Pfizer-BioNTech社製ワクチンが脳炎を引き起こすという証拠はない、と医療の専門家が発表しました。
オーストラリアの保健当局が蚊を媒介とする日本脳炎ウイルスの前例のない蔓延を抑えるために奮闘する中、ソーシャルメディアでは、致命的なウイルスがPfizer-BioNTech社製Covid-19ワクチンの副作用であるとの投稿がなされました。しかし、この投稿は何百回となく共有されましたが、誤りでです。医療の専門家はAFPに対し、脳炎(脳の炎症)とPfizer-BioNTech社製ワクチンの間には何の関連性もないと語ってくれました。投稿はPfizer社がFDAに提出した文書を誤って伝えています。
「オーストラリアは脳炎の大発生に見舞われている。信じられるか... 脳炎はPfizerの文書にリストアップされている。」 2022年3月9日にInstagramの投稿で共有された画像に書かれた文章にはそう書かれています。
キャプションにはこう書かれています。「もう一つの奇妙な偶然... 壊滅的な脳炎に見舞われたオーストラリア。脳が腫れる豚と蚊の大発生...。この症状がPfizer社の文書に記載されている1300のうちの1つであることを、全くの偶然だと信じて頂けるでしょうか...」
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この投稿は、オーストラリアが日本脳炎--日本脳炎ウイルスが引き起こす病気--の感染拡大と戦っている最中に、局所的な感染がこれまで報告されていなかった州で発表されたものです。
この病気はPfizer-BioNTech社製のワクチンと関係があるという同様の主張も、こちらのInstagram、こちらのFacebook、こちらのTwitterで何百回も共有されました。
「関連性は認められません」
オーストラリア保健省の広報担当者はAFPに対し、《日本脳炎》と《Pfizer-BioNTech社製ワクチン》との間に確立した関連性はないと述べました。
「《Pfizer-BioNTechワクチン》と《日本脳》の間には、認識されている関連性も予想されている関連性もありません。」と広報担当者は述べています。
「《日本脳炎ウイルス》以外の原因による脳炎も、《ワクチン》の副作用として認識されていません。」
広報担当者は、日本脳炎の感染の各ケースは、他の原因を排除するための検査によって確認されると付け加えました。
クイーンズランド大学のウイルス学教授であるAlexander Khromykh氏はAFPに対し、「Pfizer-BioNTech社製ワクチンが日本脳炎を引き起こす理由と方法には、科学的根拠がありません」と述べました。
「これらのワクチン接種の際に、脳炎の既往症の事前チェックは行なわれておらず、それ故、Pfizer社の文書の副作用リストに記載されている脳炎の合併症が、最近脳炎に感染した人に起こった可能性があります。」と、彼は言いました。
「脳炎や脳脊髄炎は、様々なウイルスや細菌感染によって引き起こされる可能性があり、ワクチン接種時には検出されなかったが、ワクチン接種後にこれらの副作用の検出と重なる可能性があります。」
不当表示された文書
この誤解を招く投稿が参照したと思われる文書は、Pfizer社がFDAに提出したものです。
これは、Public Health and Medical Professionals for Transparencyという米国の非営利団体による情報公開請求を通じて、FDAから入手されたものです。
この文書は、AFPがこちらで論破したように、以前から誤報の焦点となっていました。
この文書には、米国のVAERSを含むワクチン監視プログラムによって収集された、2021年2月28日までの有害事象報告が含まれています。
ただし、報告された有害事象は、必ずしも特定の薬剤に起因するものではありません。
「事象は、基礎疾患や過去の病歴や併用薬などの他の要因(複数可)によるものかもしれません」と文書には記載されています。
豪州保健省の広報担当者はAFPにこう語ってくれました。「FDAに提供されたPfizer社の報告書は、Pfizer社の安全性データベースを分析したものです。新たな安全性の懸念は見つからず、ワクチンの好ましいベネフィット・リスクプロフィールを支持しています。」