この映像では、中国機は米軍機ではなくカナダ軍機を迎撃しています。
基記事はこちら。
中国軍機がカナダ軍機に極めて接近して飛行している緊迫した映像を、米空軍機と誤認する投稿が世界中で共有されています。カナダのメディア組織Global Newsのジャーナリストが、2023年10月に中国沖の公海上でカナダ軍機に搭乗して撮影した映像です。
「中国空軍の戦闘機が米空軍の偵察機を撃退している」と、SNSサイトXに中国軍の頭文字を使った英語の投稿がなされていました。
「2機は3メートルしか離れていない」と2024年7月14日の投稿は付け加えています。
その投稿には、英語と中国語の字幕がほぼ同じで、飛行機の中から撮影された、すぐ近くを飛ぶ別の飛行機の映像が含まれていました。
最初の飛行機の中にいる男性と女性が、目撃していることを説明しています。
女性が、「私達は大丈夫ですか?」と問うと、それに対して男性が「これは異常で普通ではない迎撃です」と答えているのが聞こえます。
この投稿は500回以上再共有されました。同様の投稿は、中国、フィリピン、インドネシアのSNSユーザーからも、スペイン語やアラビア語といった複数言語でシェアさ れました。
米国は、軍事力と影響力を拡大する中国に対抗するため、アジアの防衛関係を強化してきました。中国当局は、米国がアジア太平洋版NATOを作ろうとしていると非難しています。
米軍は以前、2023年5月と10月に中国の戦闘機パイロットが傍受したのは「プロフェッショナルではない」と批判していましたが、出回っている映像には米軍機が関与した事件は描かれていません(アーカイブリンクはこちらとこちら)。
これは、中国沖の公海上でカナダ軍戦闘機を迎撃しようとする中国軍機を映しているものです。
カナダと中国との睨み合い
動画のキーフレームを逆画像検索し、キーワードで検索した結果、カナダのメディアGlobal Newsが2023年10月17日にYouTubeで公開したオリジナルの動画が見つかりました(アーカイブリンク)。
その見出しには次のように書かれています:「中国軍のジェット機が月曜日、中国沖の国際水域でカナダ空軍のAurora機を迎撃しています」
以下は、Xへのデマ投稿でシェアされた動画(左)とGlobal Newsの動画(右)とのスクリーンショット比較です:
Global News の報道では、ジャーナリストのNeetu Garcha氏がカナダ軍機に搭乗していたということです。
Global Newsが2023年10月16日に公開した別の映像では、カナダ軍パイロットのロゴが縫い付けられた制服を着た将校(カナダ軍のIain Huddleston少将)と機内の様子が映っています[アーカイブリンクはこちら(⇦キャプチャミスのようです)とこちら]。
以下はその映像のスクリーンショットです:
CBC/ラジオ・カナダのテレビクルーも、機内での出来事を記録・報道し、2023年10月16日に別の角度から撮影した映像クリップを公開しました(アーカイブリンク)。
国連による対北朝鮮制裁を実施する任務に就いていたカナダ軍のAurora機を、中国機が数時間に渡って公海上で追跡したと、AFP通信は当時、同機に乗っていたカナダのテレビクルーの言葉を引用して報じました。
そのうちの1機はカナダ軍機の5メートル(15フィート)以内に接近し、カナダのビル・ブレア国防相は「プロとしてあるまじき行為」と非難しました。
しかしながら、中国側は反撃し、日本が統治する尖閣諸島にある嘉義島の領空に「不法に侵入した」と非難しています。
AFP通信はこれまでにも、米中関係に関する誤った情報を論破してきました。
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