専門家らがトコジラミ駆除のための珪藻土の一般家庭での使用に警告を発しています。

Experts warn against home use of diatomaceous earth to eradicate bedbugs

韓国の保健当局と害虫駆除の専門家は、前例のない大発生と闘う韓国で、珪藻土と呼ばれる軟らかい岩石の一種がトコジラミ駆除に効果があると誤解を招くようなSNSへの投稿を否定しています。AFP通信によりますと、この物質はトコジラミを即座に駆除するのに安全でも効果的でもないということです。 熱とピレトリンと呼ばれる植物性殺虫剤が安全であり、害虫にとって効果的です。

「皆さん! 珪藻土がトコジラミを駆除します!!!! (マットではなく粉末です)」と、2023年10月18日にX（旧ツイッター）に投稿された韓国語の記事の一部が掲載されています。

このツイートは、「殺虫剤やスプレーは意味がない」とし、トコジラミ退治には摂氏50度（華氏122度）以上の高温と珪藻土が効果的だと主張しています。

米国農薬情報センターによりますと、珪藻土はシリカと呼ばれる天然物質から形成される骨格を持つ小さな水生生物の化石から作られます（アーカイブリンク）。

殺虫剤だけでなく、スキンケア製品、歯磨き粉、食品・飲料、医薬品、バスマットといった様々なものに使用されています。

この投稿では、「トコジラミ - あなたが言われたことは嘘です」と題されたYouTube動画へのリンクを含む別のツイートを紹介しています。

動画に登場する男性は、珪藻土はトコジラミに対するテストで「スーパースター」であり、10日後の死亡率は90％だったと主張しています。彼は、床や家具の隙間、コンセントの周りや裏等に、パウダーダスターを使って珪藻土を薄く塗る方法を実演しています。

2023 年11月10日にXに投稿された記事のスクリーンショット

トコジラミは人を咬んで血を吸うため、痒みを伴うことがありますが、通常は他の健康問題を引き起こすことはありません。しかしながら、その糞に触れると喘息発作を引き起こし、噛まれると発疹やアナフィラキシーのような重篤な反応を引き起こす可能性があります。

この誤解を招くような主張は、2023年9月に初めて報告されたトコジラミの急増に韓国が取り組んでいる最中に浮上したもので、何十年もの間、害虫は殆ど生息していないと考えられてきた韓国でパニックを引き起こしました（アーカイブリンク）。

11月21日現在、政府政策調整室は365件のトコジラミ報告を受け、そのうち108件が確認されたと発表しました（アーカイブリンク）。

韓国当局は害虫駆除を強化し、被害を受けた地域や、ホテル、寮、サウナといった特に発生しやすい場所の検査と消毒に専門の職員を派遣しています（アーカイブリンクはこちらとこちら）。

珪藻土に関する同様の誤解を招く主張は、YouTubeで400万回以上再生され、Facebookではこちらとこちらで繰り返しシェアされています。また、韓国のプラットフォームであるNaver Blog（こちらとこちら）、Naver Cafe、MLB Parkでもシェアされています。

しかしながら、珪藻土は家庭用としては安全ではなく、人体に有害である可能性があると、韓国当局と害虫駆除の専門家は警告しています。

肺へのダメージ

韓国の乙支大学で害虫学を教えるヤン・ヨンチョル非常勤教授は、珪藻土は肺の病気を引き起こす可能性があり、トコジラミを即死させることは出来ないと述べています（アーカイブリンク）。

「珪藻土を室内やベッド周辺に散布すると、その微粒子を吸い込み、珪肺症などの肺疾患を引き起こす可能性があります」、と同氏は21日、AFP通信に語っています。

また、アメリカやヨーロッパでは、トコジラミの侵入を防ぎ、蔓延を抑えるために長期的な対策として使用されているが、迅速な害虫駆除が重要な韓国の現状には当てはまらないと付け加えました。

南東部の町、烏山（オサン）の自治体も同様に、11月14日のブログ記事（アーカイブリンク）で、珪藻土の粒子を吸い込むと肺に傷がつくと警告しています。

「決してこのような（誤った）情報には従わないで下さい」、と韓国疾病予防管理公団（KDCP）が推奨するトコジラミの予防対策を含む適切な害虫駆除を紹介したブログ記事です。

KDCPのガイドラインによりますと、珪藻土はトコジラミ駆除の適切な方法ではありません（アーカイブリンクはこちらとこちら）。

熱と殺虫剤

代わりにKDCPは、スチーマーで壁や家具の隙間に熱を加える、掃除機で除去する、被害を受けた布地を乾燥機にかける、政府認定の殺虫剤を使用するといった、化学的・物理的な駆除方法を組み合わせることを推奨しています。

殺虫剤を使用する際は、特に屋内では保護具を着用し、衣服、マットレス、枕など身体に直接触れるものへの使用は避けるべきとしています。

燻蒸や霧吹きは、トコジラミが他の場所に移動してしまう可能性が高いため、推奨されていません。

自宅でトコジラミを発見したら、まず掃除機をかけ、次にピレトリンという植物性の殺虫剤を、掃除機のフィルターに溜まった虫に直接数秒間スプレーするのがベストだとヤン氏は述べています（アーカイブリンク）。

これは密封して捨てなければなりません。被害を受けた布地は60度以上のお湯で洗濯する必要があるとのことです。

「或いは、スチーマーで5秒以上高温の蒸気をトコジラミの発生している場所に当てて下さい」、「掃除機やスチーマーが届かない狭い場所には、細長いスプレーノズルでピレトリンスプレーを噴霧しましょう」、と彼は付け加えました。