シドニーの原子炉では原子力発電は行なっていません。
基記事はこちら。
【主張】
Lucas Heightsの原子炉は原子力発電を行なっている。
【評定:誤り】
Lucas Heightsの原子炉は電力を生産しておらず、専門家によりますと、電力を生産出来るように改造することは出来ないとのことです。
【レビュー】
AAP FACTCHECK - SNS上の投稿では、オーストラリアで唯一の原子炉が原子力発電を行なっているという話が出ています。
これは誤りだ。シドニー南部のLucas Heightsにある原子炉は原子力発電を行なっておらず、専門家によれば、原子炉を改造して発電することは不可能だということです。
この原子炉は、癌の診断や 治療といった核医学で使用される放射性薬剤を製造する研究用原子炉です。
この主張は、原発建設に関する現在進行中の保守連合の提案という政治的議論に関連する複数のFacebook投稿に登場したものです。
ある投稿ではLucas Heightsを「原子力発電システム」と呼び、別の投稿ではオーストラリアには「Lucas Heightsで何十年も」原子力発電が行なわれてきたと述べています。
この施設は、オープンプール・オーストラリア軽水炉(OPAL)と呼ばれ、オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)によって運営されています。
ANSTOの担当者はAAP FactCheckに対し、この主張はデマであり、原子炉は「エネルギーを生産するものではありません」と述べています。
「この原子炉はエネルギーを生産するようには設計されていませんし、そのように改造することも不可能です」と、担当者は語っています。
別の投稿では、Lucas Heightsの原子炉から発生する熱は蒸気を発生させ、タービンを設置すれば発電炉に変えられると主張しています。
ANSTOはAAP FactCheckに対し、原子炉は多少の熱を発生させるものの、発電用の原子炉が発生させる熱とは比べ物になりません、と述べています。
「OPALの運転は、約20メガワットの熱を発生させます...この熱は、典型的な大型原子炉と比較すると非常に小さく、つまりOPALの熱エネルギーは、大型原子炉よりも約99%少ないのです」と広報担当者は述べています。
ANSTOのウェブサイトによりますと、「OPALの出力は、(原子力発電の)タービンを駆動するための高圧蒸気を発生させるのに十分な温度の水を加熱するのとは対照的に、原子炉プールの水を摂氏40度程度に加熱するのに十分な程度」だということです。
クイーンズランド大学の放射化学部長であるBrett Paterson准教授は、AAP FactCheckの取材に対し、この原子炉は医療用の放射性同位元素を生成するために設計されたものであり、「電気を作るために熱や蒸気を発生させるのとは対照的なものです」と語っています。
Paterson准教授は、これらの放射性同位元素(放射性アイソトープ)は、病気の部位にある患者の体内で放射能を放出するために使用されると説明しています。
「この放射線は、画像診断や病気の診断のため、或いは放射線が病気の細胞を破壊するため、場合によっては治療薬として、患者の体外から検出することが出来ます」、と付け加えています。
AAP FactCheckは最近、原子力に関する他の主張をチェックしました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?