ボトル入り飲料水に含まれている重曹が「深刻な副作用」を引き起こすことはありません。

ボトル入り飲料水に含まれる炭酸水素ナトリウムは、重大な健康被害をもたらすのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。この成分は一般的に重曹として知られており、化学的には塩です。米国FDAは、炭酸水素ナトリウムを食品に使用しても安全であると考えています。

この主張は、2024年3月2日付のInstagram上の投稿(アーカイブはこちら)に掲載されました。冒頭で次のように書かれていました:

炭酸水素ナトリウムについてどう思いますか?

What are your thoughts on Sodium Bicarbonate? | Instagram

記事執筆時のInstagramでの投稿は以下のようなものでした:

(出典:2024/03/07 木曜日15:23:25 UTCに取得された Instagramのスクリーンショット)

動画では、炭酸水素ナトリウムが原材料の1つとして記載されたラベルが貼られた水のボトルが映し出されていました。そして、Googleの検索結果を表示するページに切り替わり、この成分を含む水を飲むと「深刻な副作用」を引き起こす可能性があることを示唆しました:

(出典:2024/04/07 木曜日18:44:05 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

しかしながら、炭酸水素ナトリウムは不思議な化学薬品という訳ではありません。重曹(アーカイブはこちら)そのもののことを指し、塩の一種だと言えます。

米国FDAは、炭酸水素ナトリウムを一般に安全と認められているグループに分類しています。同局の結論は以下の通りです

入手可能な[物質]に関する情報の範囲内では、一般大衆に対する危険性を示す、或いは疑うに足る合理的な根拠を示唆する証拠は存在しません。

SCOGS (Select Committee on GRAS Substances) (fda.gov)

炭酸水素ナトリウムは水中に自然に存在する元素の一つです。

炭酸水素ナトリウムの濃度は水源によって大きく異なりますが、WHOは炭酸水素ナトリウムの濃度が420ミリグラム/リットルになると独特の味を生じると報告しています(アーカイブはこちら)。

Instagramの投稿に登場したボトル入り飲料水(アーカイブはこちら)が、一般的に苦味と塩味を強く感じるミネラルウォーター(アーカイブはこちら)ではないことを考慮した場合、炭酸水素ナトリウムの濃度は高々この程度である可能性が高いと思われます。或いは、それよりもかなり低い可能性もあるかも知れません。

2014年、Time誌(アーカイブはこちら)は、ニューヨーク大学の栄養学、食品学、公衆衛生学の教授であるMarion Nestle氏(アーカイブはこちら)と、アイダホ大学の土壌科学と水質学の教授であるBob Mahler氏(アーカイブはこちら)にインタビューし、ボトル入りの水に含まれる最も一般的な添加物について取り上げています。この論文は、ボトル入り飲料水中の炭酸水素ナトリウムの濃度は、「大きな意味を持つというにはあまりに微量だと思います」、と結論づけています。

Instagramへの投稿で引用されたGoodRxの記事(アーカイブはこちら)は、飲料水に含まれる炭酸水素ナトリウムの副作用については触れていません - それは、逆流性食道炎の症状を緩和する市販薬として錠剤の形で販売されているこの物質を過剰摂取した場合に発生する可能性のある副作用を取り上げたものです。それは、水に溶かした錠剤を大量に摂取した場合にのみ起こる可能性があります。例えば、炭酸水素ナトリウムを他の薬と混ぜていない場合、60歳未満の成人の1日最大摂取量は48錠で、1錠あたり325ミリグラムの有効成分が含まれています。

Instagramに投稿されたボトル入りの水に1リットルあたり420ミリグラムの炭酸水素ナトリウムが含まれていたとすると、GoodRxの記事にある最大安全量を超えるには、24時間で37リットル(ほぼ10ガロン)以上の炭酸水素ナトリウムを摂取しなければならないことになります。人は1日にそれほど大量の水を摂取することはありませんから、これは非現実的なシナリオです。

炭酸水素ナトリウムの過剰摂取以前に水の過剰摂取で(ry……

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