【いくら嫌いでもこれは失礼だろ】  自殺者推計とトランプ氏の選挙勝利との間に関連性を示す根拠は何もありません。

過去の統計に基づきあるデータ収集機関が発表した1日の自殺者数の推定値が、11月6日からネット上でシェアされ、ドナルド・トランプ次期大統領の勝利に関連した自殺報告として誤報されています。

また、WHOは1日の自殺率を追跡していないため、この数字はWHOのものと偽ったデマです、とWHOの広報担当者は述べています。

11月6日、この統計のスクリーンショットを共有する投稿に次のようなキャプションが付けられていました: 「速報:ドナルド・トランプの選挙勝利を受けて、本日2,038人の自殺者が報告された。」 同じアカウントからのフォローアップ投稿には、次のような画像が掲載されています: 「2,038人の自殺者。情報源と情報: 自殺予防(SUPRE) - WHO」.

画像提供:ロイター通信

しかしながら、この数字は過去のデータから推定される1日の世界平均よりは若干多くなっています。WHOは日々の自殺者数を公表していません。

SNS上でシェアされた画像は、11月7日に世界で1,508人が自殺したと推定したデータ集計サイトWorldometerの様式と一致しています。同サイトの「健康」セクションには、「今年の自殺者数」と「今日の自殺者数」が掲載されており、いずれもWHOの自殺予防プログラムに起因するものだと説明されています。

WHO、国連、世界銀行といった機関が過去に発表した統計や予測に基づく推定値である、とWorldometerは「よくある質問」のセクションで述べています。「我々は利用可能なデータを分析し、統計分析を行い、リアルタイムの推定値を供給する我々のアルゴリズムを構築しています」と同サイトは述べています。

WHOの広報担当者は電子メールで、SNS上に投稿された数字は不正確であると述べ、WHOには自殺者数を毎日追跡する機能はないと付け加えています。

WHOが発表した世界の自殺に関する最新の報告書によりますと、2019年のデータを調べた結果として、この年、世界では70万人以上が自殺し、アメリカでは53,099人の自殺が記録されました。

これは、世界では1日平均1,918人、米国では145人が自殺で死亡したことに相当します。

WHOは、2024年の世界の自殺者数を72万人以上と更新して発表しましたが、国別の更新はしていません。更新された世界的な数値は、全世界で1日平均1,973人の自殺者が死亡していることを意味し、SNS投稿で引用された2,038人よりも依然として少人数となっています。

米国CDCでは、全米の年間自殺率を追跡しており、2022年の最新記録では、全米で4万9000人以上が自殺により死亡していることが明らかになっています。米国CDCはまた、本稿執筆時点で2023年と2024年の最初の3カ月間の月別推計値を提供していますが、1日毎の自殺者数は発表していません。

米国CDCの広報担当者に、毎日の自殺の記録があるかどうか尋ねた所、2022年のデータが掲載されている同機関のウェブサイトの「自殺データと統計」セクションを紹介されました。

トランプ氏の再選以来、LGBTQ+コミュニティ等の特定のグループの危機管理ホットラインへの問い合わせ増加しているとの報告がありますが、トランプ氏の勝利に関連する米国内外の自殺者数については報告されていません。

Worldometer からの回答は得られておりません。

危機的状況にある場合は、自殺・危機管理ライフライン(988)に電話、メール、チャットで相談するか、危機管理テキストライン(TALK)に741741と入力して連絡して下さい。

【評定:根拠がありません】

  • SNS上に掲載された自殺推定値とトランプ氏の選挙勝利との関連性を示す根拠は存在しません。


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