性同一性障害者の性別の取扱いの変更審判に関する緊急声明
2024年2月7日、岡山家庭裁判所津山支部にて、女性から男性への性別記載変更が認められました。
これは、生殖能力の喪失を要件としない性別記載変更のケースとして、2023年10月11日の静岡家庭裁判所浜松支部による決定以来、報道された限りで2例目の事例となります。
当会は、家庭裁判所におけるこのような性別変更の申し立てが認められ続けることに深刻な懸念を抱いています。
これらの決定は、個々のケースを超え、広範な社会的影響を及ぼす問題を提起しています。
懸念点は以下の通りです:
公的身分証における性別欄の変更は、性別の定義を曖昧にし、社会的にも身体的にも弱い立場にある女性の社会参加を守る上で重要な意味を持つ性別欄の価値を無効化させます。
これには、女性の社会進出や女性のためのあらゆる領域の維持が含まれます。
性別に基づく雇用統計などのデータは、女性差別の撤廃に不可欠です。
仮に、性別記載変更者専用のスペースを設けることになった場合でも、「女性の困難」や「女性差別」といった用語の対象が不明確になります。
災害時や避難所での「女性の困難」は、女性固有の身体的状況に基づくものであり、女性としての定義を守ることが生死に関わります。
自己が認識する性別を災害時に優先することで女性の生命が脅かされることに繋がります。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下、特例法)における「自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する」等の規定は、社会的性役割を強化し、女性を部分ごとに区切る問題を引き起こしています。実際、絵本などで「女性」という言葉が避けられ、「お腹で赤ちゃんを育てる人」等の表現が用いられており、性別の本質的な理解に誤解を招いています。
これまでの動向は、一部に限定されたものと考えられがちでしたが、要件の緩和やみなし運用へと進む傾向にあります。
東京新聞の報道によると、原告代理人の弁護士が「男性から女性に変わるためには手術を受けなければいけないという差別的な問題が残されている。外観要件も違憲としてほしい」と会見で述べています。
特例法の趣旨からいっても、男性側の要件解釈も同様に緩和される可能性が高いです。
当会はこうした家庭裁判所の決定に強く反対し、特例法は女性の定義を損なうものであるとして、その即時廃止を求めるとともに、性別記載変更禁止法の適正な法制化を目指します。
女性の定義を守る会
2024年2月11日