0.4(0.6)
PF:1.9(2.1)
TO:1.1(0.7)
PTS:8.4(7.4)

ほとんどの数字が向上しています。

NITの優勝メンバーから、4年生だったガリーノやラーセンは抜けましたが、オフである8月には、新3年生となる渡邊選手がジョージワシントンの一員として堂々の凱旋。

大阪でのゲームを観に行きました。

Bリーグ開幕直前でした
ジョージワシントンの面々
迎え撃った、当時の日本代表

結果はジョージワシントンの3戦全勝。

この投稿時点(2025年1月)、日本代表が同じようにジョージワシントンと戦ったらどのような結果になるでしょうか。

少なくとも、およそ8年半前のあの時、あの日本代表を見た限りでは、2024年パリ五輪出場は想像できませんでした。

※この来日直後。新シーズン開幕前に、ジョージワシントンは名将と言われたヘッドコーチ、マイクロネガンを電撃解任(パワーハラスメント疑惑)。代わってロネガンのバーモント大学での教え子であったモーリスジョセフが暫定HC、同じくバーモントでプレイしたクリスホルム(現茨城ロボッツヘッドコーチ)がアシスタントコーチに就任しました。

※NIT2016の最優秀選手、渡邊選手の1こ上、タイラーカバノーは、現在トルコでプレイ中。

渡邊雄太とジョージワシントン大学-2016-2017シーズン-(3年生)

ゲームスケジュールもそろそろ決まってきております。

ACC所属の強豪、マイアミ(フロリダ)大学とHome&Homeとよばれる定期戦の締結。一年ごとにそれぞれのホームで戦います。

今年はアウェイ。

年末にフロリダ州マイアミ郊外のコーラルゲーブルズにあるマイアミ大学キャンパスで。(こういうところに使われる。渡邊選手は文字どおりチームの「顔」になってきました。)

渡邊雄太とジョージワシントン大学 vsVCU~2016-2017

さて、このシーズンは忘れられないゲームがあります。

2017年2月8日(現地)、ホームで行われたVCU(バージニアコモンウェルス)戦です。

勝敗抜きで、すごいゲームでした。

ゲームプランどおりに進めたのはホームのジョージワシントン。

スリーポイントとフルコートディフェンスがトレードマークだったVCU名物の"HAVOC(ハボック)"は、前コーチ、シャカスマート時代に比べると鳴りを潜めたとはいえ、VCUの今季平均得点は75点。勝ちゲームはおよそ80点ほどと、それなりのハイスコアリングゲームは今季も健在でした。*VCU、54得点での勝利は今季最少。

VCUに能力で劣るジョージワシントンは、予定通りロースコアの接戦に持ち込み、残り1分で49-51と2点を追う終盤はファウルゲーム。VCUは1and1のフリースローを決め切れず、残り10秒、50-52でジョージワシントンのポゼッション。ジャレンシーナのパスを受けた渡邊が、残り1秒で逆転のコーナースリーを沈めて53-52と大逆転。

ここでいったんは"FINAL(試合終了)"と表示されました。

全てはジョージワシントン大学ベンチの思惑通り。

そしてヒーローは渡邊雄太。

オフィシャルによるビデオ確認により、残りはわずか0.4秒。誰もがジョージワシントンのアップセット成立と考えたこのゲーム、最後のVCUのポゼッションはバスケット(VCUゴール)から最も遠いベースラインから。

