アカツキ代表取締役のバトン、受け取ります
本日 2020年3月27日、アカツキからプレスリリースを出しました。
そこで発表した通り、6月に予定されている株主総会後とその後の取締役会の承認をもって、僕がアカツキの代表取締役に就任することになりました。
以下、少し長いですが、今回の発表にあたっての自分の気持ちを書かせてもらいます。これを機にnoteを開設して、今までほとんどやってこなかった個人の考えの発信もしていきたいと思います。
■はじめに
正直にいうと、今回のことについては、僕よりげんきの方が何倍も感慨深い気持ちがあると思うし、今回の主役というかニュースバリュー的には、僕が代表に就任することよりもげんきの方にあると思う。
まだまだ発展途上で、勢いのあるアカツキという会社の創業者であるげんきが代表を退き、新しいチャレンジを始める。普通はというか、どちらかというと僕の立場、COOだったりNo2的なポジションの人が新しいチャレンジをスタートすることは度々身近なところで起きているし、多分少し離れたところから見るとどちらかというと僕の方が辞めそうというか、次なにするの?的なことを聞かれることは少なからずあった。
本題に戻ると、今回の意思決定について、げんきの立場からすると、自分の分身みたいな会社と距離を置くという意思決定は相当な寂しさがあると思う。詳しくは、彼が多分泣きながら書いたnote アカツキの代表取締役をおりて、バトンを渡します。の方に書かれているし、何よりもその文章の長さが想いの大きさを表してると思う(笑)
■きっかけ
僕にとって2020年は、アカツキ創業の時に2人で話した「10年は何があっても一緒にやろう」と言った10年目にあたる年だった。
ここ2〜3年のげんきの変化を間近で感じてた身からすると、彼の口からははっきりと出さないにしても、こうなることが比較的予想できたことではあったが、大きすぎる変化を恐れて目を背けていたのかもしれない。
年末に二人で話して、はっきりとげんきが口に出したのを聞いたとき、リアリティを持って自分の中に降りてきて、なんとも言えない寂しさと不安が心を包んだ。
自分としては、このきっかけがなければ普通に2020年以降も変わらない形でアカツキにコミットしていくつもりだったし、ここ2年くらいの間に自分で仕掛けて芽が出そうだったり今年が勝負だなと思うPJTをやっていくつもりだった。それから3ヶ月と少し、この間にコロナウイルスによる大きな影響が重なり、創業10年目にして最も怒涛の時を過ごしたように思う。
■変化への迷い
不安もそうだが、どちらかというと迷いが消えない3ヶ月だった。自分もげんきと一緒に経営の一線から退いた方が潔いのではないか?この規模(一定程度大きい)の上場会社の経営は自分がやりたかったことなのか?この10年を超えて、更にうまくやっていくことができるのか?
