見出し画像

アリとキリギリス

昔の童話に教訓を貰うことがたまにある。
読書の伏線回収、物語を現実世界で追体験しているような感覚だ。

大切なことは、自己啓発本でも、誰かの格言でもなく、身近な絵本や小説に隠れている。小さい頃からずっと、「こうしたらこうなる」という先人の教えを刷り込まれてきているのに、なぜか絵本の中のダメな方の登場人物になっていることが多い。

生まれてから今までの21年間の人生を童話で例えるなら、アリとキリギリスのキリギリスみたいな生活をしてきたと思う。

中高生時代は、中高一貫校に入ったことに慢心して大した勉強もせず、自分の学校で真ん中くらいの成績でいれば世の中の普通くらいだと思っていた。
だから提出物もギリギリ、期末試験対策も一夜漬け。最後の最後でなんとか帳尻合わせてテストで良い点数を取り、あとはダラける。
目標のために努力する、部活に全力で取り組む、学生ライフを全力で楽しむ、といった普通の高校生がするような生活ではなく、部活も適当にこなし、半端に趣味をして、勉強もその場凌ぎ。
今振り返れば、何も残らないような毎日を送っていた。
それは大学に入っても同じだ。ただ、大学の方が自分に合っていたのか、中高生時代に比べれば刺激的な出来事も多く、好きな趣味も増えて充実していたように思う。

そして今年、大学卒業を間近にして、その中途半端な生活のツケがついに回ってきた。
就活をするにも、自分が何をしたいのか全くわからない。さらには、何も残らない生活をしてきたせいで、自分の強みもないのだ。
比べて、アリのように日々怠らず、好きなことや、やるべき事一つ一つに真摯に向き合ってきた人達は、ある程度の能力がついていて、自信もある。中でも、自分との1番大きな差は、アリたちは自分のことをよく分かっている、ということだ。
なあなあに過ごしてきた私は、自分のことを知る機会すら逃していたのだ。

学生の10年間、何をしてきたのだろうか。
就活と直面した時、毎日この考えに苦しめられた。
就活を通して自分と同年代の人との人間性が比べられる機会が多かったが、そこで感じたブランクの大きさは想像以上だった。
アリとキリギリスの溝は、就活の数ヶ月で埋めることはできなかった。

自分の人格の未熟さを実感した今、やっと自分自身と向き合っている。
自分がいかに自信過剰で、プライドが高く、ハリボテのように中身のない人間なのかを、大学4年にして痛感した。

ソクラテスは「無知の知」を説いている。
私もやっと、自分が何も知らない、何もない人間なのだと自覚した。まさに無知の知。
就活期間は、自分のクズっぷりに打ちひしがれ、アリ達との大きな差をどうしても埋められない事に絶望していた。

だが、ここからがスタートなのだ。

人格の未熟さを誤魔化さず、真摯に、誠実に。
真面目に生きる。
当たり前のことをこなす。
日々の積み重ねを大事にする。

私はゲームでも現実でも、基本を飛ばして難しいクエストに臨みたくなるような性だが、アリ側の人間になるために、着実な一歩を大切にしていきたい。

※見出しの写真は記事に全く関係ないです。
(最近ハマっている、オレンジイズニューブラックというドラマのオフショットです。)

いいなと思ったら応援しよう!