ホウ砂の摂取は厳禁です:専門家によりますと、この洗浄剤はホウ素の危険な代用品であるとのことです。
【主張】
ホウ砂は、関節痛、腎臓結石、骨粗しょう症、慢性疲労といった様々な健康問題の治療に使用可能である。
【評定概要】
洗浄剤のホウ砂は、ホウ素サプリメントや食品に含まれる天然ホウ素の代替品として摂取するべきではありません、と専門家は述べています。
ホウ砂を摂取すると、胃腸障害、発疹、頭痛、痙攣を引き起こす可能性があります。
大量に摂取すると死に至ることもあり得ます。
ホウ素は多くの食品に含まれる天然ミネラルであり、一般人は健康的な食生活を送るだけで十分なホウ素を摂取することが可能です、と専門家は指摘しています。
【レビュー】
ソーシャルメディアで流行している最新の健康トレンドは、一般的な掃除用品であり洗濯促進剤でもあるホウ砂が、様々な病気を治療することが可能だと主張しています。しかしながら専門家は、ホウ砂の摂取は危険であると警告しています。
7月18日のFacebookの動画では、ある女性が関節痛、腎臓結石、骨粗しょう症、慢性疲労といったいくつかの健康問題を挙げ、これら全てを「毎日コップ一杯の水にホウ砂を一つまみ入れておくだけ」で治療可能だと主張しています。
動画ではホウ砂の箱が映し出され、「洗濯用促進剤、多目的家庭用クリーナー」と説明されています。箱には「汚れを落とし、臭いを中和します」と書かれています。目への接触を避け、「内服しないこと」という注意書きが添えられています。
この女性は、少量のホウ砂はホウ素サプリメントの代替品として摂取可能だと主張しています。
「ホウ素の錠剤は買えなくても、ホウ砂なら買えるという人は大勢いることでしょう」、「ホウ砂はかなり安価で、大量に手に入ります」、「もう2ヶ月以上使っていますが、関節の痛みが劇的に減りました」、と女性は動画の中で語っています。
この投稿は、Metaのニュースフィードにおける虚偽のニュースや誤った情報と闘う努力の一環として、フラグが立てられました。(FacebookとInstagramを所有するMeta社とのパートナーシップについてはこちらをご覧下さい)
Facebookの動画や他のソーシャルメディアへの投稿は、ナトリウム、酸素、ホウ素からなる天然由来の化合物であるホウ砂と、多くの食品に含まれる天然由来のミネラルであるホウ素を混同しています。専門家によりますと、この2つには互換性がないとのことです。
「ホウ砂を摂取することは、食品やサプリメントからホウ素を摂取することと同一ではありませんし、ホウ砂を食べたり飲んだりすることは危険です」と、オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターの登録栄養士、Liz Weinandy氏は7月19日の記事に書いています。
米国FDAによりますと、米国で販売されている食品にホウ砂を使用することは違法行為です。
ホウ砂を摂取すると、吐き気、嘔吐、下痢といった胃腸障害や、発疹、頭痛、けいれん等を引き起こす可能性があります。非常に多量の摂取は死に至る可能性があると、米国国立衛生研究所(NIH)は警告しています。
ワシントンの国立毒物センター(National Capital Poison Center)では、昨年の今頃と比較して、ホウ砂とホウ酸に曝される人が増加していると、Kelly Johnson-Arbor博士はPolitiFactに話してくれました。
「ホウ砂を消費するだけでなく、ホウ砂溶液で入浴する人もいます。恐らく、デトックスの方法としてホウ砂を使用するソーシャルメディアが増えたからでしょう」とJohnson-Arbor氏は述べました。
ホウ砂を製造している洗剤会社《20 Mule Team Borax》は、同社のウエブサイト上で消費者に対し、ホウ砂での入浴、皮膚への塗布、摂取をしないよう呼びかけています。
「ホウ砂は、パーソナルケア製品や栄養補助食品としての使用を意図したものではありません。洗濯用ブースターや多目的クリーナーとして推奨されている用途以外には使用しないでください」と、ウェブサイト上に記載されています。
ホウ砂を摂取した場合は、牛乳か水で口内洗浄し、医師に連絡するよう同社は勧めています。
微量のホウ素は多くの果物、野菜、ナッツ類に自然に含まれているため、食事中のホウ素不足を心配する必要はないとWeinandy氏は述べています。ホウ素はコーヒー、ビール、ワインにも含まれています。 大半の人は、健康的な食生活を送るだけで十分なホウ素を摂取することが出来ます、と彼女は語ってくれました。
米国国立衛生研究所によりますと、ホウ素は人間にとって必須栄養素ではありません。ホウ素の効果について更なる研究がなされるまでは、人々はホウ素の摂取を制限すべきであると国立衛生研究所は述べています。
国立衛生研究所によりますと、成人のホウ素推奨最大摂取量は20ミリグラムで、子供の場合は3ミリグラムまでとされています。