ジョージワシントンはここでも定石通り。VCUの長い”タッチダウンパス”を阻止するために、チーム最長身、6-11の2年生、コリンゴスをボールマンの前に立たせます。

VCUのヘッドコーチ、ウィルウェイドが一枚上手でした。。。

この場面、”動いての”スローインが可能だったVCUは、良いパスを出させるべく、コリンゴスに対してスクリーン。

とにかくスローインするボールマンの前に立ちはだかろうとしたゴスはレフリーの目の前でこのスクリーナーを押し倒し、時計が動かないまま痛恨のファウル(プッシング)。

VCUコーチ、ウェイドの考えた1stオプション、ファウルを受けたスクリーナーは、VCUのナンバーワン(FT%8割超)シューターでエースのジャクァンルイス。

それまでポロポロとフリースローを落としていた4年生ルイスは、この場面でフリースロー2本をきっちり沈めて逆転。VCUの54-53。

残り0.4秒のままのジョージワシントンのラストショットは決まらず、そのままゲーム終了。

渡邊雄太とジョージワシントンにとっては悔やまれる敗戦ですが、VCUコーチ、ウィルウェイドが戦略家としての凄みを見せつけたと言えるでしょう。

こんなエンディングは初めて見ました。あるESPNのアナリストは「VCUの最後のスローインプレイは、もう二度と使えない(それほど珍しい)。」とまでコメント。

※ウィルウェイドは後にハイメジャー校LSUに栄転。が、リクルーティング違反で辞任に追い込まれ、同じくルイジアナ州のローメジャー、マクニースステイトに異動。即NCAAトーナメント出場という結果を出して、上にあげたマイアミ大学によるヘッドハンティングが噂されています。

渡邊雄太選手のジョージワシントン、リッチモンドに敗れシーズン終了

2017年アトランティック10カンファレンストーナメントの準々決勝。

第4試合で6位シードのジョージワシントンが、3位シードのリッチモンド大学と対戦。
67-70の惜敗でした。

悔しいですが、何も恥じることはありません。

「全てをコートに置いてくる」とはこういうゲームなのだと思います。

ジョージワシントンは全てを出し尽くしました。

NIT優勝チームから主力がごっそり抜けた上に、シーズン開幕直前にヘッドコーチが解任されるという前代未聞のトラブルを抱えたチームだったとはとても思えない、今日のゲーム。

悔しさが残ると言えば、スコアGWの67-68、残り6秒で迎えた最後のインバウンズパスプレイ。

ボールを手にした渡邊が仕掛けたドライブに対し、リッチモンドのスティールリーダー、2年生のクワンフォーが手を出してスティール。明らかにファウルに見えましたがノーコール。

笛が鳴ってもリッチモンドは納得したはずです。

どうしようもないですが、、、格上を追い込んだだけに残念でした。。。

※この後、ポストシーズントーナメントでの戦いを終え、渡邊選手の3年生シーズンが終了しました。

渡邊雄太とNCAAジョージワシントン大学コロニアルズ2017-2018(4年生)

悲願のNCAAトーナメント出場に向け、気合十分でしたが・・・

エース、カバノーが抜けた後、良い選手を獲れなかった。

※この時の新加入選手には、現在ボストンセルティックスでヘッドコーチを務める、ジョーマズーラの弟ジャスティンがいました。> 後にバーモントへ転校。最近までNBAユタジャズのGリーグ球団、ソルトレイクシティスターズのスタッフでした。

ノンカンファレンスゲームでの注目は、やはりマイアミ大学戦でした。当時全米ランキング6位だったUMは、ブルースブラウンのほか、1年生ロニーウォーカーが加入。

そして彼。

マイアミでもう一人注目したのが2年生ガードのデジャンバジルヘビッチ。
オーストラリア人の彼は、2014年のFIBAu17世界選手権の銀メダリスト。八村塁が率いた日本は、この準優勝国とオーバータイムにもつれる接戦を演じました。4番がバジルヘビッチ↓

※彼は現在、母国オーストラリアNBLでプレイ中。

※ジェイソンテイタムやジョッシュジャクソンらのアメリカに大敗したゲームだけがクローズアップされますが、そのアメリカに唯一善戦したオーストラリアと延長を戦った日本。このゲームで日本の武器となったのは、14/34を沈めたスリーポイントでした。

