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確定申告が必要な人とは? 青色申告で提出する人が多い理由も解説します
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得を計算し、所得税を納めるための手続きです。しかし、すべての人が確定申告を必要とするわけではありません。一方で、確定申告が必要な人の中には、青色申告という制度を利用することで、税制上のメリットを受けることができます。
この記事では、確定申告が必要な人と青色申告のメリットについて詳しく解説します。フリーランスや自営業の方、家を買った方、2024年は病院にいく頻度が多かった方、退職金を受け取った方、副業収入が一定以上ある方向けの内容ですので、ぜひご参考ください!
確定申告が必要な人
自営業者やフリーランス
事業を営んでいる自営業者やフリーランスの人は、基本的に確定申告が必要です。サラリーマンなどの企業に勤めている給与所得者とは異なり、源泉徴収(=税金や保険料を天引きして本人に代わって納付すること)を行ってくれる人はいないので、所得を自ら計算し、税務署に申告する必要があります。
給与所得者でも確定申告が必要な場合
給与所得者であっても、次の条件に当てはまる場合は確定申告が必要です。確定申告することで払いすぎた税金があれば戻ってくることもあります。
・副業による所得が20万円を超える場合
・医療費控除を受ける場合
(1年間で支払った医療費が10万円以上の場合など。なお、医療費が10万円いかなくとも、風邪薬や胃薬などの市販薬をドラッグストアで購入していれば、控除の対象となる可能性があります)
・住宅ローン控除を受ける場合
(所得金額2,000万円以下など一定条件あり)
・退職所得がある場合
(退職所得申告書を提出しなかった場合など)
・ふるさと納税をする場合
(寄付金控除を簡単に受けられるワンストップ特例が対象外の場合)
例えば、会社から退職金を受け取る際、退職所得申告書(正式には退職所得の受給に関する申告書)を提出していれば、確定申告は原則不要です。しかし、その書類を提出していない場合、一律20.42%の税金が源泉徴収されてしまうので、払いすぎていれば確定申告をすることで戻ってくる可能性もあるのです。
年金受給者
年金を受け取っている方で、年金収入が年間400万円を超える場合や、年金以外の収入で年間20万円以上ある方も確定申告が必要になります。
不動産所得がある人
アパートやマンションなど不動産を賃貸して得た収入が年間20万円超の場合も、確定申告が必要です。不動産所得は、総収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。
青色申告とは
個人事業主やフリーランスの方が行う確定申告には、2つの申告方法があります。それが白色申告と青色申告です。
2つの主な違いは記帳方法であり、白色申告は「単式簿記」という簿記の知識をほぼ必要としないものですが、青色申告は法人会計と同じような「複式簿記」になるので、以前までは専門的な知識が必要でした。しかし最近は、会計ソフトの普及により、複式簿記の知識がない方でも白色申告と同じように青色申告を手軽に行えます。
青色申告のメリット
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青色申告の手続き方法
確定申告書は決められた用紙に直接記入して提出することも可能ですが、ここでは手軽で便利な「オンラインで提出する方法」をご紹介します。
・青色申告承認申請書の提出
青色申告を行うためには、青色申告の適用を受けたい年の3月15日までに、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。例えば、2025年1月1日~2025年12月31日分の確定申告を青色申告にしたい場合、2025年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。
また、新たに開業した場合、原則として開業日から2ヵ月以内に提出しないと、その年の確定申告を青色申告として申請できないので注意しましょう。
・帳簿の作成・提出
青色申告では、複式簿記による帳簿付けが義務付けられています。日々の取引を記録し、最終的に貸借対照表や損益計算書を作成します。
簿記知識がないと一見難しい作業のように見えますが、市販のクラウド会計もしくはインストール型ソフトを使えば、日付や金額を入力するだけで複式簿記の帳簿を自動作成してくれるので、初心者の方でも難しくありません。
また、領収書やクレジットカードの履歴といった取引データを取得して、仕訳してくれる機能などもあるので、ご利用状況に合ったサービスを選ぶと経理作業がさらに楽になりますよ。
確定申告書が完成したら税務署に提出します。e-Taxを利用すれば、税務署に行く必要がなく、オンラインでの提出が可能です。
まとめ
確定申告が必要な人は、自営業・フリーランスの方や、一定の条件を満たす給与所得者の方、年金受給者の方、不動産所得のある方などです。
青色申告には白色申告にはないメリットが多く、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰越控除、家族への給与を経費にできるなど、節税につなげやすい制度なのです。例えば帳簿をつけて白色→青色申告をするだけで、最低でも所得税+住民税で9万7,500円の節税になり、最高税率の方は、なんと35万7,500円もの節税となります。
また、以前はデメリットであった帳簿付けの手間や、簿記知識を必要とする点については、初心者でも簡単に作成できる申告ソフトが普及しているので、白色申告と大差はありません。
確定申告が必要な方は、ぜひメリットの多い青色申告にチャレンジしてみてくださいね!
執筆:黒澤 直樹
金融ライター。パーソナルマネーコーチの「マネーサプリⓒ」にてお金や資産形成に役立つ最新情報を発信中。日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント資格保有。
監修:福田 準
ファイナンシャルプランナー。特定の金融機関に属することなく、世の中にある数多くの金融商品からベストなものを見つける「目利き役」として活動中。FP2級、証券外務員1級保有。