インドのHaryana州で教師が生徒を殴っている映像は、Ayodhyaに新しく建てられたヒンドゥー教寺院の職員が「(カースト外だからという差別的な意図で)の少年を殴っている」映像ではありません。

インドのヒンドゥー教ナショナリズムの台頭を象徴する新しい寺院がAyodhyaに開設されるのを前に、ヒンドゥー教のカースト制度の最下層に位置するダリット階層の少年を主催者側が殴打する様子を撮影したとするデマ動画がSNS上で拡散されています。この動画はインド北部の別の州で撮影されたもので、2人組の教師が宗教式典で踊りを妨害したとされる少年を殴っている様子です。地元警察はAFP通信に対し、少年はダリット階層の出身ではなく、調査が進められていると述べています。

「ダリット階層の少年Vishnuは、AyodhyaのRam寺院の宗教式典中に花を投げたため、主催者に殴られた」と、2023年12月26日にFacebookで共有された映像のヒンディー語の見出しには書いてあります。

この見出しは、ナレンドラ・モディ首相の政党が支援するキャンペーンでヒンドゥー教の熱狂的な信者達によって取り壊されるまで、何世紀にも渡ってモスクが建っていた場所に建てられた、ヒンドゥー教の神Ramに捧げられた新しい寺院のことを指しています。

北部のUttar Pradesh州にあるAyodhyaのイスラム教徒住民は、取り壊しに伴う致命的な暴動を覚えており、宗教的熱狂の雰囲気が再び高まることを警戒しています(アーカイブリンク)。

しかしながら、多くの人々にとって、このプロジェクトはAyodhyaを古代ヒンドゥー教典に描かれた栄光の地に戻す手段であると同時に、国政選挙を数カ月後に控えたモディ氏がインドの多数派の信仰を守ることに全力を注いでいることの証明でもあると考えています。

この見出しは、一部の人々がダリットを差別する様子を模倣しているように見え、こう結んでいます:「そして、彼らはヒンドゥー教国家を作ると言う」

2024年1月5日に撮影されたFacebookのデマ投稿のスクリーンショット

この動画は、SNSのXで同様の主張と共にシェアされた他、Facebookのこちらこちらでもシェアされました。

しかしながら、この動画はAyodhyaで撮影されたものではなく、また、新寺院の開設とも無関係です。

【Ayodhyaで起こったことでもダリット階層を差別している様子でもありません】

動画のキーフレームを使ってGoogleで逆画像検索した結果、2023年12月24日にこちらで公開されたETV Bharatニュースチャンネルによるヒンディー語報道で使用されたのと同じ映像が見つかりました(アーカイブリンク)。

それによりますと、Faridabadの公立学校で行なわれたGeeta Jayantiのお祝いに参加した生徒が、ダンスを披露していた女子生徒に花を投げつけたとして、2人の教師に殴られたということです。

FaridabadはHaryana州にある地区で、Ayodhyaから約500km(310マイル)離れています(アーカイブリンク)。

以下は、デマ投稿動画(左)とETV Bharatの動画(右)とを比較したスクリーンショットです:

デマ投稿動画(左)とETV Bharatの動画(右)とを比較したスクリーンショット

この事件は、こちらと、こちらと、こちら(アーカイブリンクはこちらと、こちらと、こちら)でも報道されています。

Faridabad Sector-12警察署長のRanveer Singh警部は、AFPの取材に対し、この主張は「完全なデマです」と語っています。

「この動画はSector 12にある公立学校のもので、子どもはダリット階層ではなくバラモン階層です。両教師に対して告訴状を提出し、必要な調査が行なわれています」と2024年1月5日に語っています。

Sector 12はFaridabadの住宅街です。

Ayodhyaの警察も2023年12月26日、SNSプラットフォームXの公式アカウントでこの主張に反論していますアーカイブリンク)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?