Nancy Mace議員は間違っています。全ての人がXXかXYかの内の一つの染色体を持って生まれてくるわけではありません。

【主張】

  • 染色体はXXかXYかのどちらかよ。

  • それが選択肢なのよ。

【結論要旨】

  • よく知られているいくつかの疾患の一つを持つ人々は、通常女性/男性の性別に対応するXX/XY染色体を持つ人だけではありません。

  • これらの疾患には、クラインフェルター症候群(XXY)、ターナー症候群(欠損または部分的X)、トリプルX症候群(XXX)、ヤコブ症候群(XYY)等が含まれています。

  • 調査によりますと、世界人口の約1.7%がインターセックス(性同一性障害)または性発達障害を持っていると推定されており、その人の解剖学的構造が男性にも女性にも完全には適合しないケースです。

【レビュー】

世の中には2種類の人間がいる、という表現をよく耳にします。

しかしながら、性染色体によって人を分類する場合、それは必ずしも当てはまるとは限りません。

「あなたはXXかXYのどちらかの染色体を持っている」、「それが選択肢よ」、とサウスカロライナ州選出のNancy Mace下院議員は2月20日、X上に書き込みました。

多くの場合、人は2本のX染色体(女性)またはXとYの染色体(男性)を持って生まれます。しかしながら、常にそうであるとは限りません。

Maceの主張は、1930年代に科学者によって初めて観察されたいくつかの病状の存在を無視しています。1950年代に実施された遺伝子検査によって、科学者達はこれらの病態を、性染色体がXXでもXYでもない様々な染色体異常と関連付けることが可能になりました。

掲載前にコメントを求めましたが、Maceの事務所からの回答はありませんでした。掲載後、同事務所は2月21日付の電子メールで、「染色体異常がない限り、典型的な数の染色体を持つ人(倍数体として知られている)は、生物学的性別を決定するXXかXYのいずれかを持っています」と書いています。

世界中の人口の約1.7%がインターセックス状態、または性別の発育の違い、つまりある人の解剖学的構造が男性か女性に当てはまらないケースを持っていると、ブラウン大学の生物学者Anne Fausto-Sterling氏によって2000年に発表された医学文献の一般的なレビューが引用文献として挙げられています。

その症状には以下のようなものが含まれています:

  • クラインフェルター症候群(XXY): 1942年に初めて同定された症候群で、X染色体を過剰に持っています。この症候群の人々は通常、出生時に男性に分類されます;この病態は結果として生殖不能、低テストステロン、停留睾丸をもたらす可能性があります。男性600人に1人の割合で発症します。

  • ターナー症候群(欠失または部分的X): 1938年に初めて同定されたこの症候群は、女性のX染色体対の一部が欠損している場合に発症します。これにより、低身長、思春期の遅れ、性ホルモンの低下、不妊の可能性が生じます。

  • トリプルX症候群(XXX): トリソミーXとも呼ばれるこの症候群の症状は、身長が高いという軽度のものから、発達の遅れを含む重度のものまで様々なものがあります。約1,000人に1人の女性に見られるこの症状は、1959年に初めて同定されました

  • ヤコブ症候群(XYY): この症状は比較的稀で、Y染色体が余分にある男性に発症します。男性1000人に1人の割合で発生し、1960年代に同定されています。

米国生殖医学会が発表したファクトシートによりますと、染色体異常は「推定1,500人から2,000人に1人の割合で発生し、これは現在におけるアメリカ人の人口に換算しますと、約20万人から33万人に相当します」、ということです。

科学者によりますと、人の「性別」は一つの要素簡単に測れるものではないため、染色体を伴わないインターセックスも存在するとのことです。染色体、生殖腺、ホルモン、生殖器はいずれも、人の性分類に関わるものだからです。

de la Chapelle症候群の人はXX染色体を持っていますが、通常Y染色体上にある遺伝子がX染色体上の新しい位置に移動するため、ペニスを形成することが可能です。

アンドロゲン不応症候群の人は、男性染色体を持っていますが、体内で自然に生成される男性ホルモンに反応しません。完全不応症の場合、遺伝的に男性である胎児(XY)が、精巣を持ち、テストステロンの分泌が正常であれば、膣を発達させ、出生時に女性と割り当てられることがあります。部分的または軽度の不応症では、性徴がより曖昧になります。

その他にも、男性か女性かのカテゴリーに明確に分類されない曖昧な性器になる場合もあります。

「インターセックスの青少年を支援する非営利団体Interactの法律・政策担当責任者であるSylvan Fraser Anthony氏は、「他にも様々な性差が生まれながらにして存在する可能性があります」、「その他の性差が発見されるのは、もっと後になってからです」、とPolitiFactの取材に対して語っています

【評定】

  • MaceはX上に「あなたはXXかXYの染色体を持っている。それが選択肢だ」 と記していました。

  • 大部分の人はXXかXYのどちらかの染色体を持って生まれて来ますが、数十年前に同定された科学によりますと、他の染色体の変異を持って生まれて来る人もいるということです。

  • 我々はこの主張を誤りであると評定します。

2025年2月21日更新:

  • このファクトチェックは、Mace事務所からの発表後のコメントを含むように更新されました。


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