王子でステーキ

奥さんが出産まで働いていた職場の後輩の女の子が未だに仲良くしてくれていて、たまに遊んでくれているんですが。

「あの子、婚約したんだって!」
と、奥さんが教えてくれました。

その子は以前、割と熱心にアイドルを応援していて、それでも将来を考えて結婚相談所に登録したという話は聞いていたのですが。

「そのアイドルの事務所が無くなっちゃったでしょ?それで、王子様なんて居ないって目が覚めたんだって。最初は結婚相談所でも背が高い人とか条件に入れてたんだけど、そーゆーのも消したんだって。」

「へぇ、じゃ何が決め手で相手選んだの?」

「『なんか、元気で、毎日会社に行ってるからいいかなーって思いました』って言ってたよ。」

これ
自己管理ができてるとか、酔っ払って夜中に帰ってくるような事が無いとか、色々あって元気なわけで。
ある程度の社会性とか、社交性とか、いろいろあるから毎日会社に行けてるわけで。
実は色々な要素が含まれた深い言葉なんだけど、『元気で毎日会社に行く人』って言っちゃうとなんかアホっぽいという、面白い現象だなーって思ったんですけど。

「あの子もようやく気がついたのねぇ。」
って、奥さんが言ったんですよ。



あぁー、じゃ俺だ。

そうです。
私が『元気で毎日会社に行く人』です。

他人事だと思って聞いてたら、俺の話。

他人事なら「そんなもんか」って聞いてられたけど、自分となると、なんだかすっごい低いハードルで結婚してもらったみたい。

王子様が良かったんですけどー!

いや、自分が王子様キャラとか思ってるわけじゃないですけど、奥さんにとっては王子様だろうくらい自惚れても良くない?

私、王子様とか背が高いとかじゃなくて、元気で毎日仕事に行く人なんですけど!


面白い話ができたと思って、職場でこの話をしてみたんですよ。

「じゃ何が決め手で結婚決めたの?って聞いたらね、『なんか、元気で、毎日会社に行ってるからいいかなーって思いました』だって。」

「えぇ、そのお友達、なんか病んでるんじゃないですか?」

病んでるー!

今からその病んでるお友達と同じ発想の私の奥さん出てくるんですけど!
そしてその奥さんに選ばれし『元気で毎日仕事に行く人』が目の前の私なんですけど!

最後は想定通り、
「ぼく、王子様のつもりがただの元気で毎日会社に行く人だったんですぅ」
でちゃんと笑ってもらえたんですけど。

なんかフォローが始まっちゃって

「王子様も毎日一緒にいると飽きますから!家庭ってくつろげる言わば『お味噌汁』みたいな空間で、豆腐ってやっぱり大切な存在って言うか、、、」

「豆腐?!そんな味も歯ごたえも無い存在?ステーキが良かったんですけど!」

「豆腐だって、すごいじゃないですか!冷奴にもなるし、油揚げにもなるし、豆乳だって栄養あるし!」

「いや豆乳まで行ったらもう大豆の手柄なんですけど!」

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