英国の7月の気温が低かったのは、地球の軌道や(地軸の)傾きではなく、ジェット気流の影響によるものだということが判明しました。
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7月上旬の英国の気温の低さは、一部のSNSユーザーが主張するような地球の軌道や(地軸の)傾きの変化ではなく、大気の状態によるものでした。
天気予報サービスを行なっているMet Officeによりますと、英国では7月上旬に平均気温をやや下回る気温が観測されたとのことです。
7月7日のFacebookへの投稿には次のように書かれていました: 「地球が太陽から遠ざかっているか、傾いていることだけが、7月のこの寒さの説明にはならない」。
しかしながら、ジェット気流(=北半球にある西から東へ高速で流れる高高度の空気の細長い帯)が7月中に北極の冷たい空気を通常より低緯度まで運び、イギリスの平均気温を下回った原因であり、地球の軌道や地軸の傾きが最近変化したという事実は確認されていません。
(地軸の)傾きと軌道
NASAによりますと、地球は太陽の周りの公転軌道に対して23度27分傾いており、1年を通じてその姿勢を保っています。この一定の傾きが、北半球と南半球で気温の季節変化と日照時間の変化を生み出しているのです。
全球測地観測システム(GGOS)のネットワーク・観測局のJosé Carlos Rodríguez-Pérez局長は、地球の継続的な動きと方位に重大な、或いは予期しない変化は最近起きていません、と述べた。
「地球が不意に大きく動くメカニズムはありません」と彼は付け加えています。
地球の傾きの極僅かな変化(1年に数cmのオーダー)は、地下水の枯渇や海面上昇といった水域の大規模な変化と関連しています、とRodríguez-Pérez氏は指摘しています。しかしながら、大きな変化は数万年に一度しか起こらないので、地球の位置と方位は英国の7月の気温の低さを「説明することは不可能」だということです。
マンチェスター大学のDavid Schultz教授(シノプティック気象学)は、ロイター通信に電子メールで、太陽に対する地球の位置や傾きが大きく変化して冷却効果が生じたという仮説は、メイン大学の気候変動研究所が地図上に表示した日毎の気温データが示すように、平均気温を上回るという世界的な傾向と矛盾していると述べており、この点はRodríguez-Pérez氏も指摘しています。
ジェット気流の位置
「ある地域や国が例年より穏やかな7月を経験したという事実は、気象変動の問題です」と、Rodríguez-Pérez氏は述べています。
Met Officeによりますと、英国の場合、ジェット気流の位置が7月の気温を低下させたとのことです。
7月上旬、ジェット気流は通常より南に位置し、ジェット気流が北に移動することによる温暖な天候ではなく、より低温で雨の多い天候をもたらしました」。
英国気象庁の上級気象予報士であるJim Dale氏は、ヨーロッパの多くの地域で気圧が高くなったため、「ジェット気流が分裂」し、その結果、気圧が低くなり、英国上空に前線が発生したため、より寒く、より湿った天候になったとロイター通信に対して電子メールで語っています。
【評定:誤り】
7月初めの英国の気温低下は、ジェット気流の位置によるものであり、地球の軌道や(地軸の)傾きの変化によるものではありません。
地球の動きや位置には最近大きな変化は起こっていません。