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異国の船行列をみようとする大坂の見物人

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その日、唐国(からくに)の使節団(しせつだん)の大船(おおぶね)が、大坂(おおさか)のみなとについたのです。

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きしべは、異国(いこく)の船行列(ふなぎょうれつ)をみようとする見物人(けんぶつにん)でうまり、まるで祭(まつ)りのようなにぎわい。

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いま、日本のまちは川を背にしてつくられています。川はまちの裏側に置きわすれられ、汚れ、フタをされています。でも、昔から、川は人と人をむすぶ生活の表通りでした。人は川によりそって暮らしてきました。

川は恵みを運んでくれますが、時に恐ろしい災害も運んできます。いまから三百年あまりまえ、西日本を史上最大級の地震が襲いました。1707年の宝永地震です。津波は大坂湾から淀川をさかのぼり、水の都・浪速の掘割を逆流したといいます。大坂だけで1万人以上の人が亡くなりました。おまけにこの年、日本人の信仰の山、富士山も大噴火を起こしています。

さすがに人びとは元気をうしない、世の中の景気は冷え込みました。しかし、このときから、日本は成熟した社会へと舵を切りはじめます。折しも町人文化が花開いた時代、人びとの外の世界への知的好奇心はふくれあがっていました。そこに絶好の機会がおとずれます。

(2013年10月09日『淀川ものがたり お船がきた日』作: 小林 豊 出版社: 岩波書店

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