妊娠中のタイレノール使用は、自閉症と関係があるのでしょうか?いいえ、それを裏付ける証拠はありません。自閉症または自閉症スペクトラム障害 (ASD)は、脳の機能差によって引き起こされる複雑な発達障害です。CDC によりますと、その具体的な原因については殆ど分かっていません。医学的な検査がないため、ASDの診断が難しい場合もあります。
この主張は、2022年7月7日、「自閉症と関係している...… 」というタイトルでFacebookの投稿 に掲載されました。冒頭は以下の通り:
妊娠中にタイレノールを常用し、その後自閉症の子供を産んだ人は、今すぐ私たちに連絡して下さい。無料相談受付中です。今すぐ詳細を見るをクリックしましょう。多額の補償を受けることが出来ます。
https://www.facebook.com/AutismClaimHelp/videos/1477339702697256/ 記事執筆時、Facebookでは以下のような投稿がされていました:
(出典: 2022/07/14 木曜日 14:45:40 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット) 訴訟について 2022年6月10日現在、タイレノールの有効成分であるアセトアミノフェンと、ASDおよび注意欠陥・多動性障害(ADHD)という2つの疾患との関連性を主張する少なくとも19件の訴訟 が、全米の連邦地方裁判所に提起されています。それぞれ、薬局や製薬会社が出生前の曝露に伴うリスクについて警告を行なわなかったという同様の主張がなされています。また、上記の投稿にあるような多くの法律事務所が、訴訟請求のレビューをオンラインで顧客を募集 しています。
増える診断数 CDCの自閉症・発達障害モニタリングネットワーク の推計によりますと、自閉症の有病率は、2000年には約150人に1人だったのが、2018年には約44人に1人と、20年足らずでかなり増えています。
2022年7月14日、Lead Storiesへの電子メールで、CDCは複数のものがASDの原因になるようだと述べています。アセトアミノフェンはそのリストにはありませんでした:
子供がASDになりやすい要因としては、環境的要因、生物学的要因、遺伝的要因等、様々なものが確認されています。 具体的な原因については殆ど分かっていませんが、入手可能な証拠によりますと、以下のようなことがあると、子どもがASDを発症するリスクが高くなる可能性があるとのことです: ・兄弟にASDの子どもがいる ・脆弱性X症候群や結節性硬化症等、特定の遺伝子や染色体の状態にある ・出生時に合併症を経験した ・高齢の両親の下に生まれた
https://leadstories.com/hoax-alert/2022/07/fact-check-no-evidence-tylenol-use-during-pregnancy-linked-to-autism.html 研究成果について 国立衛生研究所 の資金提供による2019年の研究では、妊娠中のアセトアミノフェン曝露と自閉症やADHDの高いリスクとの関連性が示唆されました。American Journal of Epidemiologyに掲載された2018年 の研究も同様でした。これとは別に、91人の科学者、臨床医、公衆衛生専門家による2021年の「合意声明 」では、妊婦がこの薬を使用することへの懸念が表明されました。
2022年7月14日、Lead Storiesへの電子メールで、FDAは、こうした研究は専門家を納得させなかったと述べています。
FDAは、処方薬や市販の(OTC)鎮痛剤を妊娠中に使用した場合の安全性を疑問視する報告から生じる懸念を認識し、理解しています。その結果、医学文献に掲載されたアセトアミノフェンに関する研究調査を評価した結果、現時点ではこれらの調査に基づく勧告を行うにはあまりにも限定的であると判断しました。このように不確実であるため、妊娠中の痛み止めの使用は慎重に検討されるべきです。妊娠中の方は、全ての医薬品を使用する前に、必ず医療専門家に相談することをお勧めします。
https://leadstories.com/hoax-alert/2022/07/fact-check-no-evidence-tylenol-use-during-pregnancy-linked-to-autism.html ネブラスカ大学医療センターの新生児学者 であるAnn Anderson Berry 博士も、FDAに同意しています。2022年7月14日の電話インタビューで、彼女は以下のように語っています:
研究結果は決定的なものとして受け止められるべきではありません。私達はもっと体系的に見なければなりません。タイレノールの使用とASDを関連付けるのは、まだ時期尚早だと思います。
https://leadstories.com/hoax-alert/2022/07/fact-check-no-evidence-tylenol-use-during-pregnancy-linked-to-autism.html また、アメリカ産科婦人科学会は、この合意声明に対して、「どの時期においてもアセトアミノフェンを慎重に使用することと胎児の発達の問題との間に直接的な関係を証明する明確な証拠はない」、「患者はアセトアミノフェンの多くの利点から怖がって離れてはならない」という回答を発表 しています。
製造元 アセトアミノフェンのタイレノールブランドは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製です。同社は2022年7月14日、Lead Stories社への電子メールで、次のように述べています:
当社製品を使用する人々の健康と安全は当社の最優先事項であり、消費者が市販薬を使用する際には、常にラベルを注意深く読み、それに従うことを推奨しています。アセトアミノフェンを有効成分とする当社の成人用タイレノール®製品のラベルには、『妊娠中または授乳中の場合は、使用前に医療専門家に相談すること』と記載されています。私達は常に新しいデータを評価します。現時点では、妊娠中のアセトアミノフェンの使用と胎児の有害事象のリスクとの因果関係を裏付けるエビデンスは得られていません。
https://leadstories.com/hoax-alert/2022/07/fact-check-no-evidence-tylenol-use-during-pregnancy-linked-to-autism.html