幸い、アカツキは創業期のメンバーやまだまだ小さい会社の時に入社してくれた新卒などが活躍していて、実際僕がいなくても、むしろいない方が伸びるのではいかと、フラットに見たときに僕じゃなくてもそう思う状況ではある。特にこの1〜2年は主力のゲーム事業部を取締役の戸塚に引き継ぎ、自分はライブエンタメやIP創出などの新領域に関わっていたため、会社の現在の主力事業からはほぼ離れている状態でもある。
実際、アカツキがゲームだけに特化して成長を目指す方針であれば、僕はげんきと同じように横から支援する形の方がふさわしいと自分でも思っていた。権威にぶら下がったり、泥水すすれないリーダーにはなりたくはなかったし、ついていけなくても必死に最前線を理解しつづけるような姿勢だけは持ち続けるのが自分のかっこいいリーダー像である。
■自分の在り方
不安や迷いの一方で、自分個人のモチベーション的なところを振り返ってみると、創業以来少しずつ会社が大きくなっていく中で、自分が関与する形は変わったとしても、ゲームを中心としたエンターテインメントの中で、自分たちが企てて汗水たらして進めてきた企画や製品が世の中に受け入れられた時の反応を見るワクワク感、人に喜びを感じてもらってそれがビジネスになるやりがい、そういったものは、消費活動じゃ得られないやりがいとして、僕の原動力だった。
僕はアカツキじゃなくても、広い意味でエンターテインメントをやり続けることになるんだと思っている。(食や宿、コミュニティづくりなどもエンタメだと思っている。)
最近は、本能的に人の心を動かすという意味でアートもすごく興味を持っていて、アーティスト支援の財団を企画したり、母校の筑波大学で講師や審査員に呼んでもらうことがきっかけで、DeepTechや教育にも興味が湧いてきているが、自分の主軸はこれからもエンターテインメントに置いていきたいと思っている。
漫画もゲームも、小さいころから遊ぶことが好きだったし、思い返せば高専や大学での卒業研究も、AIで人の感情を読み取って対話することだった。いろんな遊びを自分たちなりにアレンジして、遊びを作ることも好きで得意だった。そういった、今の自分の気持ちや、学生時代から実はずっと繋がっていることをやってるんだなということも、今回を機に確認することができた。
■新しい経営体制へ
上に書いたような、迷いとやりたい気持ちが交互に押し寄せてはきたが、結論としては、この機会で変にカッコつけずビビらずにフルスイングしてみたい、と思った。
今までは良くも悪くも2人の中庸というか、いい意味でバランスが取れてたことが良かったと思っている。
一度、このバランスを自分の振り幅で大きめに振ってみたいと思っている。リーダーとして、自分がオワコンになるまで(もうすでにオワコンなのかもしれないけれど、エンタメは変化が早い)、アカツキという、数多くの奇跡で構成されてきた素晴らしい集合体の中で、自分の強みを生かして挑戦したいと思った。
また0からでも会社や事業をもっとスマートに作れるかもしれないが、20代の若さと情熱とバカさが凝縮されたこの組織は自分はもう二度と作れないと思う。最近入ってきた人や新卒には、創業者しか直接伝えられない熱があると思っている。なので、体制が正式に変わる前に言うのもって感じではあるが、次の10年とかのスパンで続けることをコミット、というよりは一旦全力でやれるところまで頑張ってみますという気持ち。
経営者というか社長というロールが属人的になることをできるだけ回避できるように、経営システムをリデザインしようと思っている。そのための僕のアイデアの第一弾が今回のELTと取締役の並列化である。
*詳しくはげんきの記事や、会社のプレスを読んでいただきたく。他にも、会社というプロダクトがもっと進化できるようなプロデュースのしかけを色々打ち出していきたい。
アカツキ、変わります!
■最後に、みなさんへ
アカツキのみんなへ
塩田元規という、パワフルなタレントのコミットが弱くなる分(決してなくなるわけではありません)、みんなでカバーしなければなりません。よくプロ野球で主力が移籍したときに、監督がいう、変わりはいない分みんなでカバーするしかない。まさにそんな気持ちです。純減するとまずいです。
アカツキを支えてくださるみなさまへ
アカツキをいろんな形で支えていただいたり、応援してくださる方へ、今までの10年の恩を忘れずに、これから新しい経営チームを中心に歩みを進めていきたいと思います。
みなさま、何卒ご支援よろしくお願いします。
また、あくまで今回の仕掛け人でもあり主役は、塩田元規だと思っています。不器用でかっこつけだけど、太陽のように場を照らすそのエネルギーは、今まで拠り所にしていたものがどんどん弱くなり不安が高まっていく社会やそこに生きる人々にとって、とても必要なものでしょう。
げんきへ
少し離れるのは寂しいけれど、これからも仲良くしていこう!
”仲良く”じゃないか、
なんか言葉にできないわ。
2020年3月27日
香田 哲朗
Twitter: https://mobile.twitter.com/tetsuro_kouda