Appleのロゴは、毒入り林檎によって死亡した可能性のある発明家Alan Turing氏への哀悼の意を示した物ではありません。
アップルのロゴは、理論的な研究がコンピュータにつながり、毒入りかもしれない林檎を食べて自殺したAlan Turing氏に敬意を表してのことなのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。Appleの共同創業者であるSteve Jobs氏は、「それは真実ではありませんが、神はそれが真実であることを望みます!」と否定しています。このロゴのデザイナーは2009年にインタビューに答え、そこでもTuring氏がこのロゴのインスピレーションであることを否定しています。Turing氏の死の詳細についても、毒林檎によるものであったという確証は得られていません。
この主張は、2022年6月30日にFacebookの投稿に現れました。冒頭は以下の通り:
記事執筆時点のFacebookでは、以下のような投稿がなされていました:
2011年12月2日に放送されたBBCの番組《QI》(シリーズ1エピソード13)で、イギリスの俳優Stephen Fry氏が、ロゴが毒入り林檎を食べるTuring氏をモチーフにしているという噂についてJobs氏に話したところ、Jobs氏は「それは真実ではありませんが、神はそれが真実であることを望みます!」 と言ったと語っています。
右側が齧られた林檎のロゴは、1977年にRob Janoff氏がデザインしたもので、彼のサイトにも書いてありますし、2009年のCreative Bitsとのインタビュー(Wayback Machineにアーカイブされているのはこちら)でもそう述べています。Janoff氏は、このデザインにまつわる話を「素晴らしい都市伝説」だと語っています。
RJ: まあ、私は恐らく最も宗教的でない人間なので、アダムとイブは何の関係もないんですけどね。知識を得るというのは素晴らしい響きですが、それだけではありません。そして、それ以外にも魅力的なことが一杯あるのです。Turing氏は、コンピューターサイエンスの父と呼ばれ、50年代初頭に自殺した有名な人物ですが、イギリス人で、同性愛者であるとの嫌疑をかけられていました。彼は実刑判決に直面し、それを回避するために自殺しました。だから、色のついたロゴは彼へのオマージュであるという伝説があるそうですね。ゲイフラッグのためにカラーストライプにしたと思われているんです。それは、長い間、本当に思われていたことです。もう一つは、彼が青酸カリ入りの林檎で自殺したという話です。そして、Alan Turing氏の好きな童話が「白雪姫」で、毒林檎を食べて永遠に眠ってしまい、イケメンの王子に起こされる話だと分かったのです。ともあれ、私が齧った跡を付けた本当の理由を説明すると、なんだか拍子抜けしてしまうのです。でも、教えてあげましょう。サクランボではなく林檎であることを理解してもらうために、スケール感を出すために齧った跡付きでデザインしました。また、林檎を齧るというのは、ある意味象徴的なことでもあります。誰にでも体験出来るものです。それは、文化を超えて通じるものです。林檎を食べたことがある人なら、恐らく林檎を齧ったことがあるはずです。この作品をデザインした後、クリエイティブディレクターにこう言われたんです:そういえば、コンピュータ用語にバイトというのがあるよね、と。その時、私は:冗談でしょう!それは完璧でしたが、コンピューター用語だったのは偶然でした、という感じでした。当時の私は、基本的なコンピューター用語は全て教えてもらわなければならなかったからです。
1977年から1998年までの虹色の林檎を示すJanoffのウェブサイトから、アップルのロゴの変遷を紹介します:
虹色の林檎は、芸術家・活動家であるGilbert Baker氏がデザインした1978年まで登場しなかったプライドの虹の旗に先行するものでした。
1954年のTuring氏の死は、当初自殺とされ、彼の傍には青酸カリが混ぜられた食べかけの林檎が置かれていました。人工知能の分野を確立したTuring氏は、ゲイであることを理由に迫害され、自殺したと考えられていました。しかし、2012年のBBCの報道によりますと、彼の死は計画的なものではなかった可能性があり、林檎の青酸カリ検査は行なわれていなかったということです。その報告によりますと、彼の死は実験の失敗の結果であった可能性があります。