COVID-19ワクチンが「線維性肺血栓」を引き起こすというJane Rubyの主張には証拠がありません。
#デマ吐き反ワクチン 界のアンミカ久しぶりだなwww。
【主張概要】
COVID-19ワクチンは肺に線維性凝固を引き起こす。
【評定概要】
裏付け不足
【評定詳細】
不十分な裏付けです。
肺の中の「繊維状の塊」がCOVID-19ワクチンのせいであるというRubyの主張は、出所不明の写真を使った検証されていない逸話のみに基づいています。
気道の鋳型のようなゼラチン状の塊は、可塑性気管支炎と呼ばれる病態によって引き起こされます。
この病状は、Jane Rubyの主張とは逆に、COVID-19ワクチン以前から既に説明されていました。
COVID-19ワクチンは可塑性気管支炎を引き起こすとは報告されていません。
【要点】
可塑性気管支炎と呼ばれる稀な病状は、気道にゼラチン状の塊が形成されることがあります。
これらの塊は気管支ギプスと呼ばれ、肺の気道の形状を再現することがあります。
1800年代に確認された可塑性気管支炎は、感染や肺へのリンパ液の漏れなど、いくつかの原因によって引き起こされる可能性があります。
この症状は1800年代に既に確認されており、COVID-19ワクチンが可塑性気管支炎を引き起こすことを示す科学的根拠はありません。
【主張全文】
COVID-19ワクチンは、これまでにない「線維性血栓」を肺に引き起こす。
COVID-19ワクチンには「自己組織化ナノ粒子」が存在する。
【レビュー】
2022年4月27日、Dr. Jane Ruby Showが公開した、肺に「繊維状の塊」が出来るのはCOVID-19ワクチンのせいだとする動画がSNSで拡散されました。ビデオの中でRubyは、気道の鋳型のような白いゼラチン状の塊の画像を示しました。Rubyは、この画像は看護師から送られてきたもので、このゼラチン状の塊はICUにいる32歳の患者が咳き込んだもので、その患者はCOVID-19ワクチンを2回接種しており、それ以外は健康であると説明されたと主張しました。Rubyは、この病状は以前には見られなかったと主張した。
Rubyは、この写真の出所や患者に関する主張の信憑性を確認するための情報を提供しませんでした。しかし、Rubyのビデオに映し出されたものに似た肺のゼラチン状の塊は、COVID-19ワクチンが開発される遥か以前から説明されていました。そのような病気についての言及は、1861年にまで遡ります[1]。これらは、喘息、結核、嚢胞性線維症、関節リウマチ等、様々な原因が考えられる可塑性気管支炎と呼ばれる稀な病状によって引き起こされます[2]。また、可塑性気管支炎の原因の一つに、リンパ液が肺に漏れ出すことがあり、これをリンパ性可塑性気管支炎と言います[3]。
リンパ性可塑性気管支炎は、蓄積したリンパ液がゼラチン状の粘性を帯びた、大きく高度に枝分かれした気管支の鋳型を形成することが特徴です[3]。一方、リンパ系以外の原因の場合は、通常、より小さく単純な構造が形成されます。可塑性気管支炎では、呼吸困難や咳が出るため、時に気管支ギプスを吐き出すことがあります。
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左:可塑性気管支炎による気管支ギプス(写真提供Penn Medicine社)
Rubyの動画に写っているゼラチン状の塊(右)は、可塑性気管支炎による気管支ギプス(左)と非常によく似ているように見えます。このような大きく、高度に枝分かれしたギプスは、通常、リンパ液が肺に漏れることで形成されます。左の写真はPenn Medicine社より提供されたものです。
Rubyは、このゼラチン状の塊はCOVID-19ワクチンによるものだと主張し、このワクチンには「自己組織化ナノ粒子」が含まれていると述べました。以前のHealth Feedbackのレビューで説明しましたように、COVID-19ワクチンが自己複製物質を含んでいるという証拠はありません。気管支の鋳型を形成する物質は、ムチンやフィブリンのような様々なタンパク質、更には可塑性気管支炎の原因によって異なる種類の白血球から構成されています[4]。
RubyがCOVID-19ワクチンに危険な物質が含まれていると虚偽の主張をしたのは、これが初めてではありません。ビデオの中で、Rubyはまた、病気の無症候性感染はない(これは以前のHealth Feedbackレビューで取り上げられました)、或いは幼い子供は100%の確率で回復するという主張(これは他のHealth Feedbackレビューで取り上げられました)等COVID-19に関するいくつかの否定された主張を繰り返しています。Rubyはまた、COVID-19ワクチンが死体の肺で見つかった血栓の原因であると主張しましたが、Poynterが説明しましたように、この主張は科学的証拠によって立証されたものではありません。
結論として、肺の中の「繊維状の血栓」がCOVID-19ワクチンのせいだというRubyの主張は、出所不明の写真を使った検証されていない逸話だけに基づいています。COVID-19ワクチンがこれらの「線維性凝血」を引き起こすという主張を支持する科学的証拠はありません。このような症状はCOVID-19ワクチン以前には聞いたことがないという彼女の主張は不正確です。1800年代に既に確認されていた可塑性気管支炎は、気管支ギプスという類似した外観のゼラチン状の塊を生成することがあります。気管支炎は、感染症やリンパ液の肺への漏れなど、様々な原因によって引き起こされます。現在までのところ、COVID-19ワクチンと関連したこの稀な症状の報告例はありません。
参考文献
1 – Douglas (1868) Case of Plastic Bronchitis, with “Quasi” Diphtheritic Exudation. Edinburgh Medical Journal.
2 – Jett et al. (1991) Plastic Bronchitis: An Old Disease Revisited. Mayo Clinic Proceedings.
3 – Itkin et al. (2016) Diagnosis and Treatment of Lymphatic Plastic Bronchitis in Adults Using Advanced Lymphatic Imaging and Percutaneous Embolization. Annals of the American Thoracic Society.
4 – Madsen et al. (2005) Plastic bronchitis: new insights and a classification scheme. Paediatric Respiratory Reviews.