改竄された画像は、日本の火葬場での段ボール棺を写したものではありません。
基記事はこちら。
日本の段ボール製棺が描かれているというデマと共に、改竄された画像がSNS上で拡散されていました。オリジナルの画像はアメリカで撮影されたものですが、それを反転させ、棺に日本語の文字を書き加えたものです。この投稿は隣国の韓国でも拡散され、ユーザーからは「死者を丁重に火葬する方法なのか」との疑問の声が上がりました。
「日本の労働者階級は、高価な木製の棺の代わりに、すぐに高温で火葬される段ボール棺を使用する」と、20日にFacebook上でシェアされた画像には、韓国語の文字が重ねられて書かれていました。
この投稿には、段ボール製の棺を火葬場に押し込む男性の写真が掲載されており、岸田文雄首相の名前が日本語で書かれていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1724702778883-hXByhrgHny.png?width=1200)
同じ画像はFacebook、TikTok、韓国のオンラインフォーラムRuliwebやJongtoでも拡散されています。
韓国のいくつかのニュースメディアも、こちらや、こちら、こちらといった同様の主張と共にこの画像を掲載しました。
この主張を信じるユーザーもいたようです。
「地震のような大きな災害が発生した際に使われるものだ。日本では段ボールは人気があり、仕切りや遊び場、ベッド等に使われているので、反対は少ない。実用的かもしれないが、故人への敬意に欠けるように思える」と、あるユーザーは書いています。
「段ボールの国として認められるにはこれで十分だ」と別の人は言っています。
しかしながら、この画像は改竄されており、日本で撮影されたものではありませんでした。
カリフォルニアの火葬場
Googleで逆画像検索をした結果、この画像は2023年12月27日に投稿されたYouTubeの動画(アーカイブリンク)から引用されたものであることが判明しました。
この映像は、Augie Inciong氏というユーザーのYouTubeアカウントがアップロードしたものでした。
Inciong氏はAFP通信に対し、動画はカリフォルニア州グレンデールで撮影されたものと語っています。
「この写真は私の動画から撮ったものです。水平に反転され、文字が追加さ れています。これは日本で撮影されたものではありません。アメリカのカリフォルニアで撮影されました」と彼は20日に語っています。
「それは私の父の火葬でした」と彼は付け加えています。
以下は、改竄された画像(左)とYouTube動画の対応するショット(右)のスクリーンショット比較です:
![](https://assets.st-note.com/img/1724704284957-UNU0HihHAS.png?width=1200)
棺の左の開口部には《CONTAINER MEETS CALIFORNIA AB 598 REQUIREMENTS SECTION 7006.5》と書かれていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1724704554044-pxYDZ2ahDm.png)
この(記入)要件は、カリフォルニア州の葬儀サービスと火葬場に関する規制に関連しています(アーカイブリンク)。
カリフォルニア州議会法案598の7006.5項では、「火葬用容器」を「火葬のために火葬室に挿入する前に故人の遺体を入れる、体液が漏れにくい可燃性の密閉容器」と定義しています。
棺に日本語の文字は一切見当たりません。
日本の段ボール棺
段ボール製の棺は、伝統的な木製の棺に代わる持続可能な棺として日本で使用されていますが、布製のカバーが付いているものもあり、下の段ボールを識別するのは困難です。
朝日新聞の2007年の記事によりますと、この段ボール棺は1990年代にアメリカから日本に輸入されました(アーカイブリンク)。
盛岡経済新聞のウェブサイトに掲載された2007年の記事によりますと、段ボール製の棺は、従来の広葉樹製の棺に必要な木材パルプのおよそ3分の2を使用し、火葬に必要なエネルギーは半分で、二酸化炭素の発生量も少ないということです(アーカイブリンク)。
日本では段ボール棺の需要が徐々に高まっているものの、2008年のTimeの記事(アーカイブリンク)によりますと、全ての人がこの傾向に熱心というわけではありません。