日本のワクチン接種事情に対して(オーストラリアで流布されている)間違いだらけの風説に対する最良の薬は事実を突きつけることです。
【主張】
日本では2歳未満の子供にワクチンを接種しない。
【簡易評定】
#誤り です。日本の子どもは2カ月から予防接種を受けており、日本は常に高い接種率を誇っています。
【レビュー】
日本では2歳以下の子供は予防接種を受けていないとする風説が(オーストラリアの)ソーシャルメディア上でシェアされています。
この風説は、Facebookの投稿(スクリーンショットはこちら)に見られるもので、テキストと重なってハイハイする乳児が描かれています。:「日本は乳幼児の死亡率が最も低い。2歳未満で予防接種を受ける赤ちゃんはいない。アメリカは乳幼児死亡率が最も高く、2歳までに28回ワクチンを接種している!」
2022年3月と4月に、オーストラリアのこちらやこちらのようなFacebookページと同様にInstagramでもシェアされています。
しかしながら、この主張は #誤り です。日本の親は、生後2カ月から乳児に様々な重篤な病気のワクチンを接種するよう奨励されており、入手可能なデータでは接種率が90%を遥かに超えています。
日本では1994年以降、予防接種は義務化されていませんが、予防接種法の英訳では、麻疹、破傷風、ポリオ等10以上のA級疾病に対する定期接種を受けるよう「努めなければならない」とされています。
厚生労働省の資料によりますと、2歳未満の子供はジフテリア、百日咳、ポリオ、はしか、風疹、日本脳炎、破傷風、結核の予防接種を受けることが義務付けられています。
国立感染症研究所が発表した定期接種のスケジュールでは、生後2カ月から接種を開始するとされています。
ジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合ワクチンは、生後12カ月までの乳児に3回接種します。
B型肝炎ウイルスワクチンは生後2カ月から接種を開始し、3カ月と7カ月に2回目と3回目の接種を行います。結核ワクチンは、生後7カ月頃に接種します。
また、日本小児科学会では、2歳以下の子供達に多くのワクチンを推奨しています。
WHOのデータによりますと、2020年には日本の1歳児の96%がジフテリア、破傷風、百日咳の予防接種を受けたとされています。麻疹ワクチンについては、入手可能な最新データ(2018年)では、1歳児の97%が接種を受けていることが分かりました。
公衆衛生専門家でシドニー大学教授、国立予防接種研究・監視センター客員研究員のJulie Leask氏は、AAP FactCheckに対し、風説の主張は《完全に誤り》だとメールで回答してくれました。
Leask教授は、多くの #反ワクチン 主張と同様に、「ある種のワクチンに関して歴史的真実の断片がある」と述べました。
全脳型百日咳ワクチンは、接種後24時間以内に2人の子供が死亡したことを受けて、1970年代に日本で一時的に中止されました。2ヵ月後に再開されましたが、接種の一次コースは3ヵ月からではなく、2歳からに変更されました。
Leask教授は、政府が推奨する定期接種のスケジュールは、「乳児へのワクチン接種が2カ月から始まることを明確に示している」と述べました。
また、この風説は、日本の乳幼児死亡率が最も低いと誤って主張してます。OECD加盟国の中で、日本は出生1000人あたりの死亡数が1.9人で3番目に低い国です。最も低いのはアイスランドで1000人当たりの死亡数は1.1人、次いでエストニアが1.6人です。
米国では、CDCが2歳未満の子供に約38回のワクチン接種を推奨しているが、風説にあるような乳幼児死亡率が最も高い国ではありません。
OECD諸国と比較すると、米国は乳幼児死亡率が11番目に高く、出生1000人あたり5.7人が死亡しています。OECDがリストアップしている44カ国の中で最も高いのはインドで、1000人当たりの死亡者数は28.3人です。
日本の子供達が世界で最も健康なのは、ワクチン接種を義務付けていないからだという同様の主張は、以前にも論破されたことがあります。
【詳細な評定】#大嘘 :この主張は不正確です。
日本では2歳未満の子供に予防接種を受けさせないという風説は #誤り です。日本政府の資料によりますと、破傷風、ジフテリア、ポリオ等の病気に対する任意接種は生後2カ月から始まり、ワクチンプログラムへの参加率も高いことが示されています。