この映像は、中国の建国記念日ではなく、桜祭りで中国の歌を歌う日本の生徒達の姿です。
基記事はこちら。
10月1日の中国の建国記念日に、沖縄に対する日本の主権を否定する中国の投稿が、日本の生徒達がこのイベントを祝っていると偽った古い動画を繰り返しシェアしました。しかしながら、それは2018年4月に地元の桜祭りで中国の歌を披露する東京近郊の学校の生徒達を映したものです。
「中華人民共和国建国75周年に際して、琉球列島の高校生が『祖国頌歌』を歌った」と、10月1日にこの動画をシェアした簡体字中国語表記のX投稿がありました。
「彼らは中国人と同じルーツと民族を共有している。一日も早く彼らが祖国の庇護の下に戻ってくることを期待している。」
その投稿は、現在沖縄と呼ばれる地域を指しており、1879年に日本に吸収されるまで、中国の皇帝に朝貢していた琉球王国の中心地だったとされています。
一部の中国人は、歴史的な結びつきが、日本の島々に対する主権を、第二次世界大戦の敗北に終わった侵略的な拡張主義の遺産として否定する根拠となっていると考えています。
習近平国家主席は2023年6月、この地域について初めて公の場でコメントし、中国と島々との「深い結びつき」に言及したと、国営の『人民日報』が報じています(アーカイブリンク)。⇦【人民日報への直リンクは危険なので外しています】
オーケストラの前で中国語で歌う少女を映したビデオには、「琉球高校」の生徒たちが東京の北東に位置する柏市の公園で「祖国頌歌」を演奏しているというテキストが重ねられています。
また、中国外務省の華春瑩報道官が、第二次世界大戦で日本の無条件降伏を要求したポツダム宣言を引用し、日本の主権の限界について述べたXの投稿も表示されています(アーカイブリンク)。
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同様の主張は、X、Facebook、中国版TikTokであるDouyinでもシェアされていました。
しかしながら、ネット上で出回っている映像には、中国の建国記念日に沖縄の生徒達がパフォーマンスをしている様子は映っていません。
祭りのパフォーマンス
動画のキーフレームを使ってGoogleで逆画像検索した結果、2018年4月9日にYouTubeに投稿されたパフォーマンスの長いクリップが見つかりました(アーカイブリンク)。
以下は、デマ投稿(左)と2018年のYouTubeクリップ(右)とのスクリーンショット比較結果です:
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動画の日本語タイトルは次のようになっています:「市立柏高校吹奏楽部-祖国頌歌」
動画の説明によりますと、この曲はあけぼの山公園桜まつりで演奏されたものだということです。
このお祭りは柏市観光協会が毎年主催しているものです。2018年4月7日と4月8日のイベントのタイムテーブルには、市立柏高校の生徒達のパフォーマンスが含まれています(アーカイブリンク)。
市立柏高校吹奏楽部のFacebookページには、2018年4月8日に開催されたフェスティバルの写真が掲載されています(アーカイブリンク)。
生徒達はその3週間後、上海国際春音楽祭のオープニングでも中国歌曲「ジャスミンの花」を披露しています。
この演奏の写真も2018年4月30日に同吹奏楽部のFacebookページに投稿されています(アーカイブリンク)。
中国の国営メディアもこのコンサートを報じ、合唱団が中国の古典的な曲の「明瞭な発音」を実現するために「継続的な練習」を行ったことを称賛しました(アーカイブリンク)。