【あたおか】 地球が球体であることは、ハリウッドが導入した概念ではなく、古代ギリシャ人が記録に残していたものです。

1960年代にNASAが宇宙から地球を撮影する前に、ユニバーサル・スタジオが1927年に初めて地球儀としての世界の概念を導入したのでしょうか?いいえ、それはいくつかの点で間違っています: 地球が丸いことを発見するのに、NASAの宇宙計画が必要だったのではありません。ギリシアの哲学者達は、紀元前5世紀には既に地球を球体として描写していました。地球儀の最古の模型は、不正確ではありますが、1492年にドイツの航海士Martin Behaim氏によって作られました。宇宙から見た地球の湾曲の最も古い写真は、1947年にアメリカ海軍が無人のV-2ロケットから撮影したものです。ユニバーサルのロゴは長年にわたって何度も変更されてきましたが、今日に至るまで、様式化された地球儀は、宇宙から見えるはずの自然の雲に覆われることなく描かれています。

この主張は、2024年6月10日にGreen VibezというページがFacebook上にした投稿(アーカイブはこちら)で再浮上しました。投稿には次のようなキャプションが付けられていました:

誰か説明して

Green Vibez - Can someone please explain this please | Facebook

この投稿は、記事執筆時点ではFacebook上で以下のように表示されていました:

(出典: 2024/06/24 金曜日 15:44:50 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

動画のキャプションには以下のように書かれています:

地球儀はハリウッドでCGによって作成され、月面着陸はエリア51で撮影された。

Green Vibez - Can someone please explain this please | Facebook

現在は削除されているこの陰謀論動画で話している女性の声は、@johnny.harrisのステッチに見られるように、TikTokのクリエイター@karlaelliott82です。彼女は次のように問いかけています:

約40年後、NASAを通じて1960年代まで世界の最初の写真が入手可能ではなかったのに、1927年にユニバーサル・スタジオがどうやってこの世界の写真を思いついたのか、誰か教えてくれる?

Green Vibez - Can someone please explain this please | Facebook

このファクト・チェックの範囲は、1969年の月面着陸やエリア51(米軍施設)に関するキャプションにまで及ぶものではありません。このフラット・アース(地球が平らである)という図式の亜種は、何年も前から出回ってきています。下の写真は、2018年(左)と2020年(右)の例です。下のロゴの例では、明らかに縮尺が合っていない飛行機の図形が地球を一周しています。飛行機と地球儀が一緒に回転するこのロゴは、歴代のユニバーサルロゴをまとめたYouTubeのまとめ動画で、0秒から5秒のところで動いているのを見ることが出来ます。Green Vibezが投稿した動画(上の写真)は、おもちゃのような模型飛行機が映らないようにトリミングされていました。

(出典:2024/06/14 金曜日 21:17:49 2024 UTCに取得されたFacebookとifunny.comとのスクリーンショットをLead Storiesが合成した画像)

球体または楕円球体としての地球

紀元前5世紀、古代ギリシアの天文学者達は、月食の時に月に落ちる影の形状等の観察に基づき、地球が球体であるという理論を発展させていました。紀元前240年までには、エラトステネスが夏至の間に地球の周囲を推定していましたニコラウス・コペルニクスの「地球と惑星は太陽の周りを回っている」という理論が発表されたのは、彼が亡くなった1543年のことでした。

1492年のMartin BehaimのErdapfel

下の画像は、ドイツの航海士Martin Behaimによって作られた、現存する最古の地球儀です。ニュルンベルクのドイツ国立博物館のカタログにあるこの地球儀の説明には、不正確な点がいくつか記載されています:

ここで彼は、1492年にニュルンベルク市議会から依頼された地球儀の製作プロジェクトの発起人となりました。1492年と言えば、コロンブスが初めて新大陸の海岸に降り立ったのと同じ年です。そのため、地球儀にはアメリカが描かれていません。地球儀の地図は、ストラボ、プリニウス、プトレマイオス、マルコ・ポーロといったそれ以前の資料に頼ることがよくあります。Behaimの貢献は、ポルトガルの最新海図によるアフリカ西岸のより正確な描写です。しかしながら、当時の権威者達は地球の周囲を過小評価していたため、地球儀に描かれた既知の世界は結局小さくなってしまいました。

Erdglobus, sogenannter Behaim-Globus (WI1826) | Objektkatalog (gnm.de)
(出典:Martin Behaim "Erdapfel" Wikimedia Creative Commons download)

宇宙から見た地球の写真

Lead Storiesは2022年11月3日、宇宙から地球を撮影した画像は全てコンピューターで作成されたものであるという誤った主張に関するファクトチェックを発表しました。この記事では、宇宙から地球を撮影した初期の写真の例をいくつか紹介しています。特に、アメリカ海軍のV-2ロケット発射による1946年と1947年の画像(下の写真)が有名です。より広範なコレクションである「宇宙から見た地球の最初の画像の年表」は、ウィキペディアにカタログ化されています

(出典:Wikimedia Commons 1946 年 10 月 24 日に発射された V-2 #13、及び、1947 年 3 月 7 日に発射された V-2 #21 の地球画像。ホワイトサンズ・ミサイル発射場/海軍研究所)

ユニバーサル・ピクチャーズのアニメーション・ロゴは、地球が球体であるという考えを一般大衆に紹介したのでもなければ、1960年代のNASAプログラムが宇宙からの地球の映像を記録した最初でもありません。地球儀は、映画の時代よりずっと以前から博物館のコレクションや家庭を飾ってきました。

完全な球形ではありませんが、地球は平坦な形をしているわけでもありません。

このファクト・チェックが書かれた時点で、ロイター通信も同じ主張を検証していました。

フラット・アース理論に関連する主張に関するその他のLead Storiesのファクト・チェックは、こちらでご覧頂けます。1969年の月面着陸とエリア51に関する主張に関するその他のファクト・チェックはこちらこちらです。

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