米国の雇用主がオーストラリア人の就労ビザを申請した記録が、H-1Bの乱用と誤解されています。
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オーストラリア人労働者のための一時的なビザを求める2つの米国の雇用主の記録のスクリーンショットが、ハイテク億万長者と外国人労働者に反対するMAGA支持者の衝突の中心であるH-1B熟練労働者ビザプログラムの乱用を示しているとの誤解を招くキャプション付きでネット上でシェアされました。
イーロン・マスク氏が、高度な技術を持つ移民労働者のためのH-1Bビザプログラムがアメリカの雇用市場を弱体化させていると主張する右派のトランプ支持者と口論を交わす中、SNS上の投稿は12月下旬にこの画像をシェアしました。
そのスクリーンショットには、「ダンサーのH-1B給与全年度」というタイトルの下に、2人の雇用主、Chippendales Las Vegas LLCとKentucky Dance Councilが記載された表があり、それぞれ週給900ドル、年俸20,800ドルの基本給で2人のダンサーを雇っていた模様です。
この記録のスクリーンショットをシェアしたSNS上の投稿の一つには、以下のようなキャプションが付けられていました:「H-1Bビザ。安い労働力を輸入したいというただそれだけの理由だった」
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このスクリーンショットは極右活動家のLaura Loomerによってシェアされたもので、H-1Bプログラムに反対し、人工知能の上級政策顧問にトランプ大統領が指名したインド系アメリカ人のベンチャーキャピタリスト、Sriram Krishnan氏を批判したことで、テック業界のリーダー達との公然の喧嘩の火種となりました。
しかしながら、このチャートが引用されたウェブサイトの記録によりますと、2つの企業はH-1BではなくE-3ビザを申請していたということです。E-3ビザは、米国での雇用が内定しており、高度に専門的な知識と技術を持つオーストラリア人を対象にしたビザです。
SNS上でシェアされた表は、米国労働省の労働条件申請書(LCA)データをデータベース化して掲載しているというウェブサイトから抽出されたものでした。
このウェブサイトは「H-1B給与データベース2024」と名付けられていますが、労働省から取得したLCAデータには、海外労働者を雇用するためにH-1Bだけでなく、H-1B1やE-3を申請している雇用主からの裏付けとなる証拠が含まれています。
同サイトの2012年から2024年までの記録によりますと、その名を冠した男性だけの歌劇団を運営するChippendales Las Vegas LLCと、ケンタッキー州LouisvilleでLouisville Balletを運営するKentucky Dance Councilとは、2019年にダンサー用のLCAを各々申請し、E-3ビザを取得しています。
この記録は、米国労働省の2019年のLCAデータベースに関連しています。
Chippendales Las Vegas LLCの代表はロイター通信に対し、ネット上でシェアされている話はデマであり、同社がH-1Bを申請したことは一度もないと述べています。Louisville Balletの広報担当者からのコメントは得られておりません。
トランプ大統領がホワイトハウスに再入閣する数週間前、米国労働省が、特定のH-1Bビザの対象となる「特殊職業」の定義を狭めたり、H-1B労働者の最低賃金を引き上げたりするなど、外国人労働者へのビザ発給数を制限することを目的としたトランプ大統領の第1期の政策を復活させる可能性があるとロイター通信は報じています。
【評定:誤解を招きそうな記述です】
ネット上の記録では、米国企業2社が取得したのは、全ての国籍の熟練労働者を対象とするH-1Bビザではなく、オーストラリア人専用のE-3臨時就労ビザだと記されています。