種なしライムは遺伝子組換えされて出来た物ではありません。

種なしライムは、植物のDNAを改変する技術を用いたバイオエンジニアリングの産物なのでしょうか?いいえ、そんなことはありません:種なしライムは自然界に存在するものであり、農家はその品質を維持するために伝統的な育種技術を用いることがあります。だからといって、種なしライムがバイオエンジニアリング食品、通称GMO(遺伝子組み換え作物)になるわけではありません。

この主張は、2022年11月1日、インスタグラムの投稿に登場しました。

画像に重ねたテキストには、こう書かれています。

彼らは私が真実を暴露することを望んでいない!!!

彼らは遺伝子操作でライムの種を取り除いたのだ。

https://www.instagram.com/reel/CkYtM4Hritm/?fbclid=IwAR0kJ53avmijn4Rvdy8gqYvtasGqRgF0utUhWrjfnbvjJp3b4pHgcil_lOo  

このファクトチェックの執筆時の投稿は、以下のようなものでした:

(出典: 2022/11/3 15:41:46 UTCに取得されたインスタグラムのスクリーンショット)

FDAによりますと、遺伝子組み換え作物(GMO)とは、「技術を使って遺伝物質(DNA)を変化させた植物、動物、または微生物」であるとされています。また、同局はそのような製品を「バイオエンジニアリング食品」と表現しています。しかしながら、ライムは現在、FDAの対象作物リストに含まれておりません。

種なしは自然に起こる現象であると、ミシガン州立大学の論文には書かれています:

現在の種なし植物は遺伝子組換え生物(GMO)ではありません。

https://www.canr.msu.edu/news/seedless-fruit-is-not-something-new#:~:text=Seedless%20plants%20are%20not%20common,genetically%20modified%20organisms%20(GMOs). 

サイエンティフィック・アメリカン誌は以下のように説明しています

種子が形成されない最も頻繁な理由は、受粉の失敗、あるいは卵子或いは精子の非機能性です。多くの植物では、自己不和合性遺伝子により、受精が成功するのは遺伝的に異なる雄と雌の親同士による交配に限られています。受精が成功しないもう一つの理由は、染色体の不一致です。例えば、一般的なバナナは3倍体です。つまり、3組の染色体を持っています。それぞれの親から1セットの染色体を受け継ぐのではなく、一方の親から2セット、もう一方の親から1セットの染色体を受け継ぐのです。

https://www.scientificamerican.com/article/how-do-seedless-fruits-ar/ 

タヒチライムやペルシャライムは後者のようで、小型の品種とは異なり、種がない傾向があるとロサンゼルス・タイムズ紙は書いています。

柑橘類は染色体が2セットあるのに対して、ライムは3セットあり、この遺伝子の特殊性から不妊となり、種が出来ないそうです。

https://www.latimes.com/food/la-fo-marketwatch-20111202-story.html 

しかしながら、自然界で種子を持つ大玉ライムが生まれる可能性は、科学的に不可能なことではありません。そこで、農家は種なしという品質を保つために、挿し木接ぎ木で種なし果実をつける木を確実に増殖させるようにしています。この2つの技術は、どちらも生物工学とは言えません。


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