イスラエルとハマスとの間の紛争における偽旗作戦の主張は証拠に乏しいです。
【主張】
2023年のイスラエルとハマスの戦争は「偽旗作戦」である。
【評定概要】
偽旗作戦は何世代にもわたって行なわれてきましたが、最近の歴史では、実際の偽旗作戦は怪しげな陰謀論に押されています。
専門家は、「偽旗作戦」と主張するSNSの噂は懐疑的に扱うべきだと警告しています。
我々は、イスラエルとハマスの現在の戦争がそのようなものであるという信憑性のある証拠を見つけられませんでした。
【レビュー】
イスラエルとハマスの戦闘で何千人もの死傷者が出ており、過激派組織による10月7日の攻撃は偽旗作戦だったという最近のネット上の主張は、現実を無視したものです。
10月8日のInstagramの投稿には、「あなたは、イスラエルが9.11以来リアルタイムで世界に仕掛けた最大の偽旗作戦と心理作戦とを目撃している」と書かれています。(心理作戦とは、標的の住民の行動や感情に影響を与えるように設計された軍事作戦のことです)。
10月9日の投稿には「偽旗作戦」と書かれています。「ハマスとはイスラエル政府の創造物であり、彼らはこれらの攻撃を計画し、大量虐殺のための支持を集めさせ、第三次世界大戦に繋がる可能性が高い」
これらの投稿は、Metaのニュースフィードにおける偽ニュースや誤報と闘う努力の一環としてフラグが立てられました。( FacebookとInstagramを所有するMetaとのパートナーシップについて詳しくはこちら)。
パレスチナの聖職者であるSheikh Ahmed Yassinは、イスラエルによるヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムの占領に対するパレスチナの蜂起を受けて、1987年にムスリム同胞団の政治部門としてハマスを設立した、とPBSは報じています。翌年、ハマスがイスラエルの破壊と歴史的パレスチナにおけるイスラム社会の樹立を呼びかける憲章を発表しました。
10月7日、ハマスがガザから数千発のロケット弾を発射し、武装勢力はブルドーザー、オートバイ、パラグライダーを使ってイスラエルに侵入しました。武装勢力はイスラエル人に発砲し、人質を取り、イスラエル軍はガザで報復攻撃を開始しました。
戦争は続いており、市民やジャーナリストを含む現場の人々によってその様子が記録されています。
学校での銃乱射事件、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件、2021年にタリバンがアフガニスタンの首都を占拠した際のカブール空港の混乱といった大規模な暴力事件には、しばしば根拠のない偽旗の主張が付きまといます。
諜報機関が偽旗作戦を開始したことはありますが、SNS上の噂以外には、現在のイスラエルとハマスの戦争が偽旗作戦であるという主張を裏付ける信頼できる証拠は見つかっていません。
これまで報告してきましたように、歴史上の実際の偽旗作戦は、近年、実際の出来事を「偽旗作戦」とレッテルを貼り、政府の権限拡大を正当化するために利用さ れる怪しげな陰謀論に取って代わられているようです。このような考え方は、9.11同時多発テロが海外での新たな戦争と監視国家の拡大を生み出した後に一気に広まっていきました。
専門家は、ニュースにおける重大な出来事を「偽旗」だと主張するSNS上の噂は懐疑的に扱うべきだと警告しています。実際の偽旗作戦は論理的に複雑で、大勢の人々を巻き込み、指導者は複雑な倫理的問題を考慮しなければならなくなるからです。
10月7日の攻撃の翌日、イスラエルの保健当局は、イスラエルで700人以上が死亡したと発表しました。10月12日の時点で、イスラエル軍はハマスの攻撃で1,200人以上が死亡したと発表したとCBSニュースは報じました。ガザの保健省は、イスラエルの報復攻撃で少なくとも1,537人が死亡したと発表しました。
我々は、大規模な暴力事件が現実のものではないと主張する他の主張と同様に、中東における最近の暴力事件が偽旗作戦であるという主張をPants on Fire!と評価します。