トランプ暗殺未遂時に背後にいた女性がFBIの工作員だとの誤報が拡散されています。

ドナルド・トランプ氏に対する暗殺未遂事件が「内部犯行」であったことを示唆するSNS投稿において、著名な陰謀論者のアカウントが、2024年7月13日の集会でFBI内部脅威対策室のアシスタント・ディレクターであるJaneen DiGuiseppi氏が前米大統領の後ろに座っていたと主張しています。しかしながら、2人の女性の顔の特徴は異なっており、FBIはこの疑惑は「全くのデタラメです」と述べています。

「ニュース速報: 多くの視聴者が『犯人に指示を与えた』と非難しているドナルド・トランプ氏の背後にいるこの映像に出ている女性は、FBIのJaneen Diguiseppi副長官であることが判明した」と、7月17日のXへの投稿に書かれています。

この投稿は、ペンシルベニア州バトラーでのトランプの集会で、サングラスをかけ黒い帽子を被った女性のぼやけた映像とDiGuiseppi氏の映像とを比較しています。

この投稿は、"Dom Lucre"というペンネームを使うQAnonを喧伝するSNSユーザーによるものです。このアカウントは以前にも誤った情報を拡散したことがあり、児童搾取画像を投稿したことでXからBANされたこともあるということです。

2024年7月19日に取得された X のスクリーンショット

トランプ氏の選挙イベントで銃を乱射し、参加者1人が死亡、2人が重軽傷を負ったほぼ1週間後、他の陰謀論的なアカウントからの同様の投稿Xや他のプラットフォームで急増しました。共和党大統領候補はTruth Social上で「右耳の上部を貫通する銃弾で撃たれた」と語っています(アーカイブはこちら)。

「彼女は知っていた!」と、ニューヨーク州オルバニーのFBI支局長を務めた後、2023年に昇進したDiGuiseppi氏を名指ししたXの投稿がなされています。

別の投稿では、彼女を「共謀者」と呼んでいます。

2024年7月19日に取得されたXからのスクリーンショット

FBIは、ペンシルベニア州ベセルパークに住む20歳のThomas Matthew Crooksを銃撃事件の犯人として特定しました(アーカイブはこちら)。なお、この事件に関しましては、いくつかの独立した検証が行なわれています。

捜査当局は、強いイデオロギーや政治的傾向は特定出来ていないものの、彼は単独犯であると断定しています

ネット上で拡散している映像に出ている女性も「 ADのDiGuiseppi氏ではありません」とFBIは7月19日、AFP通信に語っています。

「FBI幹部とペンシルベニア州バトラーでの集会についてソーシャルメディア上に流れている疑惑は、全くのデマです。はっきり言って、描かれている人物は彼女ではなく、彼女は集会に参加していません」。

FBIは、職員を標的にしたこのようなデマは「非難に値する無責任なもの」であり、「しばしば職員とその家族に対する脅迫につながる」と述べています。

FBIは、DiGuiseppi氏は当時ペンシルベニア州にはいなかったと追加したものの、彼女の居場所については詳しく説明しませんでした。

AFP通信は、ネット上で拡散している帽子に次のように書かれているように見える映像の女性を特定出来ませんでした: 「イエスは私の救世主 トランプ氏は私の大統領」。

シークレットサービスの捜査官がトランプ氏に群がり、ステージから急いで降りるところを彼女が撮影していたという生々しい襲撃の映像があるため、確証のない投稿は彼女に疑わしいというレッテルを貼ったり、彼女が狙撃犯に密告したと非難したりしています。

しかしながら、集会で撮影された映像写真を見ますと、女性とDiGuiseppi氏とでは、顎のラインや耳の形が不一致であることを含めて、顔の特徴が異なっていることが分かります(アーカイブはこちらこちらこちらこちら)。

2024年7月19日に取得されたGetty Imagesのスクリーンショット(枠囲みはAFPによる)
2024年7月19日に取得されたHaystackNewsのスクリーンショット

FBIは以前にも、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件等について、陰謀論標的となりデマ由来の非難を受けた経験があります。

AFP通信は、トランプ集会銃撃事件に関するその他の誤報をこちらで論破しています。

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