異性愛者の方がHIV感染のリスクが高いという投稿は、データを誤って伝えています。
deepL翻訳では、"straight people"を『ノンケ』と訳してくれましたが、その表現は『同性愛者の符牒』なので、『異性愛者』と表現させてもらいました。
【レビューの和訳】
異性愛者がこれまで以上にHIVに感染していることを示す新しいデータが、ネット上で誤解されています。異性愛者の方がゲイやバイセクシュアルな男性よりもウイルスに感染するリスクが高いことを意味すると言うユーザーは、2つのグループに占める割合としての感染数を無視しているのです。
あるツイートでは、「同性愛者じゃない人の方が1週間HIVに感染するリスクが高く、既に治療薬もある。」(こちら)、別のツイートでは、「HIVは今やゲイやバイセクシャルな男性よりも異性愛者に感染する」(こちら)、と書かれています。
この主張はUKHSAの報告書(こちら)に基づいているようで、2020年のイギリスでは、ゲイ・バイセクシャル男性のHIV診断が940件、異性愛者の診断が1,010件であったことが示されています。この報告書は、COVID-19が2020年の性行動、HIV検査、セクシャルヘルスやHIVサービスへのアクセスのパターンを変えたことを認めた上で、両グループのHIV診断がいかに減少したかを示しています。
The Independentは、問題のデータを見た記事(こちら)で、「ゲイ・バイセクシュアル男性は、人口規模に比して、依然としてHIVの影響をより強く受けているが、これらのグループに対する標的介入により、感染は大幅に減少している。」と書いています。
2020年に国内でHIVと診断された異性愛者は、ゲイ・バイセクシュアル男性よりも多いのは事実ですが、これは2つの集団の割合としての診断数についての本質的な文脈を見逃しています。
2019年の国家統計局(ONS)のデータ(こちら)によると、英国で同性愛者または両性愛者と認定された男性の割合は2.9%(約75万4000人)に上昇し、これに対し異性愛者またはストレートと認定された人の割合は93.7%となっています。
欧州疾病予防管理センターによる2020年の報告書(12ページ)(こちら)では、「男性同士のセックスが依然としてHIVの主要な感染様式である。」と述べています。イングランド公衆衛生局の報告書も見ることが出来ます(こちら)。
【評定】文脈の欠落。
2020年にHIVと診断された異性愛者の数は、ゲイやバイセクシュアルの男性よりも多いという英国政府のデータは、ウイルスが今や異性愛者に多く感染していることを意味しません。ゲイ・バイセクシュアル男性として認識されている人々の人口規模に比例して、このグループは依然としてウイルスに感染するリスクが高くなっています。
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