福島の処理水放出後、中国の日本人学校に「閉鎖命令」が出たとするデマが投稿されています。
日本政府が2023年8月下旬に福島第一原子力発電所の処理水を太平洋に放出すると決定したことを受け、中国のSNS上で、「中国が国内の日本人学校137校全てに閉鎖を命じた」というデマの投稿が数万ビューで共有されました。在中国日本大使館の報道官はAFP通信に対し、この主張はデマであり、日本の文部科学省はそのような閉鎖の通知は受けていないと述べています。(そもそも)公式記録では、中国本土には11校、香港には3校の日本人学校しか存在しませんwww。
「中国政府は遂に、中国国内にある137校の日本人学校を段階的に閉鎖するよう命じた」、と中国版TikTokのDouyinに2023年9月19日に投稿された動画でナレーターが中国語で言っているのが聞き取れます。
「解体は大連、蘇州、そして上海と他の都市へと、段階的、地域的に実施される」
この映像には、深圳で最も高い超高層ビルの無関係な映像に重ねて、同じ主張をする簡体字の中国語テキストも含まれています(アーカイブリンク)。
この主張は、日本が被災した福島第一原子力発電所からオリンピックプール500杯分以上の処理水の放出を8月下旬に開始した後に浮上したもので、国連の原子力監視委員会が放出は安全だと保証したにも関わらず、隣国の中国からの反発を招いているものです。
放出が始まって以降、中国では日本に対する市民の敵意が燃え上がり、日本の学校や領事館にレンガや卵が投げつけられました。日本の企業にも中国の番号から迷惑電話が殺到しています。
X(旧称Twitter)、WeChat、Douyin、中国の動画共有プラットフォームBilibili、Xigua Shipinでも同様の主張をする投稿が流れています。
そのような事実はありません
しかしながら、在中国日本大使館の職員は16日、AFP通信に対し、中国政府が「いかなる理由であれ」日本人学校に閉鎖を命じたという「そのような事実はない」と述べています。
1月16日に大使館のウェブサイトで公開されたリストによりますと、中国本土には11校、香港には3校の日本人学校があるだけで、デマ動画(アーカイブリンク)で主張されているような137校ではありません。
「ネット上の数字(137)がどこから来たのか、我々には全く見当がつきません」と広報担当者は付け加えています。
日本の文部科学省の報道官も2023年10月4日、AFPの取材に対し、北京から中国国内の日本人学校の閉鎖を命じる通達は受け取っていないと述べています(アーカイブリンク)。
2023年10月18日現在、AFP通信は、中国が日本人学校の閉鎖を命じたという信憑性のある報道を入手していません。
また、少なくとも8校が公式サイトの更新を続けており、正常な運営の様子が伺えます。
その中には、北京日本人学校の募集告知や、青島日本人学校の学校行事の告知も含まれています(アーカイブリンクはこちらとこちら)。
AFP通信は、福島原発からの処理水放出に関する一連のデマを、こちら、こちら、こちら、こちら、こちら、こちらで論破してきました。