さて、渡邊選手についてはこんなことも↓

今季から指揮を執る、UMassヘッドコーチのマットマコールはフロリダ大学出身で、ビリードノバンの弟子。その「目」は確かなものです。

NBAドラフトでの指名は難しいとしても、渡邊雄太が”先輩”パトリシオガリーノやタイラーカバノー同様、NBAでのサバイバルに参戦するのは間違いないと言ってよいのではないでしょうか。

貴重な存在です。

渡邊雄太、ジョージワシントン大学バスケットボールでのキャリア終了

2018アトランティック10トーナメント2回戦。

63-70でセントルイス大学に敗れ、ジョージワシントン大学の2017-2018シーズン、そして渡邊雄太選手のNCAAでのキャリアが終了しました(おそらくCBIトーナメントにも招待されないでしょうし、呼ばれたとしても怪我をした渡邊選手はプレイできないでしょう)。

通算15勝18敗

1年生時が22勝13敗(NIT)、2年生時が28勝10敗(NIT優勝)、昨季3年生時が20勝15敗(CBI)でしたから、チームの成績だけを見ればファイナルシーズンが最も悪くなってしまいましたが、、、

自らの力でチームを”NCAAトーナメントに運ぼう”とした言動には感動しっぱなしでした。

印象的なツイートがありました。

ジョージワシントン大学OBで、1999-2003にプレイ。現在ジョージワシントンの体育局(アスレティックデパートメント)に勤めるクリスモンローさん。*ジョージワシントンの歴代総得点記録保持者で計2,249点

↓シニアデー。何も言うことはありません。最高のパフォーマンスでした。

最後に、渡邊のGWでの最終戦となったvsセントルイス大学。同校のヘッドコーチ、トラビスフォードの言葉を載せておきたいと思います。*トラビスフォードはケンタッキー大学の元PGで、ジャマールマッシュバーンらと1993年ファイナルフォー。前任地オクラホマステイト大学HC時代はマーカススマートやルブライアンナッシュらをリクルート。

キャリアを終えた渡邊選手に群がる、日本メディアが引くのを待って・・・

「君には明るい未来が待っている。これからも長ーーーーーくプレイするだろう。」

そのとおりになりました!!

渡邊雄太選手指名の可能性は?-NBAドラフト2018-1.5

こんなの書いてました(笑)

もしも渡邊選手がポーツマスインビテーショナル(PIT)に出れていれば・・・(怪我のため不出場)

マッチアップが楽しみだった選手がゴンザガの4年生、ジョナサンウィリアムズ3世。

同じ左利きというだけ?ではありますが、実はJWⅢもアウトサイドでプレイできる選手ではないでしょうか。プルゼメクカナウスキやザックコリンズなど、インサイドが充実していた昨季のゴンザガでは試投こそ40本でしたが成功率4割のスリーポイント。ミズーリ大学での2年生シーズンでは64本のアテンプトがありました。今季、インサイドが手薄となったゴンザガでは8/35で成功率229。ややチーム事情に振り回された感は否めず、気の毒に感じてしまいますが、ポストアップからのフックショットなど、黙々とインサイドに徹した彼にはリスペクトしかありません。

※この投稿時点でまさか、本当に偶然ですが、千葉ジェッツでチームメイトになるとは・・・

日本期待の渡邊雄太。

層が厚い今ドラフト二巡目指名があるとすれば、ジョージワシントン大学クリスモンローさんのこちらのツイートにある要素。

※ウィザーズはこの翌年、ドラフト9位で八村塁選手を指名。面白いものです。

NCAA・D1ジョージワシントン大学⇒NBA~渡邊雄太選手の英語

特に若い方に、繰り返し見ておいてほしい動画です。*字幕付きもありでしょう。

難しい単語は一切ないと思います。

終わりに。

最初と最後。

ジョージワシントン大学入学前と卒業後の動画を見比べてほしいですね。

目に見える成長。

渡邊雄太選手の情報を追いかけるのはとても楽しかった。

Bリーグに加入した今後も、代表戦ともども注目していきたいです。

編集が上手くいったとはとても言えませんが、、、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


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