テキサスにおける魚の死骸を撮影した動画が、福島の処理水放出によるものと捏造されています。
中国語のSNSでは、浜辺に浮かんだ魚の死骸を映した映像が繰り返しシェアされ、事故を起こした日本の福島原子力発電所から放出された処理水が原因だと虚偽の報告がなされています。この映像は、2023年8月に原発から初めて処理水が放出される数ヶ月前に、アメリカ・テキサス州の海岸に打ち上げられた酸素不足で死んだ数千匹の魚についての報道で拡散されたものです。
2023年7月25日、短編動画プラットフォームDouyinにアップロードされた映像の中国語キャプションには、「海辺で大量に死んだ魚は日本の原発廃水放出の結果だ」と書かれています。
大量の魚の死骸が海に浮かんでいる様子が映し出されています。

この投稿は、2011年の津波で壊滅的な被害を受けた福島原子力発電所から放出される予定だった処理水が、国際原子力機関(IAEA)によって世界基準を満たしていると承認された後に拡散されました。
処理水放出の第一弾は8月24日から9月11日までで、第二弾は10月5日から放出される予定となっています。
日本政府は処理水は安全だと主張していますが、中国はそれ以来、日本が海を「下水道」のように扱っていると非難し、隣国からの全ての水産物の輸入を禁止しています。
日本の動きは、中国と隣国の韓国で誤った情報の波を巻き起こしました。
魚の死骸の動画を使った投稿は、この事件と福島原発を関連づける同様のデマと共に、Weiboや Douyin、そしてXのこちらの呟き(旧Twitter)といったSNS上で9月までシェアされ続けました。
テキサスの「魚の死骸」
Googleで逆画像検索とキーワード検索を組み合わせたところ、この映像は6月9日に投稿されたFacebookの動画(アーカイブリンク)と一致することが判明しました。
投稿場所はテキサス州フリーポートでした。
キャプションによると、ビデオは6月9日の朝に撮影されたもので、次のように書かれています:
「日の出は素晴らしかった!酸素が欠乏した水の余波はそうでもなかった!」
「Brazos川の河口からBryanとQuintana Beachの東に向かう数キロの海岸線全体に、何千匹もの魚の死骸が広がっています」
以下は、虚偽の投稿で共有された映像(左)とFacebookの映像(右)のスクリーンショット比較です:

CBS News、NBC、USA Today(アーカイブリンクはこちら、こちら、こちら)といった複数のアメリカの報道機関がこの事故について報道し、対応する映像や画像を共有しました。
CBS Newsは、6月9日と10日に数千匹の死んだ魚がテキサス湾岸に打ち上げられたと報じています。
Quintana Beach郡立公園のFacebookへの投稿によりますと、生物学者は水中の低酸素レベルが原因であると判断しました(アーカイブリンク)。
声明は以下の通り:
調査した結果、魚の死は低溶存酸素が原因であることが判明しました。
化学物質が放出されたという事実はありませんので、 そのような説は一掃し、誤った情報を拡散しないで下さい。
AFPは、こちら、こちら、こちら、こちら、こちらを含む、福島原発からの処理水放出に関する他のデマを論破してきました。