Cleveland Clinic勤務者に関するプレプリント研究は、ワクチン接種がCOVID-19感染のリスクを増加させることを証明するものではありません。
COVID-19ワクチンを接種する毎に、COVID-19ウイルスに感染する確率は高くなるのですか?いいえ、そんなことはありません:2022年12月19日に投稿されたプレプリント(査読なし)研究のデータは、「以前に受けたワクチンの回数が多いほど、COVID-19に感染するリスクが高い」ことを示唆していますが、Lead Storiesが接触した医学専門家は、そのような結論に至ることに疑問を投げかけています。例えば、同様の結果を示した以前の研究では、著者は、データが新型インフルエンザから身を守るための最新のブースターの必要性を示しているのであって、ワクチンが感染を増やすということではないと述べていました。
この主張は、2023年1月5日に公開されたBitChute上の動画(アーカイブはこちら)に、"DR. JOHN CAMPBELL - more vaccinated got more infections. "というタイトルで公開された動画に登場しました。その中で紹介されているのは、Cleveland Clinicという22の病院が自社の職員に対して行なった調査から得られた情報です。動画の説明には以下のように書かれています:
執筆時のBitChuteでの動画は以下のような感じでした:
2023年1月5日、Lead Storiesへの電子メールで、Cleveland Clinicの広報・メディア担当ディレクター、Andrea Pacetti氏は、引用されたデータが「プレプリントの通り正しい」ことを確約しています。しかしながら、Pacettiは以下のように付け加えました:
John Campbell
Campbellは、チャンネル登録者数が260万人を超えるYouTubeの人気司会者です。Campbellは医師ではなく、救急部を退職した看護師です。 彼のYouTubeチャンネルの概要欄によりますと、彼の博士号は、「国内外の看護師のためのオープンラーニングリソースの開発に焦点を当てたもの」だそうです。2007年にチャンネルを開設して以来、様々な医療トピックに関する数千の動画を投稿していますが、パンデミックの開始以来、主にCOVID-19に焦点を当て、イベルメクチン等の実証されていない治療法を宣伝し、犠牲者の数を最小限に抑える誤解を招く死亡統計の拡散、ワクチンの安全性に関するデータの誤読を行なっています。
CampbellのYouTubeチャンネルの概要ページ(アーカイブはこちら)には、以下のような免責事項が記載されています:
YouTubeに投稿されたCampbellの研究についてのオリジナル動画は削除されましたが、インターネットサイトのデジタルライブラリーであるInternet Archiveでは、まだ見ることが出来ます。CampbellはTwitterで、動画を削除したと述べましたが、その理由については説明しませんでした。彼は、それが他の場所で見つかるかもしれないと言いました。以下は彼の投稿です:
研究内容
Cleveland Clinicの研究はプレプリントと呼ばれ、査読を受ける前に公開される研究論文の全草案です。査読後、大幅な編集が加えられる可能性があります。
Pacetti氏によりますと、この後ろ向き研究の主な目的は、2022年9月から2022年12月の3カ月間に実施された、約5万人の医療従事者のグループにおける二価COVID-19ブースターワクチンの有効性を検証することでした。本調査では、観察されたCOVID-19症例に基づき、二価ワクチンのCOVID-19への感染予防効果は約30%であることを明らかにしました。なお、この研究では、重症化や入院を防ぐためのワクチンの効果については検証しておりません。
Lead Storiesへのメールの中で、Pacetti氏は以下のように付け加えました:
Pacetti氏は、Campbell氏が動画で強調した研究の結論の1つを認めました。彼女は、「それは......個人が以前に受けたワクチンの投与回数が多い程、COVID-19に感染するリスクが高いこと様に見えることです」と述べました。
しかしながら、2023年1月6日、Lead Storiesへの電子メールで、ネブラスカ大学医療センター感染症部門のJames Lawler博士は、この研究のデータは、間違って解釈されていると述べています:
言い換えれば、この研究は因果関係(ワクチン接種を受けると感染しやすくなる)を証明するものではありません。単に、感染することになった人々はワクチンを接種していた人々であったという相関関係を立証しているに過ぎないのです。この研究は、リアルタイムの並行検査を伴わない後ろ向きの研究であるため、ワクチン接種によって病院職員が感染しにくくなったことを示すデータかもしれませんが、病院職員は病人のそばで働いているので、特にブレイクスルー感染が起こりやすく、ワクチンがまだ再製されていないウイルスの亜種に曝される可能性があるのです。
COVID-19のPCR検査は、上気道のサンプルを分析し、病気の原因となるウイルスの遺伝物質を探す分子生物学的検査です。
回答の後半で、Lawler氏は次のように指摘しました:
後ろ向き研究は、事後的に考え出されるものです。事前に計画されたものではありません。この場合、研究者は過去に遡って、医学的結果を分析することになるのです。Lawler氏によりますと、2022年後半にCOVID-19に感染した人々の大半は、一度も検査を受けていないとのことです。
2023年1月6日付の別の電子メールで、ノースウェスタン大学・病原体ゲノム/微生物進化研究センター・Robert J. Havey, MD グローバルヘルス研究所 のディレクターであるEgon A. Ozer博士は、この研究は点と点が繋がっていない、と述べています:
Ozer氏は、査読者が査読プロセスを経る中で、プレプリントの著者に更なる明確化を求めることを期待していると述べています。
COVID-19ワクチン接種に関する主張のLead Storiesによるファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。