【あたおか】人間は『生物学的に』肉を消化する能力がないなんてことはありません。
人間の身体は菜食向けに「設計」されており、肉を摂取して分解することは不可能なのでしょうか?いいえ、そんなことはありません: 栄養学の専門家2人が「Lead Stories」にそう証言しています。ソーシャルメディアに投稿されたこの主張は、「雑食」という言葉の間違った定義に基づいています。「雑食」とは、ソーシャルメディア上の動画が主張していることとは異なり、植物だけでなく、様々な食物を食べることが出来る種であることを指す言葉です。
この話は、2023年9月にFacebook上で公開された以下のタイトルのリール(アーカイブはこちら)に掲載されました:
動画には次のようなやりとりがありました:
記事執筆時点で、Facebook上では以下のように表示されていました:
スタンフォード大医学部教授で、様々な食事療法のエビデンスに基づく研究を専門とするChristopher Gardner氏は2023年9月18日付けの電子メールでLead Storiesに語っています:
このクリップには、その主張を裏付ける証拠が何一つ示されていないのです。それを正当化するために使われた重要な論拠は、「雑食」という言葉の間違った定義でした。リールとは逆に、雑食とは植物だけを食べる生き物を意味するものではありません ー 植物だけを食べるのは草食動物(=雑食の説明の中に記載されています。herbivoresでリンク先でページ内検索して下さい)です。
Merriam-Websterにある定義では、《omnivore》は「雑食性」の生き物を指す名詞であり、この形容詞は次のような意味を表します:
ブリタニカは「雑食」を次のように定義しています:
ナショナル・ジオグラフィックの解説者は、人間が生物学的に摂取可能な食品の種類を詳しく説明し、主張とは逆に、動物も雑食になりうることを付け加えています:
肉は約260万年前に人類以前の食生活に入り込み、2016年にネイチャー誌に発表された研究では、進化の過程で重要な役割を果たし、先住人類を現生人類へと変化させた可能性があると論じています:
人類が非常に長い間、様々な食べ物を食べてきたという事実は、考古学的知見によって裏付けられています、とアーカンソー大学の教授であり、著書『咀嚼の進化:歯、食事、そして人類の起源の物語』の著者であるPeter Ungar氏は、2017年にScientific American誌に寄稿した文章の中で次のように書いています:
Ungar 氏はヒトについて、-- ヒトの内臓は、肉食動物に比べればまだ長い-- ので、生き残るためには、特定の土地や季節に適応する方法を学ばなければならず、それ故、食生活は歴史的に場所によって大きく異なってきました、と指摘しています:
ロナルド・レーガンUCLAメディカルセンターの上級臨床栄養士であるDana Hunnes氏は、2023年9月18日、Lead Storiesのコメント募集に答える中で、自身がヴィーガンであることを明らかにしました。しかしながら、彼女は問題のリールの内容、よりに具体的には、動画中のセリフである、「我々は動物ではない」には同意していません。Hunnes氏の返答は次の通りです:
続けて次のようにも述べました:
Facebookの動画のタイトルにあるドクター・セビは実在の医師ではなく、Alfredo Darrington Bowmanの商業的な偽名でした。彼は正式な医学教育を受けておらず、後年医師としての活動を禁じられたにも関わらず、物議を醸すアルカリ性ダイエットを宣伝し、ハーブで万病を治すと約束してサプリメントを販売していました。
Bowmanは2016年にホンジュラスで亡くなっていますが、彼の名前を使った主張がソーシャルメディアで流れ続けています。
ドクター・セビに関する他のLead Storiesのファクトチェックはこちらをご覧下さい。