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3,000冊読んでわかった!英語の絵本多読が私と子どもに与えた最高の効果とは?

私たちの読書の旅:3,000冊を超える読み聞かせ


読み聞かせを始めてから、気が付けば3,000冊を超える絵本を娘と一緒に読んでいました。この中で感じたことや、多読を始めたきっかけ、そしてその後の変化について、書きたいと思います。



読み聞かせを始めたきっかけ:日本語力と国語力への期待


読み聞かせが大切だとは知っていましたが、「どうして良いのか」という理由までははっきりと分かっていませんでした。我が家では特に、日本語の維持が課題でした。アメリカで生まれ育つ娘が日本語を話せなくなるのではないかという不安が常にあったのです。

実際、日系やハーフの友人たちの中には、日本語が片言でしか話せない人も少なくありませんでした。そうした背景から、「日本語の維持のために読み聞かせをしなければ」という気持ちでスタートしました。「ひらがなや国語力、読解力の向上には読書が必要だろう」と、将来の学びにつながるように意識してみました。

また、読み聞かせを始める前から考えすぎてしまって、
色んな絵本を多読した方がいいのか、
それとも少ない絵本を何回も何回も読み聞かせるのが良いのか、
そんなことも調べてまくっては、行動が起こせない、そんな感じでした。

図書館での「1,000Books Before Kindergarten」プログラム


そんな中、アメリカの図書館で実施されている「1,000Books Before Kindergarten」というプログラムに出会いました。このプログラムでは、幼稚園入園前に1,000冊の絵本を読むことを目標にしています。

100冊読むごとに図書館の壁に名前が貼られたり景品がもらえたりと、親子のモチベーションを高める工夫が満載でした。500冊の大きな区切りでは動物園のチケットがプレゼントされるなど、楽しみながら取り組める仕組みです。

当初は日本語の絵本を優先するために、遠方の図書館にまで足を運びながら読み聞かせを進めていきました。

コロナ禍と読み聞かせ


多読を進める中で予想外の困難がありました。コロナ禍が訪れ、図書館が閉鎖され、日本語の絵本を借りることができなくなってしまいました。

でも、これをきっかけに図書館のオンラインリソースを活用する新たな方法を見つけました。

図書館のウェブサイトでは推薦図書リストやオンライン読み聞かせプラットフォームが紹介されており、それらを積極的に活用しました。また、図書館主催のZoomでのストーリータイムや他州の図書館のオンラインイベントにも参加することで、新しい体験を楽しむことができました。

英語絵本への広がりとその効果


そんなことから、コロナ禍をきっかけに、日本語絵本だけでなく英語の絵本にも興味を持つようになりました。図書館の年齢別推薦図書や学校で使用される教材を参考に、娘と一緒に読む本を選びました。

絵本には「テーマ」があることを学びました。「友達とおもちゃをシェアする」「正直でいる」「環境問題」「多様性」など、子どもに伝えたい価値観や行動に合わせた本を選ぶ楽しさも発見しました。


親子の成長と広がる世界


多くの絵本を通じて、私自身の考え方も変わりました。当初は「読解力を養うための手段」として始めた読書ですが、それだけではないことに気づきました。読書は人生そのものを豊かにし、親子の心を成長させる力があるのです。

伝記絵本を通じて、日本では知られていない驚くような功績を残した人々の物語にも触れることができました。

中でも特に心に残った絵本をいくつか紹介します。

  • 100歳超えてから字を学びに学校へ通い始めたおばあちゃん:
    The Oldest Student: How Mary Walker Learned to Read
    アメリカの黒人女性メアリー・ウォーカー。奴隷として生きた彼女は、読み書きが許されない環境で育ちました。でも、奴隷解放後も「いつか字を読めるようになりたい」という夢を諦めず、なんと100歳を過ぎてから学校に通い始めました。そして彼女は、116歳でその夢を叶えたのです。その姿からは、年齢や環境に縛られず挑戦し続けることの大切さを学ぶことができます。

