脳動脈瘤はCOVID-19 mRNAワクチンの副作用として「よくある」ものではありません。

【主張】

  • 脳動脈瘤は、「若年層によく見られる深刻なCOVID-19 mRNAワクチン被害」である。

【お時間の無い方の為の概要説明】

  • COVID-19 mRNAワクチンが脳動脈瘤を引き起こすというエビデンスはありません。

  • 脳動脈瘤の危険因子には、特定の遺伝性疾患、未治療の高血圧、喫煙、薬物乱用等があります。

【レビュー】

オスカー俳優Jamie Foxx氏の娘であるCorinne Foxx氏は、4月12日、父親が「医療上の合併症」に見舞われ、回復していることを明らかにしました。

追加の詳細がないため、インターネットではしばしば見られるようなことが起こりました: その中には、Foxx氏の病状がワクチン接種の有無と関連しているとの噂もありました。

4月23日のInstagramの投稿にあるスライドには、「若年層で深刻かつ一般的なCOVID-19 mRNAワクチンによる傷害として脳動脈瘤がある」と書かれています。「俳優のJamie Foxxを含む14の悲劇的なケースである。初期の報告によれば、Jamie Foxxは脳動脈瘤&出血を起こしたようだ。彼はCOVID-19を接種していた」

この投稿は、Metaがニュースフィード上の偽ニュースや誤報に対抗するための取り組みの一環としてフラグを立てられました。(FacebookとInstagramを所有するMeta社とのパートナーシップについてはこちらをご覧下さい)

Media Take Outは、匿名の情報源を引用して、 Foxx氏(55歳)が 「脳溢血」を起こしたと報じました。しかしながら、Foxx氏に近い人物は、この俳優が動脈瘤(動脈瘤の破裂を脳出血と呼ぶこともある)であったかどうかを公には認めてはいません。

また、Foxx氏がCOVID-19の予防接種を受けていたかどうかも不明です。Daily Mailによりますと、彼が2021年に携わっていた映画では、全キャストがワクチンを接種していたにも関わらず、数人のキャストがCOVID-19に感染したため、一時的に制作が中止されました。

しかしながら、Foxx氏は発生当時、まだ撮影に参加するキャストに加わっていませんでした。彼のワクチン接種の状況について、ニュース記事やソーシャルメディアの投稿に追加情報は見つかりませんでした。

いずれにせよ、動脈瘤がmRNAワクチンと関連していると示唆する投稿は間違っています。

4月23日、《Entertainment Tonight》は、Foxx氏の友人であるテレビタレントのNick Cannon氏が、Foxx氏は意識を取り戻し、覚醒していると述べたと報じました。Cannon氏はこの記事の中で、ワクチンについて何も語っていません。

国立神経障害・脳卒中研究所は、脳動脈瘤または脳瘤を「脳の動脈の弱い部分や 薄い部分が風船状に膨らみ、血液で満たされる」と定義しており、神経や脳組織を圧迫することがあります。

動脈瘤が破裂・崩壊すると、出血して血液が周囲の組織に流出することになります。研究所によりますと、動脈瘤が破裂すると、出血性脳卒中、脳障害、昏睡、死亡といった深刻な健康障害を引き起こす可能性があるということです。

動脈瘤を発症する危険因子としては、遺伝性疾患、未治療の高血圧、喫煙、薬物乱用、頭部外傷、脳腫瘍、動脈壁への感染等が挙げられます。脳動脈瘤の発症リスクは、40歳を過ぎると高くなります。

カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の名誉教授であるJohn Swartzberg氏は、「mRNA COVID-19ワクチンが脳動脈瘤を引き起こすという十分な証拠はありません」と、PolitiFactに語っています。「それに反する主張は、健全な科学や推論に基づくものではありません」

CDCは、どの年齢層においても、COVID-19接種後の一般的な副作用として脳動脈瘤を挙げていません。

我々は、mRNAのCOVID-19ワクチンを接種してから3日以内に頭蓋内動脈瘤が破裂した日本の女性3人の事例を報告した2022年3月の研究を見つけました。しかしながら、この研究ではワクチンが原因とは結論付けられておらず、著者らはCOVID-19ワクチン接種の利点はいかなるリスクも上回ると述べています。

このInstagramの投稿の文章は、COVID-19ワクチンについて誤った情報を流したカナダの医師、William Makisによる4月21日のSubstackの記事から引用したものと思われます。

我々はこの主張を誤りであると評価します。


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