2013年の米国最高裁判決は、『mRNAワクチンを接種された人々はもはや人間ではない』との判決を下したりしていません。
【和訳】
2013年の最高裁判決がソーシャルメディアユーザーに誤解されており、mRNAのCOVID-19ワクチンを接種された者はもはや人間ではなく、特許を取得出来ないことを証明するものとして引用されている者が居ます。
ユーザーは、次のような投稿をSNSで共有しました。:
ユーザーは、その主張の証拠として、2013年の「Association for Molecular Pathology VS Myriad Genetics社」の最高裁判決を挙げました。
この判決では、天然に存在するヒトの遺伝子に関する特許は禁止されましたが、合成的に作られた遺伝子物質に関する法的保護は認められています(こちら)。判決文は(archive.is/wip/T9GE5)で見ることが出来ます。
ネット上のクレームの例は、(こちら)、(こちら)、(こちら)、(こちら)で見ることが出来ます。
「Myriad社のケースは、実験室にセットされた細胞に関するものです。誰かの身体の中にある細胞とは何の関係もありません。」とカリフォルニア大学ヘイスティングス校のArthur J. Goldberg特別教授(法学)は、ロイター通信に語ってくれました。
最高裁の判決は、乳がんと卵巣がんに関連する2つの遺伝子について、Myriad Genetic社が所有またはライセンス供与していた7つの特許に対して、医学研究者などが起こした異議申し立てに対応した判決に関わるものです(こちら)。
同裁判所は、合成的に作成された相補的DNA(cDNA)は特許性があるが、単離された天然DNAは特許性がないとの判断を下しました(こちら)。
本件に関連する2013年6月13日発行のメモランダムも閲覧可能です(こちら)。
この判決により、mRNAワクチンを注射された者はもはや人間ではなく、特許を取得する余地がないとする主張は 「(体細胞を修正する遺伝子治療とは似て非なるものである)これらのワクチンがどのように機能するかを誤解していることを切り離して大目に見てあげても、全く馬鹿げています。---Myriad判決で、アメリカ合衆国最高裁は、ヒトでの使用に関連しない遺伝子特許の特許性を劇的に狭め、治療アプリケーションのアウトプット(例えば、CF患者の治癒)は、さらに明確に特許性のない主題です。」、とフロリダ大学レビン法学部チェスターフィールド・スミス名誉研究員Lars Noah教授がロイターに語ってくれました。
一方、「特許を取得したワクチンを注射されたからといって、特許を取得した心臓のステントやペースメーカーを手に入れたのと同じように、特許が受領者に及ぶことはありません。」と、ユタ大学の知的財産法・政策プログラムディレクターで、Myriad Genetics事件に関する書籍『The Genome Defense』(genomedefense.org/)を著したJorge Contreras主席研究員・法学部教授はロイターに述べています。
米国特許法も「ヒト生物を特許化することを明示的に禁止しています。」とContreras氏は付け加えました(こちら)。2011年のリーヒースミス米国発明法の第33条(a)には、こう書かれています。:「他の法律の規定にかかわらず、ヒト生物を対象とする、またはヒト生物を包含する特許請求の範囲については、特許を発行することは出来ません。」(こちら)。
評定
デマです。 2013年の最高裁判決では、mRNAワクチンを接種された人はもはや人間ではなく、特許を取得することが出来ないとは判断されませんでした。この判決は、単離された天然由来の核酸は特許になり得ないとしましたが、cDNAのような非天然由来の核酸は特許になり得るとしました。