  • ズボンを履く自由を切り拓いた女性:
    Mary Wears What She Wants
    今では当たり前となった「女性がズボンを履くこと」。でも、かつてその行動は差別や偏見の対象でした。そんな時代に、「自分の好きな服を着たい」というシンプルな願いを貫き、ズボンを履き続けた女性がいました。その勇気と行動が、今私たちのが普通に自由な服装を当たり前のようにしていることにつながっている、というお話でした。

  • 海底地形を発見した女性科学者:
    Solving the Puzzle Under the Sea: Marie Tharp Maps the Ocean Floor
    女性が科学の世界で活躍することが難しかった時代。マリー・サープは「海底にも山のような地形があるはずだ」という仮説を立て、音波の跳ね返りを利用して海底を測定。海の上から少しずつ測定する、気の遠くなるような作業でした。でもその結果、彼女は現在の地球儀にも描かれる海底の地形図を完成させました。彼女の発見は、科学の進歩に貢献するとともに、女性の可能性を切り拓いた大きな一歩となりました。

などなど。

彼らに共通しているのは、周囲の評価に左右されず、自分の情熱を貫いたこと。これらの物語は、こうじゃなきゃいけない、といった窮屈な自分自身の固定観念や、生き方や考え方を柔軟にし、生き方をもっと楽にしてくれました。

絵本を通じて、私と娘の好奇心が刺激され、読書と並行して、絵本で知った人物や事柄に関連するYouTubeビデオを一緒に見て、理解を深めることも新たな楽しみとなりました。

絵本が変える子どもたちの未来:いじめや環境問題への希望


特に「いじめ」をテーマにした絵本を読み聞かせしているとき、私はよく考えました。
「もしこんな絵本が日常的に子どもたちに読まれていたら、いじめはもっと減るんじゃないかな。」
絵本を通して多様性を知り、異なる価値観に触れることで、子どもたちは他者を理解する力を育むことができます。それは、いじめだけでなく、偏見や差別、ひいては戦争すらもなくすきっかけになるのではないかと信じています。

また、環境問題をテーマにした絵本は、大人の私にとっても新しい発見と学びの宝庫でした。それらの絵本を通して、私がまだ知らなかった環境への影響や私たちの行動が未来に与える力を学ぶことができました。

そして、これから未来を担う子どもたちが、こうした絵本を日常的に手に取り、楽しく学びながら環境について考える機会を得られたなら、地球に優しい選択を自然と身につけられるのではないかなと思っています。子どもたちが絵本を通じて、環境保護の大切さや持続可能な未来への希望を育むことで、今よりもっと美しい地球を未来に残せると信じています。

学びと成績への影響


英語絵本の多読は、娘の学力向上にも貢献しました。日本語学校からアメリカの学校へ転校した際、授業についていくのに全く問題がありませんでした。読書を通じて培った語彙力や理解力が役立ったのだと実感しています。さらに、思いがけず学習面で優秀賞を受賞するという成果もありました。


読書がもたらした心の豊かさ


読書は学力だけでなく、人間的な成長や親子の絆の深まりにもつながりました。差別や偏見、さらには戦争や環境問題への気づきなど、絵本を通じて多くのことを学びました。

私は教育評論家であり、子育てアドバイザーとして活躍されている親野智可等(おやのちから)先生をとても尊敬しています。先生は長年にわたり、多くの親たちに向けて子育てや教育に関するアドバイスを発信されており、私も子育てを始めてから親野先生の投稿をTwitterで拝見したことがきっかけで、その考え方に深く共感しました。

親野先生の子育て論のおかげで、私はおおらかな気持ちでリラックスし、楽しく子育てができるようになりました。最近、先生が「読書にはいいことがいっぱい。」とThreadsでその理由について投稿されていたのですが、この考えは私が読み聞かせを通して学んできた経験とも重なり、とても心に響きました。

はじめは、どのような効果があるかもわからず、手探りで始めた読み聞かせでしたが、今では読書は私たち親子にとって、単なる学びの手段を超えた「心の成長の旅」だったことを実感しています。



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