カイエン・ペッパーを食べることでDNAが直接修復されたり、人間の癌が死滅するというエビデンスはありません。
カイエン・ペッパーを食べるとガン細胞が死滅し、傷ついたDNAが再生するのでしょうか?いいえ、そんなことはありません: バージニア・コモンウェルス大学マッセイ癌センターの管理栄養士によりますと、カイエン・ペッパーを食べることでDNAが修復されたり、癌細胞が死滅したりするというエビデンスはないということです。国立ヒトゲノム研究所の臨床部長は、Lead Storiesの取材に対し、DNAの修復を手助けしたいのであれば、健康的な食事と一般的な生活習慣を維持することで十分だと語ってくれました。
この主張はFacebook上に掲載され(アーカイブはこちら)、2023年7月31日に公表されました。冒頭、正体不明の男が次のように語っています:
本稿執筆時点では、この投稿はFacebook上で次のように表示されていました:
ナレーターによりますと、人はカイエン・ペッパー、ケルティック・ソルト、黒胡椒を摂取することでDNAを修復することが出来るそうです。
ナレーターによりますと、オーガニックのカイエン・ペッパーは 《c-word》、つまり癌を殺し、胃の中の《寄生虫のワーム》を殺し、乾癬、カンジダ、アルツハイマーのような問題を回復させることが出来るそうです。カンジダは症状ではなく、カンジダ症を引き起こす真菌で起こる感染症です。講演者は視聴者に、これらの問題を治したいなら、カイエン・ペッパー1~3グラムを(ケルティック・ソルト5~10グラムと共に)1日3~10回使うようアドバイスしています。
この動画では、カイエン・ペッパーがどのような作用で癌細胞を殺したり、DNAを再生したりするのかは説明されていません。
動画の中では、聖書の引用とともに、Google検索の結果のスクリーンショットがナレーションに合わせて映し出されます。しかしながら、その主張を裏付ける証拠や研究結果は一切引用されていません。「カイエン・ペッパーはDNAを修復する」という検索結果のスクリーンショットが映し出され、強調された説明には、「クルクミンは慢性的にヒ素に曝露された人のリンパ球のDNA損傷を防ぎ、その修復能力を向上させる」と書かれています。以下にその一例を示します:
発言者の主張を裏付けていないスクリーンショットのもう一つの例は以下の通りです。Google検索はやはり「カイエン・ペッパーがDNAを修復」であり、ハイライトされた結果は、食事に生姜を取り入れた人がDNAの損傷を25%カットしたとされる事実に触れています:
2つのスクリーンショットのどちらも、カイエン・ペッパーがDNAを修復する作用について直接的に言及しているわけではありません。
メモリアル・スローン・ケタリング癌センターによりますと、カイエン・ペッパーの潜在的な効能は、消化と血液循環の改善、2型糖尿病の管理、ダイエットの支援です。同センターのウェブサイトには、カイエン・ペッパーが癌細胞を殺すとか、DNAを修復するといった記述は見当たりません。同センターのウェブサイトには、カイエン・ペッパーを辛くしている成分であるカプサイシンは、実験室試験で乳癌細胞の繁殖を阻止し、マウスでは細胞死を起こしましたが、カプサイシンがヒトで発見された癌にどのような影響を与えるかについては、更なる研究が必要であると記載されています。
Lead Storiesはこの主張について、バージニア・コモンウェルス大学マッセイ癌センターの統合医療栄養士Samantha Haswell氏にお話を伺いました。Haswell氏は、カイエン・ペッパーを食べることには一定の利点がありますが、ダメージを受けたDNAを修復したり、癌細胞を殺すことはないと説明しています。2023年8月3日の電子メールに彼女は次のように書いています:
国立ヒトゲノム研究所の臨床部長であるBenjamin Solomon医師に、ある特定の食品(または香辛料)を食べると、健康的でバランスのとれた食事よりも早くDNAが修復されるという証拠があるかどうか尋ねてみました。2023年8月3日の電子メールで、Solomon氏は次のように答えて下さいました:
癌についてのその他の主張に関するLead Storiesのファクトチェックはこちらをご覧下さい。DNAに関するLead Storiesのファクトチェックはこちらをご覧下さい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?