【偽医療】実証されていない電磁波による癌治療がネット拡散中です。
全ての癌に効く唯一の治療法は存在しませんが、アメリカの科学者Royal Raymond Rifeの研究に触発されたFacebookのユーザー達が、1930年代に発明された彼の電磁治療器によって、全ての癌を治療することが出来ると主張しています。専門家によりますと、これは根拠のないことで、米国FDAはそのような装置を承認していないとのことです。
2024年5月1日、Facebook上でシェアされた画像には、「癌を治療可能なRife高周波発生装置だが、医療マフィアがそれを封印した」と書かれています。
彼の装置を宣伝する企業や個人は、ブログのエントリーや動画、LinkedIn、YouTube、Instagramの投稿に至るまで、インターネット上で拡散されています。英語(⇦削除済)、フランス語、スペイン語による彼の研究の弾圧を非難する声も上がっています。
1月10日のFacebookの投稿によりますと、「医師らはRife装置を使う前に、人々を死に至らしめるだろう」、とあります。
書籍や SNSへの投稿で、Rifeの支持者達は、全ての病状には電磁波の周波数があると述べています。彼らは、Rifeの開発した治療法は、その症状の周波数を見つけて細胞を無効にすることで機能すると主張しています。
しかしながら、このような投稿は、エビデンスのない癌 治療を喧伝する最新のものであり、その多くは患者がエビデンスに基づく治療を遅らせたり、見送ったりする原因になると専門家は警告しています。
「Rife装置が癌を治療出来るという証拠はありません」と、ダナファーバー癌研究所(アーカイブはこちら)の癌予防学教授、Tim Rebbeck氏は5月22日付の電子メールで述べています。
米国癌協会は、「疑わしい癌管理法」のリストにRife高周波発生装置を挙げています(アーカイブはこちら)。
Rifeとは?
Rifeはアメリカの科学者で、1930年代に高出力の顕微鏡を発明した人物です(アーカイブはこちら)。後に彼は、特定の周波数で振動する電磁波を細菌に吹き付けることで、顕微鏡で見える細菌を破壊することが出来たと述べています(アーカイブはこちら)。
この技術によって末期癌患者が治癒したという投稿もありましたが、AFPはそれを裏付ける査読済みの研究を見出すことが出来ませんでした。
Rifeは1971年に死去しました。デイリー・カリフォルニアン紙に掲載された彼の追悼記事によりますと、発明者は「彼が最も重要だと考えていた研究のいくつかが、医学界によって否定されるのを目の当たりにして生きた」、とのことです。
しかしながら、彼はホリスティック・ヒーリングのコミュニティでは依然として英雄であり、多くの企業が彼の名前を使った治療法や器具を販売しています。
Facebookのグループは何十もあり、中には何千人ものメンバーがいるものもあります。Rife装置専用の「売買」グループには、数千ドルの商品が出品されています。
「米国FDAはRife装置を承認、認可、認可していません」とAudra Harrison報道官は2024年5月21日付の電子メールで述べ、SNSで癌の 「治療法」として宣伝されている製品に注意を喚起しました。
Rife装置は通常、手や足を通して電気エネルギーを供給します。低品質の機械は電気ショックや火傷を引き起こす可能性があり、一部の機器販売業者は詐欺事件(アーカイブはこちら)の対象になっています。
癌の治療
米国では近年、診断と治療法の改善により、癌による死亡者数が激減しており、専門家によりますと、多くの癌での生存率は上昇を続けているということです(アーカイブはこちら、こちら、こちら)。
癌治療の中には、異なる波長を使用するものも存在します。例えば放射線療法は、癌細胞を殺すために身体の特定の場所にX線を照射することがしばしばあります(アーカイブはこちら)。
しかしながら、Cancer Research UK(アーカイブはこちら)によりますと、これらの治療法は、電波に似た低電磁エネルギー波を発生させるRifeの名前で販売されている機械を使用するのとは異なるとのことです。
Xへの投稿では、テキサス州の科学者が、近赤外線の正確な波長でナノスコピック分子を活性化させ、マウスの癌細胞を破壊した2023年12月に行なった研究(アーカイブはこちら)を紹介しています。
この研究の著者の一人であるライス大学のJames Tour氏(アーカイブはこちら)は、Rifeの研究が癌の治療法であるという主張に反論しています。
「全ての癌を殺す画一的な方法はありません。だから、それは非常に危険な立場です」と彼は5月21日に述べています。
Tour氏によりますと、科学者達は臨床治療に波動を使う方法を研究していますが、「電波は身体を通過するだけです」、と彼は述べています。 波動が効果を発揮するためには、小さな吸着分子のような「相互作用」するものが必要なのだということです。
Tour氏はまた、裏付けとなるデータを出そうとする姿勢のない人々の医療アドバイスを鵜呑みにしないよう、患者に注意を喚起しています。研究者、公衆衛生当局者、そして医師は、二重盲検試験で大人数でテストされた治療法を重視します、と彼は述べました。
「データの信憑性、データの質を研究する必要があります」と彼は言った。
AFP通信の健康誤報に関する報道はこちらでご覧いただけます。