【悪質】AmazonのAlexaが2023年11月に第三次世界大戦が始まると予言したのでしょうか？ーロシアがドイツを攻撃することで開戦を予言したとされる音声アシスタントの喧伝デマ動画が公開されました。
【主張】
AmazonのAlexaが、2023年11月23日にロシアによるドイツへの攻撃で第三次世界大戦が始まると予言した。
【評定】大嘘です。
【レビュー】
Amazonの音声アシスタントであるAlexaには多くの便利な機能がありますが、将来の戦争について予言することはその機能の1つではありません。それにも関わらず、2023年2月、Alexaが第三次世界大戦の開戦を予言したとする動画が話題になりました。
動画では、画面の外で誰かが 「Alexa, いつから第三次世界大戦が始まるの？」と尋ねています。 それに対してこのガジェットは、「第三次世界大戦は、2023年11月23日の午後6時5分に、ロシアがドイツに対して攻撃を開始します」と言うことになっています。
これは、デバイスからの実際の予測ではありませんでした； Alexaはこのような質問に具体的に答えることはありません。この動画はTikTokから発信されたもので、Alexaの質問に対する偽の回答を投稿することで知られるアカウントから発信されたものと思われます。
上記の動画は、TikTokのユーザー@iamnoahbrendanをクレジットしています。このアカウントは2021年11月にこのクリップを投稿し、動画の音声、つまり「オリジナルサウンド」の制作者として、別のアカウントである@jonbuckhouseを指名しています。
この記事を書いている時点では、@iamnoahbrendanのアカウントで動画が公開されていました。しかしながら、我々が@jonbuckhouseのアカウントにアクセスしたところ、Alexaが第三次世界大戦を予言したと思われる映像はもうそこにはありませんでした。両アカウントに問い合わせたところ、返答があればこの記事を更新するとのことです。
メタデータを引用して、@jonbuckhouseがこの映像のソースであるとNewsweekでは結論付けています。このTikTokアカウントは、過去にもSnopesのファクトチェックを受けており、特にAlexaが2025年にマイアミがハリケーンで「破壊」されると予言しているとされる動画が話題になっています。同様に、2020年のこの動画（＝アクセス出来なくなっています）では、Alexaは「今日、ドナルド・トランプ大統領が世界の他の国々に宣戦布告した」と述べたとされていました。それは正確な発言ではありませんでした：
@jonbuckhouse Reply to @antwash07 #fyp
♬ original sound - Jon Buckhouse
2021年3月にYouTubeで公開された、@jonbuckhouseがAlexaに事象の予測を依頼する動画のまとめでは、8分13秒のところで、第三次世界大戦に関する同じ問答が取り上げられています。
NewsweekはAmazonの担当者にも問い合わせたところ、戦争予知の疑いについて、「これはAlexaの回答ではなく、この動画を再現することは出来ていません」と述べています。
広報担当者は、この質問に対するAlexaの回答は、「第三次世界大戦は起きていませんし、将来そのような戦争が起きるかどうかを予測することは不可能です。第一次世界大戦は1914年から1918年まで、第二次世界大戦は1939年から1945年まで発生しました」であったと付け加えています。
我々がAlexaに質問したところ、広報担当者が言った通りの答えが返ってきました。
世界的な紛争の勃発を正確に予測することは不可能であり、人類とその技術が予測し得るのは、国家間の緊張に基づく世界大戦の可能性だけです。プーチン大統領が、第二次世界大戦中のスターリングラードの戦い（ナチス・ドイツによるスターリングラード攻略の失敗）をウクライナ戦争に関連付ける演説を行なったわずか数日後に、第三次世界大戦予言とされる動画が出回りました。ロシアとウクライナの紛争について議論する際、世界の指導者やアナリストは第三次世界大戦の可能性を示唆しています。
Alexaの偽の応答を投稿するTikTokアカウントに関する過去の報道では、「Alexaにこのような質問をすると、デバイスは総じてオンライン検索（Alexaの検索エンジンはBingを搭載）して答えを探します」と指摘しました。
我々はまた、人々が2018年に導入されたツールである 《Alexa Blueprints》を使用して、特定のプロンプトに対するカスタマイズ可能な回答を生成することが可能であることを指摘しました。このように、我々は、Alexaが特定の質問、例えば「第三次世界大戦はいつ始まるのか」にユーザーが作成した答えで応答するようにプログラムすることが可能であることを知っています。Amazonのガイドラインでは、人が作成可能な種類の質問と回答の例を挙げて、その方法を説明しています：
「Alexa, 最高の母親は誰？」
Alexa：歴史上の全てのお母さんを比較したんだけど、結論は、あなたのお母さんが一番よ。
「Alexa, 世界で一番いい街は何処？」
Alexa： 故郷のシアトル・ワシントンはかなり気に入っているね。
これらの回答は、そのような発言をするようにプログラムされた個々のAlexaデバイスによってのみ使用され、Alexa音声アシスタントの全てに適用されるわけではありません。
以前、「Amazonの音声アシスタントは、長年にわたっていくつかのスキルを開発してきましたが、未来を予知する方法はまだ習得していません。しかしながら、カスタマイズされた応答を渡す方法は学んでいます」と書きました。
これは現在も変わりません。従いまして、この主張は「誤り」であると評価します。
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