暖かい季節にCOVID-19に罹ると、治癒に時間を要するCOVID-29に罹るリスクを減らすというMirror誌の主張は間違っています。
【主張】
インペリアル・カレッジ・ロンドンのREACT-LC研究によりますと、冬の寒い時期にCOVID-19に罹ることが、症状が長引くかどうかの要因になる可能性があることが分かりました。
【評定】: #デマ
Mirror誌は、2020/21年の秋から冬にかけて行なわれた調査と、2021年5月に行なわれた調査とを比較しました。各々の日付は、参加者が最初にCOVID-19に感染した可能性のある時期については言及していません。
暖かい時期にウイルスに感染した場合、COVID-19が長引く割合は低下することが研究で示唆されています。
Mirror誌の記事によりますと、暖かい時期にCOVID-19に罹ると、治癒に時間のかかるCOVID-19を発症しにくくなるとのことですが、これは、ロンドンのインペリアル・カレッジの研究に対する誤解です。
記事には以下のように書かれています。:
研究者達は、寒い冬の時期にウイルスに感染することが、いくつかの症状が持続するかどうかの要因になると考えています。
しかし、研究に関係した科学者の一人、Matthew Whitaker氏は、FullFactの取材に対し、以下のように述べてくれました。:
Mirror誌の記事は、重要な点で間違っています:感染した時期は、関連する変数ではありませんでした。
実際、2021年5月に行なわれた調査は、2020/21年の秋と冬に行なわれた調査よりも、長期療養を有するCOVID-19の有病率が低いことを示しました。しかし、これらのフィールドワークの日付は、そもそも人々が実際にCOVID-19に感染した時期を指しているわけではありません。
この最新の研究はまだ発表されていませんが、Whitaker氏がメールで回答してくれたところによりますと、調査対象者は、ある時点でCOVID-19感染後の症状が持続しているかどうかを尋ねられたのであって、回答した時点でその症状が出ているかどうかを尋ねられたわけではないそうです。また、この2回の調査に参加した人達は、殆どが同じ時期に感染していたということです。
この記事のオリジナルのオンライン版には、次のような見出しが付けられています。:
より多くの英国人が、1年のうち暖かい時期にウイルスに感染すれば、長期療養を要するCOVID-19を避けることが出来ます。
これは、執筆時の最新版では、次のように変更されています。:
長期療養を要するCOVID-19は、暖かい季節には英国人への影響が少ないかもしれない-外にいることが助けになるかもしれません。
また、この変更が行なわれたことを説明する訂正メモも追加されています。
しかし、最新版の記事では、「寒い冬の時期にCOVID-19を発症すると、症状が長引く人がいるかどうかの要因になる可能性がある」という調査結果が出たと、依然として間違った表現がなされています。
【研究結果の内容】
Mirror誌の記事は、REACT-2調査の最新結果に基づいており、過去にCOVID-19に感染したかどうか、感染から12週間後に症状が持続しているかどうかを尋ねたものです。
第3回、第4回、第5回の調査は、2020年9月から2021年2月にかけて行なわれました。
Mirror紙は、以前にCOVID-19に感染したと報告した人のうち、「37%が12週間後に少なくとも1つの症状が持続していた」と報じています。(この数字をイングランドの人口を表すように重み付けすると、約5.75%の有病率が示唆されました)。
2021年5月に第6回目の調査が行なわれ、Mirrorは「有病率は22%に低下した」と述べています(重み付けされていない数字であり、代表的なものではありません)。
しかし、これは、パンデミック中のある時点で症状が持続したと報告した人の割合が、2020年9月から2021年2月の間よりも2021年5月の方が低かったことを意味しているに過ぎません。最初のCOVID-19感染がいつ起こったかは一切考慮されていません。
従いまして、これらの数字は、暖かい時期にCOVID-19に罹ると、長期療養を要するCOVID-19を発症する可能性が高くなるか低くなるかについては、何も教えてくれません。
写真提供:Marco Verch