Scientists’ Feedbackの和訳その2

以下の記事に続くScientists’ Feedbackの和訳その2です:

A.Daniel Jones氏: ミシガン州立大学生化学・分子生物学科教授】

PFAS曝露とヒトの腎臓癌及び精巣癌との関連を示す疫学的証拠があります。いくつかの研究では、動物モデルにおいていくつかの癌の発生率の増加が示されているものの、これらの結果をヒトに外挿することは適切ではないかもしれません。

癌は、 PFAS曝露による健康に関する影響度が最も高いものではないかもしれません。他にも十分証明されている影響が存在します。有害物質・疾病登録局(ATSDR)は、特定の癌以外にも、PFAS曝露による多数の潜在的な健康影響について説明しています。血中コレステロール値の上昇、乳児の出生時体重の減少、一部のワクチンに対する免疫系の反応低下、妊娠高血圧症候群や子癇前症候群等が該当します。

また最近の研究では、PFASへの曝露が子供の代謝過程の変化や心血管障害のリスク上昇に関連することが示唆されています。

このように、PFASに関連した癌よりも、癌以外の健康問題の方が頻度が高くなる可能性が高いと思われます。しかし、これは曝露のレベルや、恐らくPFASと他の物質への曝露の組み合わせに依存すると思われます。残念ながら、使用されている多くのPFAS化学物質の影響や人体への暴露範囲については、まだ殆ど分かっていません。

PFASは何千もの化学物質で構成されていますが、健康への影響は少数のPFAS化学物質についてしか確立されていないため、絆創膏による発がんリスクは不確かです。Mamavisionの研究では、総有機フッ素のみを測定し、個々のPFAS化学物質は測定していません。これらの結果は、有害なPFAS化学物質が存在する可能性の指標として使用さ れるべきではありますが、どのようなリスクがあるかについての決定的な情報を提供するものではありません。

絆創膏から特定のPFASがどれだけ組織や血流に吸収されるかを測定した研究について聞いたことがありませんので、絆創膏から検出されたレベルが人の健康に重大なリスクをもたらすかどうかを評価するのに十分な情報があるとは思えません。

私達がPFASに曝露される経路は他にも数多くあり(飲料水、食品、食品包装、家庭の埃、多数の消費者製品)、事実上全ての人が既にかなりの量のPFASを血液や組織に持っていることに留意することが重要です。

私は、絆創膏からPFASに曝露されることが人体曝露のかなりの割合を占めるとは考えられないと判断していますが、恐らく、我々が購入する製品にそのような物質が含まれていることが不可欠かどうか、という点に注目すべきだと思います。何故なら、PFASは何年も環境中に残留し、これが「永劫性化学物質」と呼ばれる所以であり、水系や食品系に世界規模で拡散する可能性があるからです。

つまり、ゴミ箱に捨てられた絆創膏に含まれるPFASは埋立地に行き着く可能性があり、そこからPFAS化学物質が地下水に浸出し、地表水(湖、小川、海)に移動し、最終的には水生生物(魚類等)に濃縮され、最終的には私達の体内に取り込まれる可能性があるということです。

EPAは、飲料水システムにおけるPFAS化学物質の小グループの最大濃度を規制する規則を最終決定したところです。 これらの新規制は以下のような提案をしています:

  1. PFOAとPFOSについては、強制力のない健康ベースの目標である最大汚染物質レベル目標をゼロとする。これは、特定の癌を含む健康への影響のリスクなしに、これらの汚染物質に曝露されるレベルは存在しないことを示す最新の科学を反映したものである。

  2. 飲料水中のPFOAとPFOSについて、個別に1兆分の4という強制力のある最大汚染物質レベルを設定し、公共水道に、これらの量を超える飲料水中のこれらの化学物質のレベルを削減することを義務づける。この基準は、飲料水中のこれらのPFASへの暴露を、効果的な実施のために実行可能な最低レベルまで低減するものである。飲料水中の汚染物質は、消費者製品や食品よりも規制が厳しく、さまざまな機関や法律が関与している。

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